横目流し目 応援してるぞ
仕事場の近所の711に、食料買い出しに出かけました。するとスナック菓子のコーナーに2列2段ものスペースを割いてビーバーが並んでいました。よその地域では珍しくもない風景かもしれませんが、ここは地の果て鹿児島です。あのぼんち揚すら並んでいないし、とよすハイサラダなんて夢のまた夢。そしてこのビーバーとなると奇跡でしかないのです。スーパーやコンビニで見かけたことなどありません。
このビーバー、北陸ローカルの超定番スナックで、北陸出身者でこれがないと生きていけないなどという人もいるくらいですし、知り合いの金沢に縁のある女性(55歳になろうという)は、これが目につくととにかく大量に買い込み、家族が断りもなしに袋を開けると激怒するくらいだそうです。
それが711に大量に。なぜだ!? 僕などは北陸、敦賀方面に取材に出かけた時くらいですよ、見かけるの。なぜかは別にしてとにかく買っとこうということで、5袋カゴに入れてレジへ。「5つですね」と笑いながら数えるお兄さんに、何故こんなに大量に並んでいるのかと聞きましたが「さあ」と首を傾げるばかりです。これは僕の勝手な想像ですが、普段は北陸で生産して北陸消費している商品ですが、能登の地震で生産や販売に苦労している生産者を流通が応援しようとしているのではないかと思いました。だったら僕も応援しようと。消費することで被災地の応援になるならと、もう5つ買い足しました。今月末には取材で現地にも行ってみようと思います。僕は僕にできることで応援したいと思います。
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INDEX
- 横目流し目 応援してるぞ
- 清水哲男のサンクチュアリ お酒肆
- Prof. 田川の揺れる音楽道「The day before, the day after:The scenery of a nuclear power plant」
- しみてつコラム「50年目の恋」
- 揺れて歩く人々の問い vol.74
- 清水哲男写真展・イベント開催のお知らせ
- ご購入のご案内
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清水哲男のサンクチュアリ
お酒肆@天文館,鹿児島千日町
謳い文句は〈旬の魚介と厳選した日本酒がお楽しみいただけます。食をたのしむ大人の居酒屋。各地の美味しい日本酒を、どうぞご堪能ください〉だそうだ。天文館で今評判の店だ。そういう店を覗くのは、僕にとってかなり珍しいことだ。〈美味しい日本酒〉にひかれたのだ。
僕はかなりの酒好きだ。27年前に京都から鹿児島に移り、以来ずっと美味い酒を飲ませてくれる店を探し続けてきた。残念ながら鹿児島で酒といえば焼酎なのだ。京都で飲む焼酎が高いのと同様、鹿児島で飲む日本酒は高い。僕の場合〈美味い〉という要件に〈安い・手頃な値段〉というのも外せないわけで、そうなるとかなり難しい話になる。だから〈美味しい日本酒〉を出すと聞けば必ず覗くようにしている。
この店、謳い文句もそうだが「お酒肆」という名前自体が、すでに酒にかなりの自信を持っていると見た。実際カウンターの中央に設られた冷蔵庫には様々な一升瓶、四合瓶が並んでいた。そのすべてが飲めるのかと思いきや、その日栓を抜いた数本に限ってのことだった。「どれもこれも栓を抜くと状態が悪くなるので……」店が売りたいものから空けていくというスタイルなのだ。じゃあ見せなければいいのにと僕なんかは思ってしまうが、8種類ほどが飲める。一合か五勺(半合)を選べる。一合で800円前後から1100円超まで。鹿児島で言うとそんなに高くないかもしれない。
料理も悪くないが刺身は5点盛り2人前から。一人客が少ないのだろうか。もう少し融通をきかせてほしい。僕が選んだのはかずのこ、トロたく、シメサバ、グジ(甘鯛)塩焼き、それに酒を5合ばかり。それで8000円ほどだった。安くもなく高くもなくという感じかな。だけど毎日晩酌をするように通える店ではないね。何かのイベントに使うのはいいかもしれないが。〆に土鍋で炊いたご飯はどうかとすすめられたが、もう少し場所をかえて飲みたいのでとことわった。
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Prof. 田川文彦の揺れる音楽道
The day before, the day after:The scenery of a nuclear power plant
https://soundcloud.com/yurete_aruku/the-day-before-the-day-after
The day before, the day after
Who would have imagined that such a day would come? It arrived without any warning. It was an unexpected day.
