INDEX

  1. 横目流し目 自分の中の危うさ
  2. Prof. 田川の揺れる音楽道 Copernican Revolution
  3. 清水哲男のサンクチュアリ 丸和前ラーメン
  4. 揺れて歩く人々の問い Vol.79
  5. しみてつコラム「僕的世間遺産」
  6. ご購入のご案内

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横目流し目 自分の中の危うさ

鹿児島はいつも通りの結果でした……。

月7日の日曜日は東京は知事選挙の投開票日でした。結果は現職が3選されたことよりも、既成政党の支持を受けない新人が次点に入ったことに大きな注目が集まりました。既成政党への、既成の政治のあり方への不信感が背景にあると。
不信感なんて遥かに通り越しているんじゃないでしょうか。今の政治が我々の実際の暮らしからかけ離れてどこか違う世界のことのようにしか映らなくなってしまって、失望とか、絶望に近い感覚しか残っていないと。そんな時、結構痛快な言葉で既成の政党やその政治手法を罵倒する若い候補者が現れた。多くの人が、彼が何を目指して何をしようとしているのかを見るより、まず「面白いな」と感じたのではないでしょうか。彼の主張に心底共感して1票を投じたのではなく、「面白いな」で投票したのだと。
政治、法律や諸制度はわれわれ一人ひとりの国民の暮らしを豊かにするためにあります。国のためではなく我々国民のためにあるのです。憲法だって我々の暮らしに生かされてはじめて生きた法律になるのです。それが国民主権だと思います。だけどほんとうにそうなっているでしょうか。
今の政治は、政治を職業とする政治家(屋)や一部特権的な人々(安倍政権時代のお友だちを思い出してください。森友とか、加計とか)のためにあるように思えてなりません。発災から半年以上経った能登の被災地を見てみるとよくわかります。政治は、ほとんどと言っていいくらい仕事をしていないし、復旧復興のための法制度は一応ありますが、実施・運用で実効をあげていないと思う人は少なくないでしょう。実際に被災した人たちの多くは、自らを切り捨てられた民、棄民だと受け止めています。被災地に足を踏み入れると、政治、政治家は被災地、被災者に寄り添った仕事を何もしていないと改めて感じざるを得ません。政治家たちはまともに仕事をしていないのは明らかだし、僕らも思ってしまっているのです、こんな連中に任せておいてはどうにもならないと。だけどどうすることもできないという無力感にさいなまれて……。
そんな時に現れたのが石丸某氏でした。僕は彼とは考えを異にし、相容れない部分が多々あります。しかし仕事をしない議員に「恥を知れ、恥を!」と叱責したことには同意したいと思います。というか、そうそうもっと言ってやってくれ!と思いました。そしてあのひと言は、安穏として自らを特権的存在だと勘違いしているすべての政治家、いや政治屋に向けるべきだとも。そういう思いで彼に1票を投じた人があれだけの数になったのではないだろうかと思うのです。
彼のおかげで大勢の人が自分の中に沸々としている怒りのようなものに気づいたのではないでしょうか。金集めに奔走し、地位と権力にしがみつこうとする政治家たちに、今こそ声の礫を投げつける時だと。
恥を知れ!恥を!
だけど、とその一方で思うのです。実際の投票行動はじっくり考えて慎重であるべきなんだけど、そうだそうだと勢いに流される危うさを抱える自分がいると。そんなことに気づいた選挙でもありました。
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Prof.田川の揺れる音楽道

Copernican Revolution

 

https://www.youtube.com/watch?v=47WKMuJrg4w
Copernican Revolution
Night gives way to morning, welcoming night again as seasons cycle.
It’s wonderful so wild beneath the sky.
コペルニクス的転回を思う
夜が朝ににりふたたび夜を迎える間に季節は巡る。
空の下、ありのままの姿、素晴らしい物語。
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清水哲男のサンクチュアリ

丸和前ラーメン@旦過(たんが)市場,北九州市小倉魚町


旦過市場(たんがいちば)は北九州市小倉北区魚町にある市場、商店街だ。多くの食料品店、飲食店などが密集し、それらを細いアーケード路地が繋いでいる。店は細胞あるいはアーケード路地は毛細血管。そんな感じだ。いつ行っても活性は高い。そんな印象だ。丸和前ラーメンは旦過市場の北側の入口にある。このあたりのことを知らない知人からよく聞かれる。
「丸和前ラーメンの丸和って何?」
と。北側入口には丸和というスーパーマーケットがあった。日本で最初の24時間営業スーパーだったそうだ。それだけ聞いてもこのあたりの活気がわかる。だが丸和は1994年9月旦過市場の約1/3近くを消失させる火を出し歴史に幕を閉じた。その後このラーメン屋にその名前を残すのみとなった。旦過市場はその後2022年4月、8月と2回の火事に見舞われ、丸和前ラーメンも4月の火事で店舗が被災した。しかしその2日後には屋台で営業を再開。旦過市場復活のシンボルのような存在だ。

この丸和前ラーメン、この近辺で酒を飲んで〆に立ち寄る人が多い。ラーメン(750円)はもちろんだがおでん(1本150円、タコのみ750円)、焼き飯(700円)も人気だ。おはぎ(150円)などというものもある。アルコールは生ビール(650円)、瓶ビール(700円)、その他アルコール類は各種(550円)ある。
鹿児島と京都の間をフラフラしている僕は、小倉で飲むということは滅多にないのだが、小倉に来ると旦過市場と丸和前ラーメンには必ず寄る。そうしておでんの大鍋の前に腰を下ろし焼酎を飲りながらおかあさんとぼちぼち言葉をかわす。会話などというものではない。短い言葉のやり取りだ。おかあさんの顔を見ているだけで十分なのだ。

聞いたところによると、ここが豚骨スープの発祥の店らしい。それからここは小倉、博多ではないので替え玉はない。そこは要注意だ。
価格は取材当時のものです、ご確認ください。
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揺れて歩く人々の問い vol.79

あなたが夏を感じるのはどんな瞬間ですか?


