原発所在地を訪ねる旅、山陰出雲地方にフィールドをひろげました。10月、この国のすべての神々が出雲国に集まると言われています。日本中は神無月だけど出雲は神在月。松江原発はその神話の舞台に溶け込むように立っていました。1号機は廃炉作業が進み、3号機は完成、運転開始の見込みが立たないと聞きました。しかし2号機は地元議会の同意、知事の同意が出揃い、2023年にも運転を再開すると言われています。しかし建設から33年が経とうとしています。ああ、どこもかしこも40年を過ぎて運転延長でしたね。だったら最初の40年という線引きはなんだったんだろうと、首をかしげる清水哲男です。
INDEX
- Prof. 田川文彦の揺れる音楽道「Serenade:小夜曲」
- 清水哲男展「物語(ストーリー)の系譜」終了しました
- しみてつコラム「取り残されて」
- 揺れて歩く人々の問い vol.47
- 種子島mini写真集「ISLAND LIFE」「ISLAND SCENERY」好評発売中!
- ご購入のご案内
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Prof. 田川文彦の揺れる音楽道
Serenade:小夜曲
「Serenade:小夜曲」https://soundcloud.com/yurete_aruku/serenade
老夫婦の暮らしにたがいに思いを捧げ合う言葉や歌はあったのだろうか。存在すべてが当たり前になり、喜びはもちろん悲しみも言葉なくして共有していたように、愛を告げる言葉は、たがいを思い合う言葉は、ことさら必要ではなかったはずだ。
愛は残響になって夜の闇に溶け込んでいく。
清水哲男写真集「揺れて歩く」サウンドトラック https://soundcloud.com/yurete_aruku
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清水哲男展「物語(ストーリー)の系譜」
ある作家の鉛筆1本勝負40年終了のご案内
〈清水哲男展「物語(ストーリー)の系譜」ある作家の鉛筆1本勝負40年〉は、10月3日無事全日程を終了いたしました。1カ月以上の長きにわたる会期でしたが、2回のイベントをはさみにぎやかに楽しく過ごすことができました。これも会場を提供していただいた京町家えほん館むむむのスタッフの皆さん、お運びいただいたお客様方のおかげです。深く感謝申し上げます。また終盤体調を崩して不在続きの清水でしたが、スタッフの皆さん一丸となってカバーしていただきました。ほんとうにありがとうございました。
今回の催しには私共の試算では、およそ180名のお客様にお越しいただけたと見ております。そのおひとりお一人がじっくり写真をご覧になり、清水や会場スタッフと長く語り合われる方も少なくありませんでした。さらに清水の写真や文章を深く読み、理解しようとされる方が多数おられました。「命と向き合う現場から」「ニッポン再発見の旅」「この国の現実と苦悩、矛盾」という3つのテーマを自分のこととして語られる方のなんと多いことかと、清水自身も驚いたという様子で話しておりました。「40年間ひたすらにドキュメンタリーを書き続けてきたことに間違いはなかったな」と。
清水哲男と清水哲男事務所は、このひと月あまりの経験を糧に次のステップに進んでまいります。そうして来年はまた違った清水哲男を京町家えほん館むむむでご覧いただけるよう日々精進してまいります。
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しみてつコラム「取り残されて」
米子の夕景は雨にけぶっていた。
ほんとうは松江原発のある松江市に泊まりたかったのだがどこも満室で、仕方なくJR米子駅前に宿をとった。米子市も松江原発の半径30キロ圏に入る。れっきとした原発のまちなのだ。「県がかわるからこそ話しやすい、聴きやすいということもあるかもしれないな」などと思い、夜の盛り場に近い駅前の宿に決めた。原発のある風景、暮らしを見る旅は山陰に入った。
雨のせいか、米子のまちはさみしかった。大通りこそ小洒落た店が看板を並べていたが、地元の飲み手たちが集まるような店はなかった。あてもなく小雨のまちを歩き回る。街灯もないような裏通りに入った。数十メートルほど先の闇の中に赤い提灯が灯った。救いを求めるような思いで年季の入った縄のれんを割った。
カウンターだけの小体な店に小さな焼き台。カウンターの上には氷を敷いたネタケースにさまざまなネタが並べられていた。近海で獲れたサンマ、カマス、ノドグロ、アサリ、ホタテ、旬の野菜、串を打った肉や鶏。カウンターの中には女将がひとり。彼女がひとりですべてをこなすようだ。
