INDEX

  1. 横目流し目 紙の時代は終わったのか
  2. Prof. 田川の揺れる音楽道 FAREWELL LAMENT
  3. 清水哲男のサンクチュアリ 鉄板焼き 永奈
  4. 揺れて歩く人々の問い Vol.78
  5. しみてつコラム「Since I met you baby」
  6. ご購入のご案内

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横目流し目 紙の時代は終わったのか

あなたならどんな棚をつくる?

書店の危機が叫ばれています。全国各地の書店が次々に店を閉じていくのです。小さな個人経営の書店だけではありません。全国にチェーン展開している大きな書店も例外ではないのです。大きな理由は本が売れなくなったということでしょうか。売れたとしてもネットで買う人が多く、まちのリアルな書店の時代は終わったという人さえいます。あるいは紙の書籍は終わりだ。これからは電子書籍だという声も。
書店の抱える問題はさまざまです。十分な利益を確保するのが難しい流通構造。大きな売り上げを見込めない本でもいい本は置きたいという売り場効率、その果ての家賃の問題。人件費や維持費の問題などなど、数え上げるとキリがありません。
ある友人の話です。彼女はとある図書館で司書として長く働いてきました。そんな彼女にとっても次々に書店が閉じていく状況は他人事ではなかったと言います。彼女は大阪市内の書店で「一箱本棚オーナー制度」に参加し、自身のオススメ本を紹介する取り組みをしています。「一箱本棚オーナー制度」は書店の書架を小さなスペースに区切り、紹介したい本を並べたい人に貸し出すというもの。オーナー個々の個性を映す本棚の面白さが楽しかったり、思わぬ出会いを生む場になったり、読書の楽しみ、書籍の素晴らしさを伝える新たな発想の場になったりしているそうです。またオーナーたちが月額幾らかの使用料を払うことで書店の家賃負担を応援することもできるということです。
そう言えば鹿児島でも、常設ではないけれど段ボール箱1箱ずつの蔵書を持ち寄って販売をするイベントなども開かれて、出す方も買う方も多くの参加者で賑わうと言います。
紙の書籍を読みたいという人がまだまだ多いということなのだとうれしくなります。そういう取り組みを全力で応援したいと。そのためなら僕の拙い著書をどのように使ってもらってもかまわないと。
そうやって紙の書籍を届けたい、紙の書籍を読みたいという人がいる限り「紙の時代」は終わらない。紙はなくならないと思います。
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Prof.田川の揺れる音楽道

FAREWELL LAMENT

 

https://youtu.be/EAWnrdWLJHg?si=r51FkdlOCI7rMgwg
FAREWELL LAMENT
Appearing on the earth, departing within a week. The desperate wailing is a lament of farewell.
惜別の慟哭
地上に現れて1週間でこの世を去る。必死の泣き声は惜別の慟哭なのだ。
音楽:田川文彦
篠笛:加藤俊彦
flute:千々和典子
制作:清水哲男
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清水哲男のサンクチュアリ

鉄板焼き 永奈@JR西大路駅前(吉祥院清水町),京都市


地元だ。なんだかんだ言いながら、生まれて育ったまちで飲むことは稀だ。とくに25年近く故郷を離れていた僕にとって、逆に地元のまちは遠い存在だった。しかし長い不在の時期があったとしても、毛細血管のような細い路地裏まで知り尽くしている。父の他界を機会に戻ることも多くなり、時間ができるとフラフラと出歩くようになった。
なかなかいいまちだ。京都で言えば完全な下町。僕はディープサウスと呼んでいる。まち中にはないような店もたくさんある。ここ鉄板焼き永奈もそうだ。50年ぶりに会った高校の同級生と、表通りの寿司屋で散々飲んだ挙句、場所を変えようと入ったこともない店の小さな暖簾をくぐった。
おばさんは鉄板に向かって盛んに手を動かしている。息子だろうか若い男がカウンターの中で酒を飲みながら「いらっしゃい!」と叫ぶ。かなり酔っているようだ。カウンターの隅ではその息子らしき、つまりはおばさんの孫だろう、男の子がご飯を食べながら宿題をしていた。この店は、この家族の食卓の延長だななどと思いながら焼酎のロック(600円)を頼む。散々飲み食いしたあとだ、そんなにアテはいらない。
「チヂミでも焼きましょうか」
おばさん、いや女将が声をかけてくれた。結局僕らはアギ(あご肉1000円)とテッチャン(1000円)とチヂミ(400円〜)を頼んだ。そうして酒に向き合う。京都弁もここまで南に来ると上品さのかけらもない。これが僕の育った京都、だ。
焼酎のロックをガンガン飲る。中の男が「あんたがた強いね〜」と面白がり自分のグラスにも酒を注ぐ。「もうやめとき!」女将が怒鳴る。宿題をしていた男の子の手が止まる。だけどみんな笑っている。「ふっ、なんか家に帰ってきたみたいやなあ」50年ぶりの同級生がうれしそうにつぶやく。僕も同じ気持ちだ。この雰囲気は悪くない。
勘定をすませた。散々飲んだんだ高くついて当たり前だが女将は頻りに頭を下げる。「ごめんね高くついて」と。「いやあ美味かった」と同級生が言う。すると女将が笑った。「あれだけ飲んで味がわかったら誉めたるわ」と。笑って外へ出た僕らの背中を女将の声が追いかけてきた。
「これに懲りずにまたおいでね!」
「ああくるよ、な」同級生は小さな声で、しかし満足そうに僕に同意を求めた。大きく頷いた頬に夜風が心地よかった。

チヂミのタレは手製だそうだ

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揺れて歩く人々の問い vol.78

スマホにもうひとつ機能を加えるとしたら、どんな機能が欲しいですか?


