横目流し目 皆さんありがとう! 来年もよろしく!

「美しいニッポンの風景」会場

大阪・京都で予定していた写真展、ライブ全日程を無事終えることができ、ホッとしているところです。ご覧いただいた皆さんの評価は分かりませんが、僕自身はやるべきことはやったという達成感に身を委ねています。今回は大阪会場も京都会場も、共に説明が欠かせない中身で、足を運んでいただいた方と長い時間お話しして、実際に感想・評価を聞いて、それだけでもいい時間を持てたと思っています。その上で伝えたいことが伝わったかというと、まだまだ不十分だなというのが自己評価です。写真力、文章力、会話力をもっと磨かないとと思っています。
特に「美しいニッポンの風景」では〈原発の問題を身近な自分自身の問題として捉えてほしい〉をひとつのテーマとして話し込みました。多くの人が熱心に耳を傾けてくれた一方で、面倒くさそうに無関心を装う人も少なくありませんでした。あるいは原発反対派の写真展と受け取った人もいました。さらには「原発が好きなんですか?」という人まで。
大阪の会場では写真にキャプションをつける代わりに「笑う力ニュース」というニュースを発行し、来場した皆さんに配りました。もちろん紙のニュースです。京都でも「美しいニッポンの風景ニュース」を用意すれば良かったという反省もあります。が、できるだけ多くの人と話したいという思いの結果でした。
その中で熱心に話を聞き写真を撮ってくれた小学生には救われた思いがしました。「GWにやったこと」という宿題にするのだと。あるいは「KG(KYOTOGRAPHIE)やKG+にはない、写真のもつストレートな力を感じた」「KGはおしゃれなだけであまり意味を感じなかったけど、こちらの方がいい写真が並んでいると感じました」などという感想も聞けました。それらはとても励みになりました。
大阪では読売新聞、京都では京都新聞の記事を見てきたという人も少なくありませんでした。事前のメディアへの働きかけの大切さもあらためて感じました。今後もメディアへの働きかけは準備の一環として力を入れていきたいと考えています。
「売る」ということに関しては、新しい本が出しにくい状況の中で、ポストカードサイズの写真セットに助けられたり、毎度のことですが各地物産に助けられたりしています。売りたい写真を売る、売りたい本を売ることにもっと努力と工夫を重ねたいと思いました。
その上で来年以降も同様の機会を与えていただけるとしたら、さらに問題点を潰し、もっと中身の濃い、深いものにしていきたいと思っています。終わったばかりでまだまだ十分な総括はできていませんが、鹿児島に戻ってじっくり考えたいと思っています。
ご来場いただいた皆さん、大阪桃谷SpaceMuのキョンちゃん綾ちゃん、JARFO京・文博の淨さん、松原さん、西山さん、千津さん、ライブに出演していただいた大塚まさじさん、中川五郎さん、金森幸介さん、カオリンズの2人、京都のライブで会場を提供していただいたふくや京都の皆さん、本当にありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。

2024.4.29 金森幸介LIVEリハーサル風景@ふくや京都, 京都市中京区

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INDEX

  1. 横目流し目 皆さんありがとう! 来年もよろしく!
  2. 清水哲男のサンクチュアリ 京屋本店
  3. Prof. 田川の揺れる音楽道「The cat dreams of being a cat」
  4. しみてつコラム「幸せな夜を過ごすための幸せな店」
  5. ご購入のご案内

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清水哲男のサンクチュアリ

京屋本店@JR京橋駅前,大阪市都島区


仕事帰りのサラリーマンで賑わう。ここはまさにサラリーマン解放区=サンクチュアリの名にふさわしい。〈ザ・居酒屋〉などと言う人もいる。京橋はJR環状線と京阪電車が交差するターミナルで、いわゆる大衆居酒屋なるものがひしめきあうまちだ。大小あわせて何軒あるのか数えてみる気にもならない。
大阪桃谷での写真展最終日ここでとりあえずの打ち上げの乾杯をした。僕らには他に目指す店があったのだが、なにせ迷路のような京橋界隈だ。たどり着くことができず、大きな看板と広い間口に誘われてここでもいいかと暖簾をくぐった。
テーブル席は相席になることが前提だそうだ。僕らは長いコの字型カウンターの奥に陣取った。ざっと見て60〜70席はあるだろうか。ほぼ満席だ。カウンターの中では5人のおっちゃんが忙しそうに立ち働いている。アテは、簡単に言うとなんでもある。しかも安い。みりん干し275円、げそ塩焼き330円、トマト220円、赤ウインナー275円、どて焼き串1本165円、う巻き275円などだ。瓶ビール(633ml)550円、チューハイ各種330円〜350円。これなら毎晩でもいいなと思わせてくれる。
店内を見渡すとカウンターではひとり客同士が和やかに話し込んでいるし、女性のひとり客もけっこう多い。カウンターが長いということはひとり客を大切にしているということだ。だから女性ひとりでも安心して入れるのだろう。テーブル席では若いカップルやグループが賑やかに盛り上がっている。この風景を見ると、最近の若い人は酒を飲まないという話は本当なのだろうかと思ってしまう。
まあ、そんなこと関係なく、僕は最後の一人になっても飲み続けるけどね。そんな飲み手ばかりが集まる気安い店だ。(価格は変動する可能性があります)

