ご挨拶
前号の「ご挨拶」の中で、地球温暖化による気象異常は「私たち人間が幸せになるために、地球をどんどん消費してきた、食い潰してきた結果だと」僕は思うと言ったところ、複数の方からメッセージをいただきました。その解決策のひとつに原子力発電があるのに、清水は否定的だというご批判です。いえ、僕も原子力がそういう役割を担えたらいいなあと思います。ただし、安全で信頼がおける装置としてという前提で。今いちばん問題になっているのはそこでしょう。安全・安心が担保されているか。電力会社、行政が誰の方を向いて仕事をしているのか。そんなことが信用できないのです。僕は。それに、原発動かさないと電力不足だっていうけど、今だって西日本の10機しか運転してないわけで、それなら風力、太陽光、地熱、潮力とか再生可能エネルギーにもっと投資したらいいんじゃないかと。コスト高になるっていうけど、原発の廃炉処理や事故対策、さらには運転延長に係る費用まで消費者が負担するって話になってるし……。風力発電のデメリットなどどれだけ指摘されても、風車は倒れたらただのスクラップだけど、原発が壊れたらただのスクラップじゃ済まない。なんだか何を信じていいかわからない清水哲男です。

サンクチュアリ イパネマ@東千石町, 鹿児島市

イパネマといえば「イパネマの娘」。アントニオ・カルロス・ジョビンの手によるボサノバの名曲。この店と音楽のつながりを思わせるに十分の舞台装置だ。一歩足を踏み入れると、狭い通路の先になんとも言えないゆる〜い空間がひろがる。内装はおおよそ手づくり。そこから醸し出される不思議な味わいがそのゆるさの素なのだろう。けっこう広い空間には長いカウンターと大きなテーブルがいくつか。ピアノ、ドラムス、それにギターが置かれ、壁にはアーチストの作品が掛けられている。マスターの人柄が、これまたゆるい。売りは何かとたずねたら「おでんとオールジャンルのミュージックですかね」とはにかんだように笑った。夜な夜な集まる客たちがユニークでこの店の個性を際立たせている。アーティストを招いてのライブイベントも不定期で開催されている。ここだけの話だが、かなりの大物も現れる。ここは、どこかで飯を食い、その後1杯やった帰り際にゆる〜い空気で脳みその中のモヤモヤを解き放つのにピッタリの場所。今夜は壊れたい、そんな時にのぞいてほしい。

INDEX

  1. サンクチュアリ イパネマ
  2. Prof. 田川の揺れる音楽道「Madness and Disintegration:The scenery of a nuclear power plant」
  3. Koneちゃんのプチボタニカル日記⑤
  4. 揺れて歩く人々の問い vol.62
  5. しみてつコラム「無名の強さ」
  6. ご購入のご案内

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Prof. 田川文彦の揺れる音楽道

Madness and Disintegration:The scenery of a nuclear power plant

Madness and Disintegration:The scenery of a nuclear power plant
https://soundcloud.com/yurete_aruku/madness-and-disintegrationthe-scenery-of-a-nuclear-power-plant
“Monju,” the world’s first fast breeder reactor constructed with dreams, has been plagued with accidents and cover-ups since its operation began. As a result, now, 40 years after its establishment approval in 1983, Monju awaits decommissioning.

発狂と解体:原発のある風景
世界に先駆けて建設された「夢の原子炉」高速増殖炉もんじゅは稼働以降事故と隠蔽を繰り返した。その結果1983年の設置許可から40年たった今、もんじゅは解体を待っている。

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Koneちゃんのプチボタニカル日記⑤
by Kone Kami