ありとあらゆる機能がどんどん追加され、いまやパソコンにとってかわろうとするスマホですが、もうひとつあなただけの機能を加えるとしたら、どんな機能が欲しいですか? 「どこでもドア」みたいな夢のような機能でもかまいません。あなたの望みをかなえる機能を教えてください。
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H.Aさん
「いつでも会話」。再会が叶わない人といつでも🎵会話出来る機能があったら嬉しいです。
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N.Gさん
そりゃあ、「どこでもドア🚪」っしょ!
現実的なものとしては、置き忘れたら、「私を忘れてますよ、置いていかないで!」と音声で教えてくれる機能。まだ、現実的ではない⁇^o^
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T.Kさん
ライブで代わりに歌ってくれるスマホ。誰も気づかないのが条件です
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F.Tさん
偽札造り機能♫
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I.Mさん
アルコール検知機能。飲み過ぎ防止、健康第一に~w
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M.Fさん
昔の腕時計の自動巻きのように、自動充電かソーラー充電。そろそろ内蔵してくれても良いんじゃないかな~。進歩し過ぎてるなか、あえてアナログな方に特化したスマホなんて良いと思いませんか?
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F.Tさん
使えば使うほど健康になれるスマホ。目もよくなり肌も若返り…w
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今回も楽しいコメントを寄せていただきました。ありがとうございます。詳しくはこちらをどうぞ。
https://www.facebook.com/tetsuo432/posts/pfbid0tQNxQFVkmL8pnmZPM7uPpKJgt1CkGk8SsssK7L4CJJ1oa2JYF6tEmF2Q8Jyx6hsTl
次回79回目の問いかけは6月28日の「揺れて歩く&妄想ラジオ」配信中におしらせします。
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しみてつコラム
Since I met you Baby


ここんとこヘビロテになっている1枚が ”Since I Met You Baby The Best of Stanley Smith” だ。
スタンリー・スミスって、57歳で初めてのソロアルバムをリリースした人だよね。1960年代にはパリでの路上ライブ、70年代にはカフェ&バーを経営したこともある放浪のミュージシャンだという。57歳でアルバム”In The Land Of Dreams”を発表しソロデビューした。僕は2002年に出たばかりのこのアルバムを友だち経由で手に入れてずいぶん聴き倒した。ちょっとしゃがれた声がとても気に入り、オールドファッションだけど、ジャンルにとらわれないうたい方、演奏がほんとうに気に入って一日中聴いていた。ずっと聴いていて疲れない飽きない。とっても落ち着くのだ。仕事をしながら聴いていてもとても心地いい。朝から夜遅くまでずっと聴き続けていた。
”Since I Met You Baby The Best of Stanley Smith”は2006年に出た日本独自編集のベスト盤。出てすぐに買ったんだけど、誰かに貸してどこに行ったかわからなくなっていた。その再発盤を最近とあるレコードショップで見つけた。ジャケットは全く違うデザインだが間違いない。視聴させてもらうと懐かしい塩っ辛いしゃがれた声が流れた。旅先にも関わらずすぐに買ってしまった。スタンリー・スミスのことは思い出の片隅に埋もれてしまって、ずっと忘れてしまっていた。こういうのを邂逅っていうんだろうな。
スタンリー・スミスがデビューした2002年といえば僕は50歳目前。鹿児島に移って5年が経っても仕事が思うように行かずに悶々とした日々を過ごしていた。だから57歳からソロ活動をはじめた彼は僕にとっては希望の星になったんだ。「この歳からでもこんなことができるんだ。遅くはないぞ」と彼のうたを聴いて心を奮い立たせていた。
それから20年以上経つ。僕は今も相変わらずだ。彼、スタンリー・スミスも引退したとか亡くなったという話は聞いていない。相変わらず地味にうたい続けているのだろうなあ。
僕はすっかり歳をとっちゃって、彼がデビューした歳をはるかに上回った。だけど気持ちはあの頃と全く変わらずずっと同じだ。”Since I Met You Baby” 変わらないのだ。「いつか必ず……」70歳を目前にしてそんなことを思いながらこれを書いている。

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頁数:192p
体裁:B5変形横型(182mm×210mm)
ISBN:978-4909819086
2020年4月15日 初版発行
価格:2420円(本体2200円+税)

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最後までおつきあいありがとうございました。
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次号は7月12日(金曜日)配信予定です。
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