INDEX

  1. 横目流し目 犬も歩けば
  2. Prof. 田川の揺れる音楽道 #70 The cosms of Sumi
  3. 清水哲男のサンクチュアリ 京橋丸徳
  4. しみてつコラム「何気ない風景」
  5. ご購入のご案内

「揺れて歩く人々の問い」はお休みします
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横目流し目 犬も歩けば

歩きはじめて7キロくらい。羽束師(はずかし)橋

歩いています。もちろん歩くことのない生活などないわけですから、当たり前のことですが。歩こう、そう思って毎日歩いています。
先週は、出張中でしたが1週間の平均で1日あたり9.8kmを歩きました。特に最終日は京都の桂川沿いを京都市内から八幡市の三川合流までおよそ16kmを、3時間あまりかけて歩きました。いや遠かったですよ、しんどかったですよ。でも、とても気持ちのいい汗をかきました。そして僕もまだまだやれるじゃないかと少々の自信を取り戻しています。大きな病気を立て続けに2つ経験して、ああ、こうやって弱っていってフェイドアウトみたいにしてこの世からいなくなっちゃうのかなあと、気弱になったり、自信を失ったりの日々が続いていました。でも思ったのです。僕は若い頃そんなに弱っちくはなかったじゃないかと。
16歳から26歳くらいまで、暇があったらリュックサックを担いで歩いていました。結果として日本を徹底的に歩きました。最初に日本列島の輪郭を、次に県庁所在地を繋いで、最後には離島の隅々まで。時間はたっぷりありました。お金は全然ありません。だから歩きながら、アルバイトをしながら、生活をしながら歩いていたのです。
その最初が16歳の夏の琵琶湖1周でした。200kmをほぼひと月かけてゆっくり歩きました。そして今70歳を迎えて、もう1度やってみようと。ええ、琵琶湖1周からです。そのために体力をつけようと歩きはじめたのです。1日10km歩けば6日で60km。1日休息日をとって1週間で50kmから60km進めばひと月あればゆっくり歩いて回れるという計算です。
ただしこれは計算上の話で、そんなにうまくいくかどうか……。荷物も増えるし、その日の体調や、アクシデントも考えられる。だからちゃんと体力をつけるために歩きはじめたわけです。しんどくなったって、左右の足をたがい違いに前に出せば前進すると誰かが言っていたような気がします。そうやって歩いていれば、きっと何かいいことにも出会えるでしょう。犬も歩けばなんとやらって言いますからね。ええ、誰ですか!? 犬じゃなくて豚じゃないかって言ってる人は。
ふふふ、豚だって前進するのです。
目的地三川合流。桂川、宇治川、木津川は合流して淀川になる

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Prof.田川の揺れる音楽道 #70

The cosms of Sumi

https://www.youtube.com/watch?v=CW86qP0sU4E
The cosmos of Sumi, it’s a realm of serene tranquility. The elegance of emptiness is profound, and the narratives spun by sumi mirror the cosmos. In the abyss of black and white, we engage in a profound conversation with nature, feeling a sense of infinite expanse. Here, the mind finds its peace.
墨界(ぼっかい)
墨界、そこは墨香が漂う静寂の世界。余白の美が際立ち、墨が紡ぐ物語は宇宙。黒と白の深淵な世界は、自然との対話を深め無限の広がりを感じさせる。そこに心の静寂が訪れる。
music:Fumihiko Tagawa
Koto:Kayoko Yokoyama
Produced by OFFICE432
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清水哲男のサンクチュアリ

京橋丸徳@JR京橋駅前, 大阪市


サンクチュアリどころの話ではない。酔っ払い解放区、酔っ払い天国……、どういう言葉を使ってもその破壊力を表現するには物足りない。なんせ朝8時から開いているというからその凄さがわかるだろう。確かに昔は24時間操業3交替勤務などという工場もあって、夜勤明けに一杯ひっかけて家路につくというのおっちゃんたちのために早朝から開いている店もあちこちにあるにはあったが……。
ここはJR京橋駅前丸徳だ。迷路のような路地を彷徨い歩きようやくたどり着いた。昼過ぎに入ったのだが、カウンターはもちろんテーブル席でもほろ酔いの、いやベロンベロンのおっちゃんおばちゃんたちが。この人たちは、明らかに仕事明けではない。昼から、いや、朝から飲んでいるのだ。仕事をリタイアしたシルバー世代だけではない。若い人も多い。老いも若きも朝からいい気分なのだ。文字通りサンクチュアリなのだ。
大阪には朝から飲める店が多い。というか普通だ。営業時間が長いので当然酔客の滞在時間は長くなる。だからそんな店は『どなた様も2時間以内でお願い致します』という類の張り紙が大きく掲げられている。だがほとんどの客はそんなことおかまいなしだ。心ゆくまで酒と時間を楽しんでいる。
心ゆくまで楽しめる理由は他にもある。何もかもが安いのだ。写真を見てほしい。1000円を超えるものなどほとんどないのだ。しかもうまい! 楽しめないはずはないのだ。僕たちは躊躇なく焼酎とスジ煮込みからはじめる。鰹の塩たたきなどというのもいい。イブリガッコとクリームチーズなどというのもある。さらには土瓶蒸しだ。胃袋もしっかり満たしてくれるのだ。
だから僕は京都に出張することがあると、大阪のあちこちに足を延ばす。

スジ煮込み

イブリガッコとクリームチーズ。焼酎は丸徳オリジナル
京橋丸徳 大阪市都島区東野田町3-5-18
水曜日定休

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しみてつコラム
何気ない風景

写真は本編とは関係ありません

北陸に向かう高速道路、とあるサービスエリア。トイレから車に戻る途中で、なぜだか心をちょっと揺すぶられる風景に出会った。トラック専用駐車場でのことだ。
今しも大型トレーラーが出発しようとしていた。少し離れた歩道の上で、トレーラーに向かって笑顔で手を振る女性がいた。車上からはドライバーの男性が、こちらも笑顔で手を振り返す。その手の振り方がどちらも、力いっぱい思いを込めてというふうだった。
このSAで偶然の再会を果たしたのだろうか? あるいはここで待ち合わせたのだろうか? ふたりはどんな関係なのだろう。親子、夫婦、恋人、ただの知人……。一瞬の間にいろんなことを想像した。だがあの力いっぱいの手の振り方と笑顔は、ほんとうに心からのもので、ふたりの間には強い絆があると思った。
トレーラーは走り去った。女性はトレーラーが本線に出て見えなくなるまで手を振っていた。そうして自分も車に乗り込むのかと思うと、そうではなくサービスエリアの外に向かう道をゆっくりと歩きはじめた。うつむきがちだが、表情にはさっきまでの笑顔の余韻が残っていた。多分だが、ふたりは夫婦か恋人同士だろう。住まいはこのSAの近辺。彼氏は長距離ドライバーでなかなか家に戻れない。だから彼の移動途中にあるこのSAで、時刻を合わせて落ち合ったのだ。わずかな時間でも顔を合わせて話したい。そんな思いではないだろうか。SAでのランデブーが大切な時間……。多分だが。
何気ない風景が人生を物語るのだ。何気ない風景にドラマが宿っているのだ。僕らはいつもドラマに囲まれて暮らしている。テレビの中や映画の中にドラマがあるのではない。そう、あなたの暮らしもドラマで溢れているのだ。
話を聞いてみたいと思った。どんな関係ですか? どうしてここで? 職業病だな。自嘲した。

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頁数:192p
体裁:B5変形横型(182mm×210mm)
ISBN:978-4909819086
2020年4月15日 初版発行
価格:2420円(本体2200円+税)

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