ご挨拶

親しくしていた人が、突然余命数カ月と診断されて、それでも自分の生き方を貫こうとする姿に心動かされ、自分も徹底的に生きなければなどと思っていた矢先、別の知人が肝不全で急死したという知らせが届きました。先の知人はぼくと同年代、後の知人はぼくよりはるかに若い。残念で仕方がありません。いちばん残念なのは本人に違いないのですが、人生のほんの短い期間糸がもつれるように時を共にして、彼らの生き様は大病を患った後ややもすれば弱気になるぼくを大きな笑いのうちに励ましてくれました。事情を知らない人は言います。どうせ酒の飲み過ぎだろう、と。不摂生の結果だ自業自得だ、と。確かにそうかもしれません、しかしやりたいように生きずして、それに勝る大きな果実が得られるのでしょうか。「やりたいことやらずに、何が楽しい人生やねん」と祖父がよく言っていたのを思い出します。もうちょっと長生きしたいけど、やりたいことは徹底的にやりたいと思う清水哲男です。

サンクチュアリ 雀寿司@天文館, 鹿児島市

天文館のど真ん中。文化通りと二本松馬場の賑やかな交差点に店を構える。周囲には華やかに着飾った若い女性や黒服を見にまとった男性が立ち並ぶ。客引きだ。この街は最盛期には6000軒以上の店が営業していたと聞いた。雀寿司はそういった店からの出前で毎晩忙しい時サンクチュアリ 雀寿司@天文館, 鹿児島市間を過ごしている。昨今寿司屋といえば、鹿児島市内を見ても高級割烹かと思うほどの値をとる。気軽に飲みになどいけない場所になったようだ。しかし、ここ雀寿司は違う。1人前刺身を切ってもらったとしても1000円ほどですむ。それにゲソでも焙ってもらい、焼酎を飲(や)る。2500円もあれば十分に酔える。小腹が空いたら寿司の1貫か2貫握って貰えばいい。8人も座れば満席になるカウンターの片隅で、テレビを見上げながら大将と世間話して時間を過ごす。酒飲みには至福の時間だ。

INDEX

  1. サンクチュアリ 雀寿司
  2. Prof. 田川の揺れる音楽道「The breath of atoms:The scenery of a nuclear power plant」
  3. 揺れて歩く人々の問い vol.64
  4. しみてつコラム「静かに幕が降りるとき」
  5. ご購入のご案内

「Koneちゃんのプチボタニカル日記」は今回おやすみです。

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Prof. 田川文彦の揺れる音楽道

The breath of atoms:The scenery of a nuclear power plant

The breath of atoms:The scenery of a nuclear power plant
https://soundcloud.com/yurete_aruku/the-breath-of-atoms-the
t had been sleeping deep underground, but the wickedness of humanity awakened it as a monster.
原子の吐息:地中深く眠り続けていたが、人類の邪悪さが怪物として目覚めさせた。

