新型コロナウィルスって、不条理だよね。突然僕たちの前に現れて、社会を大混乱に陥れて、僕たちから時間とか、絆とか、何の変哲もない日常とかを大切なものを奪い去っていく。そうしてますます猛威を振るう。僕らはこいつを跳ね返すことができるのだろうか。そんな不安も大きくなる。不条理ってそういうものなんだろうな。だったらいっそのこと、僕ら人間も条理をかなぐり捨てて不条理になって、コロナに立ち向かうっていうのはどうだろうなどと訳の分からないことを考える清水哲男です。
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あなたにとっての新型コロナウィルス感染防止策は?〈今日の問いかけ〉
今月の問いかけは「あなたにとっての新型コロナ感染防止策は?」です。
facebookグループ「揺れて歩く人々の対話テーブル」にて、皆様の感染防止策や色んな思いをお待ちしています。
https://www.facebook.com/groups/1651099238372682
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しみてつコラム「カレーの味」
カレーもラーメンと並び、こだわりを掲げる店が増えている。
我々の世代、つまり、昭和中葉に子ども時代を過ごした者にとっては、カレーって母の味で、それぞれの家にはそれぞれの味があった。
ある居酒屋のカレーライスを食べてみたいと思った。種子島のある居酒屋で出される牛スジを煮込んだカレーだ。
どこにでもあるような、何の変哲もないカレーだが、そこにはある家族の物語が隠されている。
両親はこの居酒屋で2男1女、3人の子どもを育て上げた。子どもたちは成長し、島を離れていった。だが、両親はずっと島で居酒屋を続けている。
子どもたちが両親の思い描いた通りに成長したかどうか、それはわからないが、両親は絶えず子どもたちの幸せを願ってきたことは確かだ。そうして両親はずっと島で居酒屋を続けている。
ある日娘が島に帰って来た。夫になるという男と両親の居酒屋の傍らで小さなバルをはじめた。両親は影になり日向になり娘を応援しようと思った。それが娘の幸せならそれでいいじゃないか……。そう話し合ったに違いない。多分そんなことを繰り返しながら両親はずっと居酒屋を続けてきたのだ。
娘の夫は本土で仕事をし、島のバルは娘に委ねられた。大きな責任の前に躓きそうになる娘。両親は娘の苦労を気遣うが、どうすることもできない。できることといえば、毎日のように居酒屋を開け続けること、そして娘のために夜食を用意すること。
ある夜娘は夜食のカレーライスを食べた。父親が長年つくり続けてきたカレーだ。最近父親が少々患い、その間母親が代わってつくり続けていた。たしかに味は微妙に変わったかもしれない。でも、心の底からホッとした。両親の温かさを身近に感じた。
その時娘は感じた。 「ながく離れていたのに、両親はずっと側にいたみたい」 そして思った。 「私と夫も離れていてもずっと一緒に店を続けていけばいい。きっとできる」 その両親の居酒屋は今夜も開けていた。
躊躇なくカレーライスを頼んだ。そのカレーライスをどうしても食べたいと思ったのだ。
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