INDEX

  1. 横目流し目 ポンコツかスクラップか⁉︎
  2. Prof. Tagawa の揺れる音楽道 #87
  3. 清水哲男のサンクチュアリ 小料理藤
  4. 揺れて歩く人々の問い vol.100
  5. 『時間の隨』への感想をいただきました
  6. 清水哲男新刊書のご案内
  7. ご購入のご案内

*「しみてつコラム」今回はお休みします
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横目流し目 ポンコツかスクラップか⁉︎

写真展『時間の隨』出展作品「時間のスクラップ」

4月20日に拙著新刊『時間の隨』が上梓されて2カ月が経ちました。おかげさまで出だし好調という状況です。今作は再海社の出版という形をとっていますが、ほぼ完全な私家版で、ISBNコードも取得せず、定価ではなく頒価でお分けするという方法でお手元にお届けしています。ですので、Amazonはもちろん楽天ブックスなどはもちろん、リアルな書店での取り扱いも一切ございません。
僕はプロの物書きであることを自認して執筆活動を続けてきました。簡単に言うと、著作の出版はすべて出版社の企画によるものとしてきたのです。今作『時間の隨』がそうではないのには理由があります。それはその内容が全く私的なものであるということなのです。書くべきテーマは社会の問題を普遍化するものと決め、ほぼドキュメンタリーの道を40年以上地道歩いてきました。
だけど今回は身の回りある私的な出来事の断片を切り口に、自分自身の時間の流れを可視化しようとしました。「清水哲男」という人間がどういう時間を経て今にたどり着いたのか。社会との関わりは確実にあるけれど、社会が抱える問題に普遍化しようとしたのではなく個人の問題にまとめてしまったわけです。
従来の作品は「ほら、社会ってこんなふうになっているんですよ」、今作は「ほら、僕はこんな人間なんです」。そんなことです。だから私家版が相応しいと。
まとめながら思いました。70年生きてきたうちの40年以上を物書きとして過ごしてきた。「ものも書くけど恥もかく」などと自嘲気味に言い続けてきましたが、その結果立派な物書きのポンコツになったなあと。このあとは物書きのスクラップと言われないようにせいぜい頑張らなければと。
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Prof.Tagawaの揺れる音楽道 #87
The Dancer of Passion


情念の踊り
舞踏家は生を求める一方、死に手を伸ばす。
暗闇に伸びた手は情念を象し、祈りを象す。
生は暗く、死もまた暗い。決して諦めることのない情念の踊り。
ー荒木菫 「Another Moonlight」より

The Dancer of Passion
The dancer, seeking life, reaches for death.
A hand extended into darkness symbolizes passion, symbolizes prayer.
Life is dark, and death is also dark. The dance of passion that never gives up.
— Sumire Araki, “Another Moonlight”@Space Mu
舞踏家 荒木 菫(Sumire Araki)
音楽 田川 文彦(Fumihiko Tagawa)
写真 清水 哲男(Tetsuo Shimizu)
映像編集 清水哲男, OFFICE432
©︎S.Araki, F.Tagawa, T.Shimizu and OFFICE432, 2025
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清水哲男のサンクチュアリ
小料理藤@京橋駅前, 大阪市都島区

京橋駅前で「小料理」を掲げる店は多くない。今までここで紹介してきた京橋界隈の店は居酒屋だったり立ち飲みだったりする。しかもお値段も超手頃な庶民の味方みたいな。だから昼間っからお安く酔いたいおっちゃんおばちゃんにとって、京橋はサンクチュアリどころかまさに天国と言っていい場所だ。
そもそも小料理と居酒屋には大きな違いがある。小料理というのはちゃんとして板前(それなりの修業を積んだ料理人)がいなければならない。板前がいなければ、そこは居酒屋か家庭料理と呼ばれる店になる。
ここ藤のそんなに広くない厨房には、常時3人の男性料理人が立ち働いている。1階は厨房をぐるっと囲むカウンター席と4人がけのテーブル席がひとつ。2階は座敷で掘り炬燵のテーブルが並んでいる。小料理よりも割烹と言う方がいいかなと思える店構えだ。
入店したのは午後2時を回ったところだった。うまいと評判の定食が人気で混雑する昼時を避けたかっこうだ。カウンターにつくやいなや躊躇なく藤セットを注文する。付き出し、生ビール、串カツ盛り合わせ(5本)で1000円。これでゆっくり飲りながら次を考える。17時を過ぎると串盛りが刺身3種盛りにかわる藤セット(1200円)がおすすめかも。本日のおすすめメニューから小柱とそら豆のかき揚げ(980円)、地鶏刺し盛り(1100円)、真ふぐ白子焼き(1300円)を選んだ。
ビールの後は酒と決めていた。黒板を見るとおすすめの地酒がずらっと並んでいる。しかしどれも一合1000円を超えるいい値段がついている。質より量の追求が本望のダメな僕らのためには菊正宗(一合500円)がいいだろう。一升飲んだって5000円じゃないか。一升1万も2万もする酒は間違えても選んだりはしない。
小料理をうたうだけあって料理はうまい。界隈の居酒屋と比べて少々高いがそれも頷けるし、そもそもそこいらの店では味わえない一品も多い。焼酎も二階堂、黒霧島なら500円、それ以外にも700円まで出せばいろいろ楽しめる。さらに魔王、伊佐美は常に置いてあるようだ。
ちょっと一杯のつもりだったが四合ばかり飲んでしまった。それだけ料理が美味かったということだろう。