「移り気もしくは浮気性」

出張から戻るとアイビーの姿はなかった。
「完全に枯れてしまいました」
あとを託した多肉ちゃん擁護派のメンバーは申し訳なさそうに言った。仕方ないじゃないか、と笑って見せたがやはりこの事務所でグリーンを育てるというのは無理なのかと落胆してしまった。がさつな男ばかりの世帯だ。趣味であっても植物を相手にするのは所詮無理な話だったのかもしれない。
「どれもお不精さんにぴったりの育てやすく、手のかからないものばかりです。どうぞプチ・ボタニカルライフを楽しんでください」などという花屋のおねえさんCさんの言葉についその気になってしまった。どうやら我々は「お不精さん」ではなく「とんでもなくお不精さん」だったようだ。多肉ちゃんどうでもいい派のほくそ笑む顔が思い浮かんだ。花屋のCさんに「ごめんね」とメッセージを送ると、「よくあることです。こんなことでプチボタニカルライフを諦めないでくださいね」と返事があった。救いはアイビー以外の多肉ちゃん、グリーン氏が元気なことだ。
しばらく時間を空けて、花屋のCさんからメッセージがあった。
「とんでもなくお不精さんにも、絶対ピッタリと言っていいサボテンちゃんにしませんか?」
「とんでもなくお不精さんでもほんとうに大丈夫なの?」
「ええ。何もすることはありませんよ。ただ見てるだけ〜でいいです」
心が激しく動いた。ぼ〜っと見てるだけ、それこそが癒しなのだ。それに確かに今もひとつだけある小さなサボテンは、ずいぶん長くあるけれど、何かしたことがあるかと言われると、まったく何もしていないのだ。そのことにもっと早く気づくべきだった。アイビーという犠牲はあったものの、これは一歩前進かもしれないな。小さなサボテンをデスクの上に置いてじっくりと眺めてみた。
「いいねえ〜、いいよ〜」
自然と笑みがこぼれてくる。
「じゃあ、サボテンをいくつか持ってきてくれるかな」
「毎度あり〜😆」
花屋のCさんのメッセージはとても軽かった。
「その移り気がいちばんの問題じゃないすか。浮気性というか……」
多肉ちゃんどうでもいい派のリーダーが言い放った。

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揺れて歩く人々の問い vol.62

テーマ:「あなたはエアコンの設定温度を何度にしていますか?」


猛暑が続いています。猛暑どころじゃないですね。殺人的な暑さが続いています。その上電気料金はこれまた殺人的に高騰しています。さらには夏場の電力供給不足の責任を一般庶民になすりつけるような節電の呼びかけがなされています。この夏の電力不足は原発が思うように動かせないことと、我々が電気を使いすぎることが原因だと言わんばかりのキャンペーですね。「こんな状況じゃ、エアコンだって満足に使えない」と近所のお年寄りがこぼしていました。
そこであなたにおたずねです。あなたはエアコンの設定温度を何度にしていますか。あるいはエアコンをどのように使っていますか。設定温度に関係なくても、電気に関していればどのような事でもかまいません。お気軽にコメントください。
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R.Mさん(薩摩川内市)
エアコン無し。扇風機二台。
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M.Fさん(京都市)
清水哲男事務所は新しいクーラーに変えたて…で良く効いてるようですが、うちのクーラーは25年近く使っているので今にも壊れそうでヒヤヒヤしながら使用中です。今日も猛暑ですが22℃に設定して実際の室温は27℃です。これ以上設定温度下げたくてもトドメさしてしまいそうで下げられません。涼しい部屋でゴロゴロしたい。
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C.Bさん(藤井寺市)
26℃にしています。寒いと感じたら27℃に上げます。去年まで28℃でしたが、最近のエアコンはそれでは二階の床あたりがあまり下がらないのでやむなく。それと、寝るときにタイマーかけるのも止めました。起きる頃にすでに汗かいてるので。電気代は恐ろしいけど、病気になってタクシーで病院に行き来することなど考慮に入れると、たとえ電気代が一万円を越したとしても、涼しい部屋で過ごしたほうがいいと結論出しました。貧乏でも、夏の電気代と、冬のガス代は命懸けで確保しようと思っています。
もう一つ、これは子供の頃の思い出ですが。父が初めてクーラーを買った日には、近所のおじさん達が集まって見に来ました。まだ珍しかった時代です。「クーラーて涼しいもんでんなあ。」と皆さん、感動してはりました。父の温度設定はなんと18℃でした。それより上げると、怒鳴り散らして怒っていました。お前らは爬虫類かー!と。もっと冷やし込め!俺はそのために働いとるんじゃ!!という言葉が懐かしいです。家族は寒くて長袖で震えていました。昭和40年代の記憶です。
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T.Kさん(対馬市)
夜ちょっとだけ使います。27℃で扇風機を首振りで併用してます。寝る部屋は涼しいので就寝時は使いません。
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S.Yさん(鹿児島市)
エアコン部屋に一人なので、28℃~28.5℃の設定。朝9時から夜中3時までです。(就寝中はOFF)朝起きた時に、汗をかいているくらいの方が、体調が良いのです.
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H.Cさん(北名古屋市)
特に決めてません。毎日、時間によって温度を変えたり冷房から除湿に変えたりです。エアコンの機種によって冷え方も異なるので29度設定でもペンギンが出そうなくらい冷えます。窓を開けてエアコン冷房を使う事もあります。体調に合わせての使い方工夫です。
それから(新しい機種に)買い替えてから冷え方が違います。しかも、畳数の広いものにしたので寒いくらい冷えてます。20年前のエアコンより性能が上がったのでしょう。なので除湿でも充分な時も。近所の82歳の女性は、「テレビでエアコン付けろと言うので付けてるけどクーラーが嫌いなので30度でつけてる」と。室内に招いて貰ったら外よりかなり暑くて私が熱中症になりかかりました。これも問題ですね。
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N.Yさん(鹿児島市)
26℃微風こまめに消したりつけたり 但し風呂上がりは25℃強風
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詳しくはこちらから
https://www.facebook.com/tetsuo432/posts/pfbid02madY6NVsHYfxC4VhLRUZdTYCHzVrPSpJtMiVFA6PNDkjnPo6ZtcZTmm32nU6NT8Fl