前日、翌日
誰がそんな日が訪れることを想像しただろうか。その日は何の前触れもなく訪れた。想定外の日だった。
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しみてつコラム
50年目の恋
高校の同窓会に行ってみようかなと思った。卒業して50年たってはじめて行ってみようと思ったんだ。そういえば度々案内は来ていたようだが、若い頃は同窓会などどうでもよかった。別に会いたいと思うような人もいなかったのだ……。人生、いわゆる晩年というやつを迎えて、ちょっとしたノスタルジーかもしれないなと、自分でもおかしく思った。
どういうことなんだろうと、自分の頭の中を整理してみた。ここまで生きてきて、自分ではそれなりに頑張ってきたつもりだ。振り返るとあっちこっちにふらふらはしているものの、自分の足跡ははっきり見えている。みんなはどうなんだろう。10代の後半を一緒に生きたみんなは、その後どんな人生を歩んだのだろう。そんなことを思った。
同窓会は黙祷からはじまった。すでに他界した同窓生に捧げるものだ。僕が親しくしていた何人かもすでにこの世の人ではなかった。50年という時間の長さを感じた。校歌を斉唱して乾杯した。グラスを合わせる音が何故かさみしい。400人ほどいた学年で76人の出席者。76の思い出が会場に漂う。だが僕は一緒に思い出に浸る相手をなかなか見つけられないで、隅のテーブルでまわりを見渡しながらひとり酒を飲んでいた。
「清水哲男くんでしょ?」
何人かに声をかけられはしたが、共通の話題などあるわけではなく、すぐにひとりに戻る。
そんなことを繰り返していると、いかついおじさんがにやにやしながら近寄ってきた。
「おい! 清水! 俺や!」
肩をバンバン叩かれて遠い記憶が揺さぶられた。陸上部で一緒に放課後のグラウンドを走った男だった。しばらく近況を語り合っていると、次第に人が集まってきた。陸上部のメンバーだ。それぞれを当時の呼び名で呼び、懐かしい練習や合宿の話、この50年の話をした。むせかえるような汗の匂いが鼻先によみがえった。みんな頑張って生きてきたんだ。生きているんだ。よかった……。そんな思いで会場を後にした。
鹿児島に戻ってからだが、なんだかノスタルジーに囚われて、リアリティを見失いそうな自分に手を焼いている。リアリティ、現実というのは自分が何者であり、自分が誰であるかということを完全に受け入れることだと誰かが言っていた。50年前の僕を知っている人たちにとって、50年ぶりに会う僕は現実の存在ではなかったようだ。僕の現実と彼らの現実は違う。思い出の中の清水哲男が溢れ出し甘いノスタルジーにまぶされた僕が出来する。そいつが僕に迫ってくるのだ。その清水哲男像に何日もたった今も悩まされている。いや、あの日、あの場所にはもう戻れないという胸の奥の切ない思いがそうさせているのだろうか。自分で言うのもなんだが、僕は案外ロマンチストでありえない想像に身悶えするフラヌールなのかもしれない。
僕はあの頃の僕に恋したようだ。
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揺れて歩く人々の問い vol.74
「あなたには長く続けていること、ありますか?」「長く続けたいことありますか?」
隔週で月2回配信してきた「揺れて歩くニュース」がもうすぐ100号を迎えます。支えていただいた皆さんのおかげで、4年の道のりをコツコツ歩いてくることができました。100号は単なる通過点で、もっと先、そう行けるところまで行きたいと思います。そこであなたにおたずねです。
「あなたには長く続けていること、ありますか?」あるいは「長く続けたいことありますか?」
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F.Tさん ニンゲン?
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T.Kさん 当然お酒です^^;
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I.Mさん
長く続けていることに座禅があります、特別に考えずただ座る。ただ呼吸を数えて、すそく
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F.Mさん
飽きっぽいので長く続けるのが苦手なので
長く続けていた事について…
2歳からピアノを習っていて
音大に入るつもりで毎日3時間4時間の
練習してきたのですが
高校三年生でその夢が絶たれました
先生がエホバの証人にハマッて
演奏旅行にエホバの証人の大会への参加が組み込まれたり
発声練習に『わたしの聖書物語の本』
とか言う教本みたいなのを使われたり
気持ち悪すぎて辞めてしまいました
ヤマハとかなら
違う先生に変わればよいだけなのですが
個人のピアニストに習っていたので
他の先生に引き受けてもらうのも難しくて
断念しました
自分の力の無さで諦めるとかなら
諦めもつきますが
新興宗教に夢潰された感じで
今もたまに布教活動で家のピンポン鳴らされると怒りが沸き起こります
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F.Tさん
長く続けていること
音楽です。なぜそうなったのかはよくわからないのですが……。
長く続けたいこと
ひとりの女性を(から)ずっと愛し続け(てもらい)たいです(; 😉
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C.Hさん
あります。自分のゴッツい好きな音楽の数々を聴き続けて研究して、その演奏者が、その瞬間に感じているグルーヴと同じ波に乗れるまで、その背景にある文化と生まれでた音楽を見て、聞いて、踊って、行けるところまで近づくことです。子供時代を除けば、それを目標に聴き始めてまだ30年。足りていません。けど、イイところは、分かるに連れてドンドンと楽で楽しく気持ち良くなっていくんです。
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詳しくは
https://www.facebook.com/groups/1651099238372682/posts/2793735487442379/
をどうぞ。
次回〈揺れて歩く人々の問い vol.75〉は、
「あなたは同窓会に出る派? 出ない派? どちらですか」です。FBグループ「揺れて歩く人々の対話テーブル」にアップしますので、そちらにコメント書き込みをお願いします。
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清水哲男写真展・イベント開催のお知らせ
清水哲男写真展「笑う力」
開催のご案内
どんな逆境にあっても、どんなに悲しくて辛くても、人は笑う。
笑う力は生きるエネルギーとなり、人は人生という透明な軌道を走っていく。
昨年京都文化博物館別館 JARFO京・文博で開催した写真展「笑う力」に新しい作品も含めてご覧いただきます。
2024年4月12日(金)〜17日(水)
12:00〜18:00(最終日は16時まで)
清水は毎日在廊いたします
Space Mu
〒543-0042
大阪府大阪市天王寺区烏ケ辻2丁目2−16
06-6771-1168
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清水哲男写真展「笑う力」会期内イベントとして
タカダワタリズム2024開催決定!
