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INDEX

  1. 横目流し目
  2. 清水哲男のサンクチュアリ まごころ
  3. Prof. 田川の揺れる音楽道「wasteland:The scenery of a nuclear power plant」
  4. 揺れて歩く人々の問い vol.70
  5. しみてつコラム「おかげで僕は元気です」
  6. ご購入のご案内

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横目流し目…..ご挨拶に代えて

陸上自衛隊第一空挺団@南種子町前之浜,2016年10月18日

屋久島沖で米軍横田基地所属のCV22輸送機オスプレイが墜落した事故に大きな衝撃を受けたのは僕だけでしょうか。オスプレイという航空機は開発途上から事故が相次ぎ、安全性に問題があると指摘され続け、それでも日本に配備され、いつの間にか自衛隊にも導入されて……。日本国内では今回が初めての死亡事故だそうです。そのオスプレイが、日本の空を縦横に飛んでいることにも驚きました。事故機は岩国基地から那覇の嘉手納基地を目指していたと。鹿児島、南西諸島は飛行ルートにあたるんですね。僕らの知らないところ、見えないところで静かに進む戦争の準備みたいなものがちらりと見えたような気がして、そして僕らはその真下で暮らしているのだとちょっと不安になりました。
屋久島、種子島、鹿児島はいま、先島、沖縄と一体となる「南西諸島防衛の要」として注目を集めています。
種子島沖の馬毛島ではいま自衛隊の基地建設が進んでいます。自衛隊の、とはいうものの完成後は滑走路を航空母艦の甲板に見立て米軍機の空母への着艦訓練(FCLP)を行う施設となるそうです。だけどずっと前から種子島は訓練の場として使われ続けてきました。種子島では若い自衛隊員と訓練、演習の合間に話をしたこともありました。みんな屈託の無い国を守ることに使命と誇りを持つ好青年ばかりでした。陸上自衛隊の最精鋭部隊第一空挺団の2人の兵士は、ヘリコプターから空へ身を投じる瞬間を実演してくれました。実践になれば砲弾の飛び交う中に身を投じるわけです。実演を見ていた人の中から「かっこいい!」という声が上がりましたが、できれば実戦でそんなことをしなくてすむように思わずにはいられませんでした。
ウクライナやガザを見てもわかります。実際の戦場で死ぬのは子どもや女性、年寄り、そして何より若い兵士なのです。戦争を政治の手段と考えるような政治家は死なないのです。いくつになっても権力を握り続けようとする妖怪のような年寄りの政治家は死なないのです。もっと言うなら、どんな理由があるにせよ戦争を起こさないことが政治の責任なんですよ。
ほら、そこのクソジジイたち、いい加減に引退せえよと思う清水哲男です。

降下の実演@南種子町前之浜,2016年10月18日

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清水哲男のサンクチュアリ

居酒屋まごころ@白銀町,敦賀市

敦賀から若狭高浜にかけて〈原発のある風景〉の取材に出た。
敦賀ではひとつの目的があった。
「敦賀に行ったらまごころで早瀬浦!」
スタッフのひとりがとある酒場で「孤独のグルメ」の原作者久住昌之さんと隣り合わせになり、そんなことを聞いてきたのだ。だから敦賀に着いたら、まずまごころという居酒屋に行き早瀬浦を飲むと決めていたのだ。
まごころは敦賀駅前のおでんを看板にする居酒屋。早瀬浦とは若狭の地酒だ。久住さんはそれをお決まりにしているらしい。
まごころはカウンターだけの、8人も入れば満席になる小体な店だった。細い路地に面した入口とやや広い通りに面した入口があるが、どちらも一見の客にとってはなかなか入りづらい雰囲気を醸し出している。地元のご常連専用みたいな……。でも、そういう店の方が、地元の人たちの本音の話が聞けるかもしれないな。僕はそう期待した。
カウンターの中には、多分夫婦だろう愛想の良さそうな女将さんと、少々仏頂面のマスターの2人。カウンターの客は予想通りほぼジモティ。ご常連と女将の会話の間隙をぬってへしこの刺身、おでんいろいろ、焼き餃子、焼きそばを注文。酒はもちろん早瀬浦。この酒は蔵の敷地に湧き出すミネラル豊富ないわゆる硬水を仕込水に使い、灘に並ぶ男酒と言われているが、地元の飲み手によると味わいもはるかに豊かで「美男酒だ」そうだ。
へしこって焼いて食べるものだとばかり思っていたが、麹を落として生のままでも食べられることをはじめて知った。しかもそれが酒に合う。おでんもなかなかいける。海のあるまちに来たんだからうまい魚をと思わなくもなかったが、その日の仕入れの加減か刺身はなかった。
壁を見ると、あの吉田類さんも何度か訪れているようで、サインなどが張り出されていた。
その日の客にようやく慣れたのか、仕事が一段落したマスターもポツポツと話しはじめる。久住昌之さんのことを話題にした。マスターは彼のことを全く知らなかったらしい。後で聞いてびっくりしたなどと照れ笑いを浮かべた。この人は仏頂面などではなくて多分、きっと照れ屋なんだろうな。
もし敦賀に住んでいたならきっと毎晩通ってるだろうな。そんなふうに思わせる料理の味、酒の味、店の味、すべてが普段着で居心地のいい店だった。
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Prof. 田川文彦の揺れる音楽道

wasteland:The scenery of a nuclear power plant


https://soundcloud.com/yurete_aruku/wasteland
After the nuclear power plant was built, all the harvests were taken away, leaving wasteland behind.
荒土
原発ができて、あらゆる実りは奪い去られ、荒土が残った。

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揺れて歩く人々の問い vol.70

あなたがあきらめたモノ、コトはなんですか? あきらめきれないモノ、コトはなんですか?