吸い込まれそうな店構えだ

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Prof.田川の揺れる音楽道
The cat dreams of being a cat

 

https://soundcloud.com/yurete_aruku/the-cat-dreams-of-being-a-cat
人は人の夢をみる。ねこはねこの夢をみる。
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しみてつコラム
幸せな夜を過ごすための幸せな店


酒場で人間観察をするのが好きだ。カウンターの隅っこで周囲の様子をうかがいながらニタニタ顔で飲んでいる僕は、変な酔っ払いだと思われても仕方ない。そんな僕にとって、京都木屋町のたこ入道は人間観察にうってつけの酒場だ。
店内はちょっと変わった5角形のカウンターがあるのみ。どこに座ってもおよそ客の顔は見える。距離はあいているがまあまあ向き合って座ることになるのだ。大声で喚き散らすように話すおじさんグループや額を寄せ合いヒソヒソと話すワケありカップル、キャッキャと楽しそうな若い女性のグループ、少々深刻な面持ちのひとり客など、様々な酔客で毎夜溢れるのだ。
すぐそばに座ったカップルは、見た目には10代かと思えるような初々しさを放っていた。レモン酎ハイとハイボールを注した。おいおい酒を飲んでいいのか!?君ら、と声をかけてしまいそうだった。

「うわっ、大人の味って感じ」レモン酎ハイを口にした少女が声を上げた。おたがいの飲み物についてあれやこれや。いや、実に初々しい。頑張れよ彼氏などと思ってみるが、話を聞くと実は彼女25歳だという。酒を飲んでも、何をしてもいい年頃だった(笑)

その隣にはイギリスと中国からの留学生がご機嫌で飲んでいる。かなり酔っているようで、時々話し声のボリュームが上がる。話の内容は英語だからわからない。終始ご機嫌で、ついには初々しいカップルを巻き込んでしまった。

僕の隣にはフランス人の3人家族が。たこ入道もずいぶん国際的になったもんだ。10歳を過ぎたくらいの女の子はトイレに入ったままなかなか出てこない。旅先でお腹を壊したようだと父親は英語で説明してくれた。めずらしくたこ入道のトイレに行列ができる。父親は納豆と揚げ出し豆腐を注文した。口に合わないのじゃないかと心配したが、口に合うか合わないかじゃなくて、地元のものを食べたいのだと父親は言った。納豆を口に運び、彼も彼の妻も少々難しい表情になった。女の子はまだトイレから戻らない。どうやら彼女の不調の原因は……。

少し離れた席にはラッパーとその彼女という感じのカップルが。読みは当たっていた。彼はラッパーでこれからライブだという。終始いかつい表情を崩さない。少々ツッパってないとそれらしくないからな。彼女は看護師だという。夢を追いかける彼を支えるそんな姿が見える。飲み食いするにも世話をやく。彼女のおかげで彼は好きな音楽を続けることができているのだと思った。

出がけに写真を撮らせてと頼むと初めて彼が笑った。「はい、よろこんで!」うれしそうに答える彼を彼女がうれしそうに見つめる。なんだこいつかわいい顔してんじゃん。ついそう思ってしまう。そして彼女ももちろんかわいい。幸せそうないい夜だ。

はてさて、僕はいったいどんなふうに映っているのだろう。人の話に首を突っ込んで写真を撮らせてくれと頼む。厄介な酔っ払いだと思われているかもしれない。でもまだ1度も断られたことはない。誰もがいい笑顔を向けてくれる。
ここは幸せな夜を過ごすための幸せな店なのだ。

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