小料理藤
大阪市都島区東野田町3−5−5

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揺れて歩く人々の問い vol.100
①最近目が点になったことありますか?
②この問いかけ、100回で終了していいですか?

今回は記念すべき100回目の問いかけですので、豪華2本立てて!どうぞお気軽に!
清水が最近目が点になったことと言えば、京都の街角の風景がまるで外国のそれになっていることです。なんだか日本人よりも外国人の方が多いようで……。顔馴染みのラーメン屋も昼時は清水以外ほぼ外国人でしたあ。
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松園功さん
似たような経験ですが、豪華客船のツアーで14名のお客様を案内しました。何となく日本人でなさそうな方々でした、ガイドの反応もいつもと少し違うかんじが、徐々にあれ?となり、最後に聞けば半数が台湾人のグループで、その内日本語が分かる方は2名。
でも、一番反応が良く興味深く聞いていた話しは、種子島の「方言」です。「おうきんなぁ」「ほなく」「びいびんこ」「のっちよ」の4つ。
未だに不思議、何か受けたのか食い付きも良く笑い声が上がりました。
その意外な反応に目が点でした。
発音に中国語に似たのがあったのかな?絶対に意味は通じてないはずです。
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『時間の隨』への感想をいただきました。

その都度この場で紹介します。
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F.Tさん(鹿児島市)
その夜、僕はひとりでバーにいた。某所裏通りにある名前のないバーだ。看板も出ていない。ただ古いスピーカーから、小さな音で渋谷毅が流れている。
僕はカウンターに『時間の隨』を置き、グラスの中の琥珀色をゆっくり回しながらページをめくった。清水哲男の文章はまるで湿った壁に染みこんでいく煙のようだった。
明確なかたちを持たずでもそこにある。
バーの奥には黒い猫が一匹いる。名前は「時間」だとマスターが言った。その猫は客に興味がない。人の言葉もルールも無視してただ静かにそこにいる。それが猫というものだし時間というものでもある。
「今までの飲み代で家が建つ」と書かれていたくだりで、僕はふと笑ってしまった。
その家はきっと猫の額ほどの庭がついていて陽の当たらない東向きの書斎がある。
でもそこに猫はいない。時間もいない。だからたぶん正解だったんだろう。
猫がふいに立ち上がりカウンターの下をすり抜けて僕の足元にきた。
そしてまるで僕の選択を肯定するかのようにしばらくじっと座っていた。
そのときふと思ったんだ。時間というのはどこかのバーの奥で猫の姿になって人が酔いのなかで考えすぎないようにそっと見張っているんじゃないかって。人は忘れ猫は覚えている。そんな気がした。
そしてまた猫は奥に戻り僕はページをめくった。
渋谷毅のソロが終わり
雨が静かに降りはじめた。
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清美軒さん
ありがとうございます。こんなに多くの文章で思い出を綴っていただき感激しました。少しでもお客様の気持ちに寄り添った接客ができていたと嬉しいでした。お世話になりました。

清美軒さんは『時間の隨』「町中華でやろうぜ」に収めさせていただきました

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好評販売中!
清水哲男の新刊書のご案内

著者が本著の中で目指したのは流れ行く時間の可視化です。身の回りの何気ない風景、漂う空気、そして人々との出会いを縁に時間を紡いでいきます。
今回は完全私家版としての上梓です。大手書店、Amazonなどでの取り扱いはありません。購入ご希望の方は下記URLからどうぞ。

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天文館ラジオ しみてつパラダイス 2025年6月6日号「『時間の隨』購入希望の方、全員集合!」の巻

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【「揺れて歩く ある夫婦の一六六日」概要】
頁数:192p
体裁:B5変形横型(182mm×210mm)
ISBN:978-4909819086
2020年4月15日 初版発行
価格:2420円(本体2200円+税)

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次号は7月11日(金曜日)配信予定です。
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