重い障害と向き合い60年を生きてきた友人は、30年前に夢をたずねられた時、「結婚」と答えました。30年後
再び「夢は?」と問われると「ない」と答えました。「結婚はあきらめたのか」と問うと「あきらめた」と。そして「あきらめきれないものは?」と問われると「恋愛」と、少々照れながら答えてくれました。さてあなたはいかがでしょう。
この問いかけも70回を重ねることになりました。100回まであと少し。今しばらくお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
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K.Oさん
あきらめたこと
あきらめたいこと
あきらめきれないこと?
「ヒトに好かれる努力」
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M.Tさん
世間や知人と感じることを共有することが難しい、あるいは不可能に感じる。よって、世間と繋がることなくとも、いつでも安定した精神でいることが望みです。
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C.Bさん
遠い昔の若い頃から私の諦めたことは結婚、そして母親になること。諦めきれないことは、歳をとっても、出来ることならば音楽を続けることです。お婆ちゃんのジャズ・シンガーになれたら思い残すことはありません。実現させるのは難しそうですが。
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T.Kさん
これは難しい質問だなぁ
欲の問題ですよね。それならもうほとんどのことをあきらめたとも言えますが、歌を作っているということは、もっと自分が納得できる歌を作りたいという欲があるんでしょうね。でも若い時のようにそのことに心は奪われてなく、他力本願でどっかから降ってくるのを待ってるって感じですかね。時々それが降ってくるから面白い😜。
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M.Fさん
諦めきれない事>>あくなきお酒への欲求
諦めた事>>痩せること
これは表裏一体、セットですね。
旅行行こうか=どの銘柄のお酒呑もうか
ご飯行こうか=これにはあのお酒が合うよね
自分でも感心しちゃうくらい呑むこと楽しんでます。
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詳しくは
https://www.facebook.com/groups/1651099238372682/posts/2773962072753054/
をどうぞ。
次回〈揺れて歩く人々の問い vol.71〉は、
「思わず本性が出る時ってありますか?」です。FBグループ「揺れて歩く人々の対話テーブル」にアップしますので、そちらにコメント書き込みをお願いします。

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しみてつコラム

おかげで僕は元気です

手術室に向かう(撮影:山ちゃん)

2017年11月27日の午後、僕は大腸がんの手術を受けた。下行結腸途中からs状結腸、直腸s状部の間に3カ所のがん病巣が見つかった。幸い肛門を維持することはできたが、大腸をおおよそ50cmを切除する手術だった。本人は麻酔で寝かされているのでまったくわからないが、けっこう大変な手術だったようだ。
手術前はさまざまな画像データの診断からステージ3の最終段階とされていた。「ここで見つかって運がよかったね」と。ところが術後のさまざまな病理検査でステージ4の初期段階に格上げ?されてしまった。主治医に尋ねた。3と4ではどう違うのか、と。
「簡単に言うと5年後の存命率が違います。3だと70%以上の生存率だけど4になると20%を切ります」
その時の心境をうまく言葉にすることは未だにできない。それから化学療法を受けたり放射線治療を受けたり、けっこう大変な日々が続いた。ひとつひとつがしんどかったけど、生きたい、生きるぞ、そんな気持ちで乗り切ってこられたように思う。もちろん大勢の人の物心両面の支えがあったことがいちばんだ。
手術直後に京都からわざわざ僕の好きなコーヒー豆を土産に見舞ってくれた料理屋の大将。大好物の田酒を差し入れてくれた酒場のマスター。手術に立ち会ってくれて、そに上ちょこちょこ顔を出し冗談を飛ばして帰る飲み友達。あいつは看護師が目当てだったのかもしれないな。人のお見舞いになんて行ったことのない僕を、大勢の人が見舞ってくれた。みんなが心配してくれていることに気づいた。そうしてこの6年、日常で仕事で数えきれないほどの力をもらい続けてきて、今日を迎えることができたことは言うまでもない。
「卒業試験みたいなものですよ」
主治医はそう喩えて笑った内視鏡検査を受けた。異常はなかった。これで大腸がんの術後フォローは終了だと。運もあるんだろうけど、よくここまで生きのびられたと一応胸を撫で下ろした。だけど最後のがんが見つかり治療を受けてからはまだ4年半だ。見通しは明るいと主治医は笑うが、もう半年頑張らなければならない。最後の最後まで20%に残れるように頑張らなければと、何かにつけて頑張りたくない僕は思うのだ。
最後にひと言お礼を。まだまだ油断はできませんが、おかげさまで僕は元気に生きています。みなさんありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

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最後までおつきあいありがとうございました。
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