清水哲男写文集「揺れて動く」(エディションエフ)が近日中に発売されると聞き、楽しみにしている。
清水哲男さんがご両親との日々166日を綴り、晩年のお父さんとお母さんの生活を念写した珍しい記録集になるに違いない。
清水哲男さんの手練れの書物も母親の千鶴さんの歌集もページを開くたびに教えられることが多い、読書する僕の喜びの一部だ。
特に千鶴さんの歌のひとつひとつは写真を撮る僕を刺激してやまない。
歌を読むたびにこのような写真を撮りたいと思いに駆られる。
お父さんの作られたものは拝見してないが優れた職人だと聞いている。
ひょっとしたら今度の著作の中でその一端が垣間見られるのではと期待している。
ただ晩年の父親と母親の日々を余人に写真で表現するには、大きな困難があったのではと思う。
いずれにしても、上梓が待ち遠しい。
清水哲男:甲斐扶佐義さん
1970年代後半、ぼくは京都のD大学に通っていた。大学のすぐそばに変な人ばかりが集まるほんやら洞という喫茶店があった。
その店主が甲斐さんだった。京都中写真を撮り歩カメラマンだと知った。店では詩の朗読会や、音楽のライブ、読書会、さまざまな集会、餅つきなど、ここはいったいなんだという場所だった。が、ぼくもいつの間にか変な人の仲間入りをし、変な物書きになり、それ以来ずっと変な人のままだ。
甲斐さんもぼくも当たり前のことだが歳を重ねた。だが相変わらず甲斐さんは写真を撮り歩き、ぼくは物を書き続け、恥をかき続けている。