久々にビールを飲みながらライブ配信をしてみました。
鹿児島も35℃をわずかですが超えた日でした。めちゃくちゃ美味くてね。久しぶりに美味いビール飲んで、あ〜〜〜夏だなあと感じました。僕の夏にはビールがつきものだと。
そこであなたにおたずねです。あなたが夏を感じるのはどんな瞬間ですか?
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T.Sさん
素潜りで10m潜るまでの間、海亀や熱帯魚.珊瑚の育ち具合を観察しながら揺蕩ってる時と
丘へ上がったときの👙と黄色い声聞きながら一服してる時です♪
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T.Kさん
昼下がりの台所で食卓の椅子にかけてるのにジワーっと汗が滲む時かなぁ😅
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M.Fさん
(京阪)八幡の走井餅のかき氷を食べたら夏がスタート。梨のかき氷を食べたら夏も終わりかな~と。
でも走井餅のオススメは実はおうどんなのです。(力うどんですね)お餅が嬉しいお出汁もGOOD
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F.Tさん
蝉。
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F.Tさん
蝉合唱団の歌を無理やり聴かされるときです😭
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H.Cさん
熱中症に罹った時😅
初蝉の声を聞いた時🥰
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今回も楽しいコメントを寄せていただきました。ありがとうございます。詳しくはこちらをどうぞ。
https://www.facebook.com/tetsuo432/posts/pfbid0tQNxQFVkmL8pnmZPM7uPpKJgt1CkGk8SsssK7L4CJJ1oa2JYF6tEmF2Q8Jyx6hsTl
次回80回目の問いかけは7月12日の「揺れて歩く&妄想ラジオ」配信中におしらせします。
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しみてつコラム
僕的世間遺産

たこ入道のおからの味は大好きな味だ

一昨夜は「喜幸」で、昨夜は「たこ入道」で、京都にいて料理屋、居酒屋をのぞいたら必ずと言っていいほど注文するものがある。おからだ。特別な料理ではない。京都ではおばんざい、大阪ならおかずと呼ばれるどこにでもある普通の家庭の味だ。しかし、こういう変哲のない料理にはそれぞれの家の味があって。同じようなものはひとつとしてなかった。最近はおばんざいをつくるなどという家は京都でも少なくなったような気がする。家庭の味、お袋の味などというものは絶滅を危惧されていると言ってもいいのではないだろうか。
そんな僕が鹿児島に移り住んで28年、食生活で困ったことがいくつかある。醤油が甘いとか……。慣れてしまったこともあるけど、いまだに困っていることも少なくない。とりわけとりわけ豆腐の硬さには閉口している。
「おかべ」
鹿児島では豆腐をこう呼ぶ。「かべ」とは壁のことだと聞いた。豆腐は白く壁のように硬いものなのだ。湯豆腐にして箸でとっても崩れることなどないのだ。大豆の味がしっかり凝縮されてこれはこれで美味いのだが、どうも腹が膨れて仕方ない。鹿児島ではこれに甘い醤油をかけまわして食べるのだ。
そんな豆腐を愛する鹿児島の人々だが、不思議とおからを口にしない。調理される前のおからはスーパーにもない。最近でこそお惣菜売り場や居酒屋で見かけるようになった。そういう店は「おばんざい」「京風」などという言葉を売りにしている。しかし味はただただ甘いのだ。
僕は祖母のことを「あーちゃん」と呼んで育った。仕事で忙しかった両親に代わり、祖母が僕を育ててくれた。「かーちゃん」「とーちゃん」ではなく「あーちゃん」なのだ。僕にとってお袋の味は間違いなくあーちゃんの味なのだ。あーちゃんのおからは他のどこの家にも店にもないものだ。あーちゃんのおからは出汁にひたひた浸かっていた。あーちゃんに言わせれば「お汁の代わり」ということだった。それを啜るように掻きこむ。あーちゃんは大勢の職人の賄いをつくっていた。彼らが順繰りに仕事の合間に手をとめて、てきぱきと食事を済ませられるよう、すべてが工夫されていた。おからの椀の中にご飯を入れておから茶漬けなどと慌てて済ませる若い職人もいた。みんな寸秒を惜しんで仕事をしていたのだ。
おからは僕にとっておばんざいというだけでなく、思い出への入り口なのだ。高度経済成長のとば口にあった活気にあふれた昭和のあの頃のことを思い出させてくれるのだ。
僕がおから茶漬けを真似ようとすると、あーちゃんは必ず拳骨をひとつくれた。
「あんたはおから茶漬け拳骨つきや」と。「あんたにはたっぷり時間があるやないか。慌てんでよろしい」と。
あの頃の人はみんないなくなった。昭和も遠くなった。だけど僕の記憶の中にはあーちゃんのおからの味がはっきり残っている。僕にとってあーちゃんのおからの味は、言ってみれば世間に誇る僕の遺産、僕的世界遺産であり記憶遺産なのだ。ユネスコの世界遺産よりも、ずっとずっとすごいのだ。

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