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揺れて歩く人々の問い vol.64

「朝の卵料理といえばあなたが思い浮かべるのは目玉焼き? ゆで卵? スクランブルエッグ? TKG? さてなんでしょう」


今回は多くを語りません。へえ、こんな卵料理があるんだぁっていうのを聞かせてください。
ーー
I.Mさん(西之表市)
朝の卵料理なら、断然プレーンオムレツ。ホテルの朝食バイキングなんかで、目の前で作ってくれるのが見るのも、食べるのも大好き。お代わり必須w
ーー
T.Kさん(対馬市)
そういえばここのところずっと朝に卵は食べてない。パンと野菜とハム2枚です。時々卵かけご飯が食べたくなった時や納豆が食べたくなった時にはご飯炊いて卵を食べます。やっぱ一番は卵かけご飯かなぁ。
ーー
M.Fさん(京都市)
ほぼ毎日卵かけご飯です
それも無限ループの…
というのは毎朝
卵を割ったら
白身だけをご飯にのせかき混ぜます
黄身はしょうゆを少しいれた
小さな器に落として
冷蔵庫に入れます
で、冷蔵庫から昨日の醤油漬けの黄身を取り出して
醤油ごと白身だけを混ぜたご飯の上に載せます
これを崩しながら
食べる卵かけご飯が無限ループの朝たまごです
ーー
C.Hさん(藤井寺市)
ごめんなさい。玉子は買わないようにしています。冷蔵庫を開けるたびに賞味期限のプレッシャーを感じるので。🤢🤢🤢 少ない数で売ってるのは損な気もして。買えません。好きなのは、お祖母ちゃんが生前震える手で作ってくれた焦げもあるグチャグチャの出汁巻きです。多分隠し味は味の素と睨んでいます。同じように作れませんが。🤤
ーー
H.Cさん(北名古屋市)
夏には火を使わず暑い思いせず作れる「レンジ卵」が楽です。器に少しの水かミルクを入れ卵と好みの調味料を入れてかき混ぜる。あとは、ラップをせずにレンジで1分30秒チンして完成です。器から剥がす様に飛び出してパンに挟むとあっという間に卵サンドの出来上がりです。お菓子をご飯代わりに食べてる清水さんにもお手軽に作れます☺️
ーー
R.Mさん(薩摩川内市)
毎朝 目玉焼きにフルーツにトマトちょこっと生野菜 トースト一枚にKEY COFFEEドリップが私の担当 目玉焼きは硬めです
水の差し加減とフライパンの焼きがポイントです!
ーー
H.Mさん(鹿児島市)
朝はスクランブルの様な炒り卵の様なのが簡単で定番です。小学生の時に家庭科の実習で、同じ班の娘が美しいグラビア付の英国の料理本を持ってきて、一際魅力的な写真のエッグベネディクトという料理を作ろうと企てたのですが、
先生もレシピを読み解けず仕舞には実習当日材料が揃わず僕らの班だけ見学になった苦い思い出があります。だから朝は簡単な料理が一番だと思い知らされているのです。
ーー
詳しくは以下のページをご覧ください。
https://www.facebook.com/groups/1651099238372682/permalink/2702089966606932
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しみてつコラム「静かに幕が降りるとき」

Bar T-Bird

雨の降る天文館。
傘も持たずにほっつき歩いて、逃げるように小さなバーに飛び込んだ。
ここはいつも懐かしい音楽が流れている。
誰かがマスターにリクエストした。
「大滝詠一のスピーチバルーン、かけてよ」
その曲はぼくを一気に40年前に引き戻した。

「黄色いワーゲンにはサーフボードがよく似合う」そんなことも言っていた

黄色いワーゲンは彼女のアコガレだった。
発売されたばかりの大瀧詠一の「A LONG VACATION」の中の「雨のウェンズデイ」という曲Bar T-Birdが好きだった。
ぼくは、ブルースとかジャズとかロックとかばかりを聴いていたが、彼女に引きずられてそんな音楽も聴くようになっていた。
ぼくが「スピーチバルーン」の方がいいんじゃないかと言うと、「ダメ! 絶対こっち!」と譲らなかった。
彼女の好みにあわせて黄色いワーゲンを買った。中古のポンコツで、エアコンもカーステも付いていなかった。大きなラジカセを積んで、カセットテープをかけながら、冬の雨の日を選んで南の海を目指した。誰もいない夜の海に向かってヘッドライトのパッシングをするために、だ。
「うたに出てくるワーゲンは黄色だったっけ?」
「イメージよ!」
「パッシングは『スピーチバルーン』やなかったっけ?」
「あんた好きなんでしょ!」
「なんで冬で、なんで雨なの?」
「絵になるでしょ!」
そんな会話とエンストを繰り返しながらひたすら走った。

「青年よ大志を抱け」が口癖だった

その数週間後彼女は目の前から消えた。コピーライターになるんだと、東京に行ったのだ。ぼくに残ったのは黄色いワーゲンと「A LONG VACATION」。フラれたんだ。
数日前Facebook上で、40年ぶりに友人と再会した。メッセージが届いた。
「コピーライターになった女の子おぼえてる? 彼女、5年ほど前に死んだよ。交通事故で。葬式に行った。フリーのコピーライターとして頑張ってた……。イタリア人の男と結婚して子供ができて……。てっちゃんのことよう話してたなあ」
ショックだった。彼女が亡くなったということももちろんだが、彼女の顔を思い浮かべようとして思い出せない自分がショックだった。いくら思い出そうとしても、後ろ姿しか出てこない。
あの、真夜中の海。パッシングの光。それを追いかける彼女の後ろ姿。ぼくはずっと運転席から眺めていた。彼女は震えながら両手で自分のからだを抱きしめていた。

暗い海に向かって
ヘッドライトのパッシング
君は泣いているのか
もう遠すぎて 何も映らない

サーフィンが好きだった

あのアルバムが出てからもう40年以上が過ぎた。
時代は変わった。ぼくも変わった。
いくつもの物語が浮かんでは消えていった年月だった。結末はどれも遠い闇の向こうに消えていった。決してこの手には残らない。そうしてやがてぼくも消えていくのだろうか。静かに幕が降りていくような気がした。

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