【予告】
次回63回目の〈揺れて歩く人々の問い〉は
「あなたは腕時計派ですか?スマホ派ですか?」です。
スマホがあるから腕時計はいらないと言っていた人も、スマートウォッチならするという奇妙な時代です。
さてあなたはいかがですか?
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しみてつコラム「無名の強さ」

庭の雑木。育ちながら種子を拡散している

仕事場の庭に1本の木がある。
庭の他の植物に比べて短期間に大きく育ち、庭に張り出したそう広くはないウッドデッキ全体をシェードで覆ってくれている。おかげで1階は真夏でもエアコンをかけなくてすむ日もある。
どこからか鳥が運んできたに違いない。そもそも手入れなどしないから庭は雑草だらけだ。僕はそういう雑然とした庭が好きだ。隣近所の手入れの行き届いた庭じゃ落ち着かない。種々入り混じって背丈ほどある草たちが好き勝手に生えのびる庭が、子どもの頃走り回った空き地みたいで面白いじゃないかと放置していた。するとその木はあっという間に屋根を越えるほどに成長したのだ。
「雑木林みたいになってきましたね」近所のおばさんに笑われた。かと言って、せっかくここまで育ったのだから無下に切り倒すのも可哀想だなとそのままにしておくことにした。
隣の庭に時々やってくる庭師に、あれはなんという木かとたずねた。
「雑木だな。雑草がそのまま育った雑木。伐ってやろうか」庭師も笑った。
雑木か。名もなき木だ。僕の庭にはふさわしいかもしれないな……。「いいよ」と答えると、庭師は不思議そうに僕を見た。
ようく見ていると、この木があることでこの庭はけっこう素敵な場所になっている。1年を通して多くの鳥たちがやってくる。特に朝はにぎやかだ。鳥を目当てに猫たちが集まってくる。住宅地の坂の途中にある庭で囲いもフェンスもない。猫どころか坂を登る途中に木陰で休憩していく人もいる。犬の散歩の途中に立ち寄る人もいる。この木があることでここはいろんな生き物が集まる場所になっているのだ。
ある日そいつの木陰でビールを飲んだ。その時ふと思った。
この木にだっておそらく名前はあるはずだ。しかし、桜や梅や藤のように美しい花を咲かせるわけではなく見栄えがいいわけでもない。言ってみれば人にとって価値のない草木のひとつなのだろう。価値どころか、秋になるとそれまで生い茂っていた葉が一気に茶色くなり、庭は落ち葉に埋もれる。厄介なやつなのだ。人は価値もなく厄介な草木を全部ひとまとめにして雑草、雑木で片付けてしまう。名前など忘れられた存在になるのだ。いかにも自分勝手な人間のしそうなことだな。
だがこの木は忘れられたことを喜んでいるかもしれない。人の都合でつけてほしくもない名前で勝手に呼ばれないことを。無名の強さだな。
「人の都合で伐り倒されるじゃないか」
とあなたは言うかもしれない。しかし雑木の生命力を毎日目の当たりにしている僕は思う。なんの手入れもしないのにすくすく育つこいつらは強い。この先この周辺の建物が朽ちた後、この雑木たちがこの辺りをもとの自然に返す主役になるはずだと。

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