ご挨拶
いま移動中のホテルの1室でこのニュースレターを書いています。一気に長距離を移動することが難しくなって……、じゃなくてあちこち取材を進めながら日本列島の西半分を移動するという旅に出たのです。最初の宿泊が山口県山陽小野田市、2日目は島根県松江市、そして3日目の今日が福井県敦賀市です。鹿児島を出る前には薩摩川内市を訪ねてきました。この地名をつないで、ああ、なるほどねと感じた方も少なくないと思います。そう今回僕は日本列島の西半分に所在する原発とその周辺地域を訪ねるという旅に出たのです。以前からお話ししていた旧くて新しいテーマに、いよいよ本格的に着手することしたのです。僕があとどれくらい元気に仕事できるかはよくわかりませんが、これが竟の仕事になろうとかまわないと思っています。そんなことを思いながら、おっ、俺もなかなかかっこいいじゃんなどと悦に入ってる清水哲男です。

サンクチュアリ やたい屋烏丸店@姉小路通東洞院東入, 京都市中京区

以前、やたい屋吉祥院店を紹介した事がある。やたい屋は京都で7店舗を数えるチェーン店だ。しかし、それぞれチェーン店然としたふうではなく、「やたい屋」という名前と「安い」はほぼ同じだが、どの店もかなり個性的だ。マニュアルがすべてを動かすチェーン店でなく、これはありだと思う。客層も幅広い。学生からかなりの高齢者まで、それぞれがそれぞれのスタイルで楽しんでいる。ということはつまみ、料理の類も幅広く充実しているということが壁の品書きを見てもわかるだろう。コロナ禍前は午前11時から開いていた。今は12時になったが、それでもそこよりも早い。酒飲みにとっては昼のみ天国のありがたい店だ。

INDEX

  1. サンクチュアリ やたい屋烏丸店
  2. Prof. 田川の揺れる音楽道「whisper of the wind:The scenery of a nuclear power plant」
  3. Koneちゃんのプチボタニカル日記③
  4. 揺れて歩く人々の問い vol.61【予告】
  5. しみてつコラム「3分間の法則」
  6. ご購入のご案内

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Prof. 田川文彦の揺れる音楽道

whisper of the wind:The scenery of a nuclear power plant

Rows of wind turbines stand side by side for wind power generation. Beyond this mountain, awakened from slumber, the nuclear reactors hum and stir. The wind turbines blend everything into the air, concealing it within the wind. The wind blows from the nuclear power plant.

風の音:原発のある風景
風力発電の風車が並ぶ。この山の向こうに眠りから目覚めた原子炉がうなりを立てて蠢いている。風車はすべてを攪拌して風の中に紛れさせる。原発から風が吹く。
https://soundcloud.com/yurete_aruku/whisper-of-the-wind
清水哲男写真集「揺れて歩く」サウンドトラック https://soundcloud.com/yurete_aruku

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Koneちゃんのプチボタニカル日記③
by Kone Kami

「プチ温室計画」

南国鹿児島は早くもエアコンが欠かせない季節になった。特に仕事場は東南に向かった山の斜面に建っている。すこぶる陽当たりがいいのだ。正午前には室温は30度を超えようとする。暑い。身体中が汗ばみ仕事にならない。で、エアコンをかける。
27度設定などとエコを心がけると、一向に冷えないので少々低い目の温度設定にするが、批判を恐れてここでは具体的な数値は出さない(汗) その前にクールビズをと言われそうだが、すでに働いている者全員が短パンにTシャツというかっこうになっている。これ以上クールビスと言われてもTシャツをタンクトップにするくらいで、ここは「YMCA」かっという風景になるのでそれは避けたい。エコ派の諸氏には申し訳ないが、室温をぐっと下げるということなのだ。
だが、ちょっと待て、多肉ちゃんたちは大丈夫か、グリーンな人々は凍えるんじゃないのか。やはり仕事の能率維持をあきらめてでも多肉ちゃんたちを大切にしなければならないのか。ここで事務所内で議論が起きる。ここで多肉ちゃん擁護派は敗れ去るのだ。仕事場の温度はぐんぐん下がっていく。
多肉ちゃん擁護派は、それならばと、多肉ちゃんたちの居場所をつくろうと盛り上がるのだった。プチ温室だ。早速IKEAで注文実行。カバー付きのシェルフユニットと小さな温室。これだけのスペースがあれば十分だろう。
2日後に届き早速組み立てる。んっ!?
「これいったいどこに置くんだ!?」
たしかにけっこうな場所を取る。多肉ちゃん擁護派は突然窮地に立つ。そこで多肉ちゃんどうでもいい派から「デッキに出せばいいんじゃないですか」という声がシレ〜と飛んでくる。
「いや待て、室内が寒くなるから温室を準備したんだよ」
「でも置けないんでしょ。仕方ないじゃないですか」
外は多肉ちゃん好みの蒸し暑さ。言われてみればだけど、多肉ちゃん、グリーン氏で仕事中の心を和ませるという目論見はどうなるんだ。外に出した温室に入れたのでは暑すぎないか……。しかし、片付けたとしてもスペースの確保は無理だ。いろいろ検討したあげく、多肉ちゃん、グリーン氏はデッキに移ることになった。
「なんだかプチ温室計画、失敗に終わったようですね」
多肉ちゃんどうでもいい派は勝ち誇ったように笑った。