先客は3人。いずれも地元の常連のようだ。ビールを頼み席に着く。大ぶりのサザエのつぼ焼きがつきだしに出てきた。さらにアジの刺身が後に続いた。常連客には「あなた、これを食べときなさい」と女将は適当に料理を出していくが、文句を言ったり拒んだりする客はいない。ビールを空けると「はい、鳥取の酒鷹勇!」とコップ酒が。黙って身を委ねる。
隣の酔客が僕を余所者だと見抜いて、自分も転勤族だと笑いながら声をかけてきた。「仕事? 観光?」と。少々酔っていたのだろう、相手の愛想のよさにつられるようにありのまま答えた。
「日本全国の原発所在地を見て歩いてます。物書きなんです」
と。酔客は突然真顔になって焼酎のグラスを一気に空けた。そうして言った。
「反対派かい?」
「いいえ。原発所在地周辺の人たちがどんな思いで暮らしているのか、共有できる思いはないのかと思って……。賛成反対、ましてや善悪という二元論では考えていません。暮らしの事実をちゃんと伝えたいのです」
「そうか難しいな。まあ頑張ってくれ」
男は元の笑顔に戻り、焼酎をたて続けに3杯空けると席を立った。
女将が男のグラスをかたずけながら言った。
「彼は原発で働いてるんだよ。ちょっとあの話はまずかったかもね」
と。慌てて男の後を追った。まだその辺を歩いているはずだ。
いた。ゆっくり進む後ろ姿があった。
「すみません!」背中に向かって叫んだ。すると男は振り向いて立ち止まった。
「頑張れよ! 頑張ってくれよ!」大声が返ってきた。
残響と一緒に男の姿は闇の中に消えていった。
なぜだかわからないが、取り残されたようなさみしさが残った。
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揺れて歩く人々の問い vol.47
テーマ:あなたの好きな音楽、好きな1曲を教えてください。
テーマ:あなたの好きな音楽、好きな1曲を教えてください。
今はもう秋。夜が長い季節になりましたね。秋の夜長、本を読むもよし、音楽を聞くもよし、酒を飲むもよし。それでは、音楽でまいりましょうか。あなたの好きな音楽、好きな1曲を教えてください。詳しくはこちらから
https://www.facebook.com/photo/?fbid=3210069805912502&set=gm.2464941336988464&idorvanity=1651099238372682
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M.Fさん(京都市)
秦基博さんのアイ
大切に思う歌です
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M.Yさん
あまりに歌詞がストレート過ぎて照れながら最近何度も聴いてます。wacci×松下洸平「恋だろ」
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I.Mさん
随分古くなりますが、洋楽を聞くきっかけになったグループ「ABBA」です。
一番世界中で聞かれた、誰もが知る一曲でしょうか。
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F.Tさん
好きな曲はたくさんありますが、おそらくボクが生まれていちばん初めに好きになった曲なのではないかと思われる、作詞:谷川俊太郎 作曲:林光 歌:熊倉一雄「ひとくいどじんのサムサム」
3歳頃にこの曲が入っている子供向けのLPを何度も聴いていました
歌詞、曲もいいですがアレンジが最小限の音で最大の効果をだしている、これ以外のアレンジが考えられない、歌も熊倉一雄さん以外に考えられないという唯一無二な感じが素晴らしいと思います。
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種子島写真集「ISLAND LIFE」「ISRAND SCENERY」好評発売中です!。
種子島の風景と暮らしを、展示した作品の中から32点に絞って収録しました。清水哲男には珍しいオールカラーの作品集です。お買い求めは、清水哲男事務所のBOOK SHOPからどうぞ。ちょっぴりお買い得な2冊組も用意しました。
清水哲男事務所のBOOK SHOP https://shop.office432.jp/
清水哲男事務所近辺にお住いの方には手渡しも可能です。
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