サンクチュアリ やたいや吉祥院@京都西大路 2019年9月撮影

さてさていよいよ今年もあと1週間になりました。速いですね、アッと言うまですね。で、このニュースレターも20号となりました。痛感じゃなかった、通巻ナンバーにご注目いただくと3桁になっていますね。これって、とりあえず100号を目指すぞということです。他人事みたいですけど、頑張りますねえ。ネタが続くかどうか、これからが見ものです。では、今年最後の揺れ揺れをお楽しみください。

INDEX

  1. ゆらゆら劇場「冬のオトコメシ」
  2. しみてつコラム「俺ではあかん!?」
  3. ご購入のご案内

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しみてつコラム「俺ではあかん!?

ひとり取り残されてしもたわ……

この頃母は、よく「さみしい」と言うようになった。

父が亡くなって五年がたった。亡くした直後、こちらがさみしいだろうなと心配したが、
「うちは大丈夫や」
笑うばかりだった。

だがその暮らしぶりは、ひとことで言うなら静かだった。言葉にするなら、そうとしか言いようがなかった。九十歳をすぎて伴侶に先立たれ、独りぼっちの家でひっそり暮らす。それをさみしいと言わずになんと言えばいいのか・・・。
話す相手はいない。時々見えない夫と会話するかのように短い言葉をつぶやく。時々訪れるひ孫のためにお菓子を用意し、ジュースを冷やす。
自分には出涸らしのお茶。

「いれかえるのめんどくさいもん・・・」

自分でいれたお茶を自分ですする。その音だけが部屋に響く。静かだ。
それでも母はさみしくないと言い張った。

この五年の間に母は鹿児島のホームに移った。大勢の人に囲まれた一人暮らしをはじめたのだ。
移った頃は京都を懐かしがったが、そのうちに
「ここがうちの終の住処や。うちだけが幸せみたいで、お父ちゃんに申し訳ない。けどほんまに幸せやわ」
と鹿児島での暮らしが、人と一緒に暮らすことがずいぶん楽しくなった。

しかし、よく「さみしい」と言うようになった。
この楽しい暮らしに父がいないこと。そのことだった。

まわりに人は大勢いる。でも大好きな孫やひ孫がいない。お菓子を用意したり、ジュースを冷やしたりすることも無くなった。何よりも最愛の夫がいない。だから
「さみしい」
人はいるべき人と一緒にいるのがいいに決まっている。

「それは俺ではあかんのか?」
母はふっと笑いながらお茶をすすった。
時間は流れていく。

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