4月16日は高田渡さんのメモリアルデイだ。
その日にあわせて2013年に第1回を、それから2014年、2020年と渡さんのお骨のある鹿児島で、タカダワタリズムというタイトルで渡さん縁のミュージシャンを招きライブを続けてきた。
1回目に歌ってくれた中川五郎さんの言葉をかいつまんで紹介する。
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2005年4月16日、高田渡さんの魂は天に帰った。だから渡さんはいたるところにいて、ぼくらが彼のことを想えば、そして彼の歌を歌えば、いつでもそこに来てくれる。
渡さんの命日に彼を想い、彼の歌を歌う集まりを毎年やろうという話が持ち上がった。もちろんただ渡さんを偲ぶだけでなく、彼の歌を、彼の生き方を未来にも伝えていこうという集まりだ。
そのタイトルに選ばれたのが「タカダワタリズム」という言葉。ワタリズムは、Wata-rhythmにしてWatar-ism。自分のリズムを大切にしながら人生を生き、自分のリズムで歌を歌い続け、自分の考え=イズムを持ち続けた高田渡という人を表す言葉だ。
4月16日、きっと渡さんはぼくらのそばにやって来て、あの独特のリズムで一緒に歌い、踊ってくれることだろう。
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4回目となる今回は大阪に場所を移して、清水哲男写真展「笑う力」展示の中で、中川五郎さんと大塚まさじさんを迎えてみんなで渡さんを想いながら歌い踊りたい。
日時:2024年4月16日(火)
OPEN 17:00
START 17:30
出演
カオリンズ(OA)
中川五郎
大塚まさじ
charge:3500円(1ドリンク付)
会場:cafe gallery Space Mu
所在地: 〒543-0042 大阪府大阪市天王寺区烏ケ辻2丁目2−16
( jr桃谷駅から259m )
電話番号: 06-6771-1168
https://www.facebook.com/events/756612949328672/
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清水哲男写真展「美しいニッポンの風景」
平穏の中に息を潜めるモノ
開催のご案内
美しい海岸線。しかし何とも言えない違和感が漂う。
それは彼方に巨大な建物のせいだとすぐにわかる。人々は豊かさのためにそれは必要だという。ほんとうにそうなのか……。フクシマを見るがいい。平穏な風景の中に脅威は息を潜めている。
2024年4月26日(金)〜5月6日(月)
11:00〜18:00(最終日は16:00まで)
5月3日に限り清水は不在です
@京都文化博物館 JARFO京・文博(京都市中京区三条高倉 京都文化博物館 別館)
TEL・FAX 075-222-0302
ギャラリー規定によりお花の贈り物はご辞退いたします。
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清水哲男写真展「美しいニッポンの風景」ギャラリー外イベントとして
金森幸介ライブ2024 開催決定!
会場:ふくや京都(京都市中京区三条通り東洞院東入菱屋町39)
日時:4月29日(月・昭和の日)
OPEN 16:00
START 18:00
出演:金森幸介
charge:3000円(別途要飲食:美味しい山形郷土料理と銘酒をお楽しみください)
主催:清水哲男事務所
後援:特定法人京都藝際交流協会JARFO
このライブは清水哲男写真展「美しいニッポンの風景」@JARFO京・文博(2024年4月26日〜5月6日)のギャラリー外イベントとして開催します。
https://www.facebook.com/events/232868643231208/
予約は清水哲男事務所にメールにて
info@office432.jp
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★揺れて歩くニュースバックナンバーはこちらからどうぞ。
https://interearth.jp/archives/category/mail-magazine
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種子島の風景と暮らしを、展示した作品の中から32点に絞って収録しました。清水哲男には珍しいオールカラーの作品集です。お買い求めは、清水哲男事務所のBOOK SHOPからどうぞ。ちょっぴりお買い得な2冊組も用意しました。
清水哲男事務所のBOOK SHOP https://shop.office432.jp/
清水哲男事務所近辺にお住いの方には手渡しも可能です。
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「揺れて歩く ある夫婦の一六六日」は下記のネット通販をご利用ください。
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エディション・エフのブックショップ
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「揺れて歩く ある夫婦の一六六日」概要
頁数:192p
体裁:B5変形横型(182mm×210mm)
ISBN:978-4909819086
2020年4月15日 初版発行
価格:2420円(本体2200円+税)
最後までおつきあいありがとうございました。
本メールマガジンは原則毎月2回隔週にお届けいたします。
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発行者:清水哲男
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