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揺れて歩く人々の問い vol.61【予告】

テーマ:「あなたは、マスクについてどう思いますか?」

さて、新型コロナウイルスも2類から5類に格下げ(?)され、ほとんどの行動規制が緩和され、コロナ前の自由な夏が帰ってきそうですね。しかし、感染しなくなったというわけではなく、感染第9波がささやかれはじめています。いまなお予防対策を徹底しているという人も少なくありません。一方で、戻りはじめたインバウンドのほとんど、さらに街ゆく人々の多くにマスクをつけない姿が。ホントにマスクって不自由ですもんね。体全体を拘束されているみたいで。
そこであなたに質問です。あなたはマスクをどうしますか? あるいはマスクをどう思いますか?
回答、コメントはこちらから
https://www.facebook.com/groups/1651099238372682/permalink/2668470459968883
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しみてつコラム「3分間の法則」

3号機の工事が進む中国電力松江原発

12年という時間をかけて撮り続けてきた薩摩川内市の写真がある。
原発のある薩摩川内市久見崎、高江、寄田を中心に、薩摩川内市の様々な人々の暮らしを撮り続けてきた。
だが、原発では撮影を拒まれ、人々には写真の公開を拒まれた。
「原発が絡むのなら、出さないでくれるか」と。
仕方なく人の写った写真を封印する。
結果として写真は原発と無人の風景ばかりとなる。それは撮った本人が驚くほど、ザラザラした、殺伐とした風景なのだ。原発を抱えた地方都市の実情なのだと思った。
かつて薩摩川内には「3分間の法則」というのがあると書いた。
薩摩川内市民に原発の存在についてたずねると、最初の3分間はほぼ誰もが否定的、もしくは慎重な姿勢を見せる。ところが、3分経つとその大半が、「必要なものはどこかが受け入れないと……。仕方がないね」という消極的なものも含めて肯定的な態度に変わり、最後には口を閉ざす。根底にあるのは「経済」だ。
財政基盤の脆弱な地方都市にとって、原発誘致で得られる交付金、補助金は魅力的なのだ。さらに原発は雇用を生み、関連施設で働く人とその家族を呼び、経済活性化のカンフル剤になるという幻想が生まれる。そして地域には分断が持ち込まれる。賛成する人々、反対する人々の間に深刻な溝ができるのだ。不安だという人も、それを口にできなくなる。結局、回り回って何がしかの恩恵に預かっているという後ろめたさがあるのかもしれない。その果ての沈黙だ。
それは薩摩川内に限ったことではなかった。
数日をかけて薩摩川内、玄海、上関、松江、高浜、大飯、美浜、敦賀、もんじゅ、ふげん、とめぐってきた。原発周囲、周辺地域を歩き回り、原発の写真はもちろんそこで暮らす人々の写真を撮り、話を聞いてきた。が、やはり状況はどこでも同じだった。どこに行っても経済と暮らしを人質に取られてとしか思えなかった。
「3分間の法則」どこにでもあてはまった。この国の原子力政策と原発は計り知れない圧力を放っている。

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