サンクチュアリ 食堂バッキー@京都市 麩屋町錦上ル

「漣(サザナミ)」って言葉の意味、知ってますか? ほれ、あのSNSで物議を醸した〈日本はこの程度の「さざ波」。これで五輪中止とかいうと笑笑(高橋洋一氏 2021年5月9日 twitter)〉ってやつですよ。ここでは「さざ波」って表記されてますけどね。細波とか小波とか漣とか書くんですよ。多分、この人は小さな波、弱い波って言いたかったんでしょうけど、「第3波、第4波といっても小さいじゃないか!」って、本来の意味は「漣」という字を見てもわかるとおり連続するって意味です。続くって意味ですよ。さらには、続けさまに流れ落ちることから涙をも意味するんですね。だから、延々と続いて波に洗われる、3波、4波どころかまだまだ続く、我々が流す涙のようにという意味になっちゃいます。頭良さそうで、肩書きいっぱい並べておられましたけど、「さざ波」はご存知だったんでしょうかね。
それでは〈揺れて歩くニュースレター 29号〉、どうぞお楽しみください。

※今回も「ゆらゆら劇場」はお休みします

● ● ●

揺れて歩く人々の問い Vol.19

テーマ:あなたが最近気に入っている本はありますか? あるいはGWに読みたいと思っている本はありますか?

せっかくのゴールデンウイークも、新型コロナウイルスのせいで2年続けて巣篭もりだという人も少なくないでしょう。本当にヤな毎日が続いています。さてその巣篭もりのお供に本はいかがでしょう。ということで今回のおたずねは、あなたが最近気に入っている本はありますか? あるいはGWに読みたいと思っている本はありますか? です。どしどしコメントを!
==========
今回もコメントをいただきました。
―――
GW読み直したのは茂木健一郎さんの『東京藝大物語』
色濃いキャラクターばかりで久々に読みましたが一気に読みきりました。
才能溢れる変人?へんたい?こりゃ卒業しても凡人にもなれず天才と認められるのはわずか…
どんな先があるのかと想像してしまいました。
『月がとっても青いから』を読んだ時のような軽快&爽快な文章、会ってもいないのに妙にリアルな人物像、連休のもやっとした気持ちが
飛んでいくような時間を過ごせました
(京都市M.Fさん)
―――
皆様のコメントお待ちしてます。こちらからどうぞ。https://www.facebook.com/groups/1651099238372682/permalink/2031265057022763/

● ● ●

しみてつコラム「わかったようなわからんような」


息子ほど年の離れた若者2人と飲んだ。ひとりはアーチスト、もうひとりはボクサーだ。2人は同じラーメン屋でアルバイトをしている。もちろん芸術、ボクシングだけでは生活が成り立たない。脇目も振らずに「やりたいこと」に打ち込みたいのだが、それでは生きていけない。生きていくために働かざるを得ないのだ。

「やりたいことをやるためにやりたくないことも時にはしなくては……」
「夢だけ食って生きてはいけないからね」
「生きていくために糊口をしのぐってやつだわ」
「でも、そのアルバイトが、そのうち本業になったりして」
「ラーメン屋になる? 今でも店長じゃん」
ボクサーがアーチストをからかうように言った。2人の話は続く。
「けどやりたいことをやるために、真面目に、必死にやってきた結果だとしたら、それはそれでいいのかも」
「じゃあ、やりたいことは趣味になってしまうのかなあ」

僕も彼等ほどの年の頃、同じようなことを悩みながら生きていた。だが、僕は彼等より遥かに不器用だったようだ。本業のようなものは、今に至って何もない。この年になると「やりたいこと」すら見失いそうになる。いやはや困ったものだ。

そんなことを思っていたからか、嫌なことを思い出した。20歳になる前だ、父親と激しい言い合いをした。親父が言った。
「ほんまの職人は、金なんかにこだわらへん。仕事にこだわるんや」
「金は必要ないのか!」僕は反発する。
「必要以上の金はいらん。もっと欲しいもんがあるんや……」
「僕らの生活はその犠牲になったわけやな。サイテーな父親や」僕は言い返す。
父は自嘲気味に笑い背中を向けた。
「もっと欲しいもんがあるんや……」
50年近く経った今も、そのひと言は耳に残っている。

僕自身のこれまでを振り返えってみる。この言葉の意味はこの歳になってもわかったようなわからんような。
でも、いくつかわかったことがある。必要なお金は確かに欲しい。そしてそれが時として重荷になるということ。
それを振り払おうとすると、儲かっても儲からなくても、人から見れば趣味のようなものでも、仕事は思い切りしなければということだ。お金は後からついてくる。ついてこないこともあるが、それが僕の仕事の仕方だし、生き方なんだろうな。

「大丈夫、生きていける」
目の前の若い2人に言ったのではない。僕自身に言ったのだ。

● ● ●


★「揺れて歩く」ご購入のご案内

「揺れて歩く」応援団にご登録いただいた方から「登録したけれど、本が届かない」というお問い合わせをいただいております。応援団へのご登録はご購入のご予約ではございません。ご購入ご希望の方は下記の各サイトをご利用ください。

なお応援団サイトでは、本送付後の郵便振替でのお支払いお取り扱いができません。応援団サイトでは銀行振込、清水哲男事務所のBookShopでは銀行振込、クレジットカード決済となります。エディション・エフのネット通販ではクレジットカード、各種キャリア決済、PayPal、でのお支払いを選択していただけます。

エディション・エフのブックショップ
「しみてつ応援団」の販売サイト
清水哲男事務所のBook Shop
「揺れて歩く ある夫婦の一六六日」概要
頁数:192p
体裁:B5変形横型(182mm×210mm)
ISBN:978-4909819086
2020年4月15日 初版発行
価格:2420円(本体2200円+税)
只今送料無料キャンペーン中です!
最後までおつきあいありがとうございました。
本メールマガジンは原則毎月2回隔週にお届けいたします。

● ● ●

======
発行:揺れて歩くニュース編集室
発行者:清水哲男
書籍「揺れて歩く」公式HP
揺れて歩く人々の対話テーブル
【揺れて歩くラジオ】第2、第4金曜日 21:00〜22:00

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。