INDEX

  1. 横目流し目 鹿児島は鎖国状態?
  2. Prof. Tagawa の揺れる音楽道 #95
  3. 清水哲男のサンクチュアリ CHOTTO WARAKU
  4. 揺れて歩く人々の問い
  5. しみてつコラム 苦悩の人々
  6. 清水哲男新刊書のご案内
  7. ご購入のご案内

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横目流し目 鹿児島は鎖国状態?

写真は本文とは関係ありません

数日前、ちょっと嫌なことに遭遇したので、愚痴のようなことを。
鹿児島中央駅から天文館まで市電で移動しようとした時のことです。小銭の持ち合わせがありませんでした。で、僕の持っているSuicaとかICOCAとかは使えないけど、対応するクレカならタッチ決済可能だと聞いて、手持ちのクレカを使えることがわかりました。
ちなみに鹿児島では全国的に普及している交通系カードはすべて使えなくて、一部のJR路線・駅でのみ使用可能という状況なのです。鹿児島では地元企業が出している交通系カードしか使えないという、このキャッシュレスの時代に観光や商用で鹿児島外から来た人にはとても不便だったのを、クレカ決済可能にしてカバーしようとしたのですね。
乗車時にクレカ専用の端末にタッチ。降車時に再度タッチして決済します。
ところがその日僕のクレカは決済できなかったのです。条件を満たしているにも関わらず……。同様に使えないお客さんが何人かいました。運転士は、使えなかった理由も言わないし、ただ現金で払ってくださいと。僕は1000円札を持っていたので両替をして払いましたが、ある男性は現金の持ち合わせがなく弱っていました……。挙句に、後に降りる人が続いているから通路をあけろと言われて焦るやら動揺するやらでとても気の毒でした。なんだか人に優しくない対応だな。観光を売りにしてるのに、観光客に冷たいと言ってもいいかな。こんなんじゃあ僕はあまり市電に乗りたくないなと思いました。
ちょっと気になったので、対応するクレカで決済できなかった経験を持つ人にいろいろ聞いてみました。大半が乗車時にタッチをしなかったのが原因だとわかりました。
乗車時のタッチは当たり前だという人は多いかもしれません。しかし、ICOCA、Suicaなどで地方都市公共交通機関に乗る場合、均一運賃区間なら乗車時にタッチする必要がない場合もあります。鹿児島市の市電や市営バスは、均一運賃区間であっても乗車時に対応クレカでタッチする必要があります。これができていないと降車時にタッチしても決済できません。旅行者の方でICOCA、Suicaなど地元生活圏で交通系カードを使っている人は、クレカであっても交通系カードと同様に乗車時タッチが不要だと思う人も少なくないのでは。この乗車時にタッチが必要だということが周知徹底されていないように思います。特に県外からの人に対しては。
一方でちゃんと乗車時にタッチをしたのに決済できなかったと言う人も少なくありませんでした。
ある市議会議員を通じて鹿児島市交通局にたずねてみました。するとこの決済エラーはシステム(stera transit)導入当初から一定出ていたそうです。さらにSuica、ICOCAなどを使えるようにしたらそ何か不具合があるのかもたずねました。それに対してはシステム導入経費と利用に伴う手数料などが高額すぎて無理だと。しかし、現stera transitだって同様に経費がかかっているはずです。実際地元企業系カードとクレカでは読み取り端末が違い、2種類の端末を搭載しなければならない状況です。なんだか不合理だなと思いました。とりあえずは「対応クレカでも必ず乗車時タッチを!」を周知徹底し、決済エラーをなくしていくことしかできないのかな……、と。
鹿児島県・市は観光を産業の大きな柱のひとつにしています。だったらもう少し観光客・来訪者に優しい施策を取るべきじゃないかなと思います。県外で普通に使えるものが使えないなんて、不便を通り越してなんだか鎖国状態が続いているようです。皆さんはどう思われますか?
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Prof.Tagawaの揺れる音楽道 #95

Hues of the Night

The night is covered in darkness. Yet, within that very darkness, various colors lie dormant. They emerge and vanish by the grace of light. Appearing, fading, and then reappearing—it may be akin to the very existence of human life.
music by F.Tagawa
Phot by T.Shimizu
©︎ F.Tagawa, T.Shimizu & OFFICE432 2025

夜の色彩
闇に覆われる夜。しかし、闇の中には様々な色彩が息を潜めている。それらは光の恩恵で姿を表し、そして消えていく。現れては消え、また現れる。それは人の命の在り様に似ているのかもしれない。
音楽:田川文彦
写真:清水哲男
制作著作:清水哲男事務所
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清水哲男のサンクチュアリ
CHOTT WARAKU@SUINA室町, 京都市下京区


今さらながらだが、このサンクチュアリは世に言う名店を取り上げているわけではない。清水自身が気軽にくつろげて気に入った店を紹介している。人からすれば「なんだこんな店」と言いたくなるような店であっても清水にとってはサンクチュアリなのだ。だから「清水哲男のサンクチュアリ」なのだ。お間違いなきよう。

チケットがぶら下がるバックバー。常連の多さを物語る

ところで僕は本は本屋で買う主義だ。そのわけはまた別の機会に譲るが、余程のことがない限りネットショップでは買わない。街中の本屋に出かけて、たっぷり時間をかけて選び買うのが楽しいのだ。読書の第一の楽しみだ。第二の楽しみは、昼飲みができるような酒場に飛び込み買い込んだ本をひろげることだ。
そんな僕にとって理想的なバーがある。京都市のど真ん中、四条烏丸京都経済センターのSUINA室町1階大垣書店の中にある小さなバーCHOTTO WARAKU(チョットワラク)だ。どれくらい小さいかというと、カウンター椅子席が8席と2、3人分の立ち飲みスペースがあるだけだ。しかし侮ってはいけない。ビール、ウイスキー、ワイン、シャンパン、カクテルなど酒類は充実している。シャンパンもモ・エ・シャンドン(15000円)、ヴーヴ・クリコ(18000円)、ペリエ・ジュエ(ベルエポック/60000円)、アルマンド(ゴールド/100000円)などがボトルで楽しめるし、日本でしか市販が許されていないウイスキー、ロイヤル・ハウスホールド(Royal Household/シングル5000円, ダブル8000円)も楽しめる。しかし僕はワイングラスに溢れんばかりに注がれた入れすぎ赤ワイン(1100円)を口から迎えに行ってゆっくり飲るのが好きだ。
入れすぎ赤ワイン

つまみの類もいろいろあって充実している。ナッツ類(各400円)、ドライフルーツ類(各400円)にポップコーン(400円)、からあげ、だし巻き、えだまめ、ポテトサラダ、京都ぽーく厚切りハム(各400円)、骨付きソーセージ(500円)、ハツ炭火焼き(600円)など、サッと飲むにはちょうどいい感じだ。食事もできる。薬膳カレー(1500円・ドリンク付)が人気だ。
ポテトサラダ

京都ぽーく厚切りハム

様々な人たちが様々な使い方で楽しんでいる光景は、ロンドンのパブやスタンドバーを彷彿とさせる。ある日の様子をあげておくと、昼過ぎにやってきてスパークリングワインでスタートする女性2人連れ。その横ではプロの飲み手といった雰囲気の紳士がマティーニをロックで。若い男性2人は角のハイボールを。外国人男性は薬膳カレーでビールを。かといってコーヒーだけで帰っていく人もいる。ちなみに僕らは入れすぎ赤ワインにポテトサラダ、京都ぽーく厚切りハム、ポップコーンを選んだ。ところでポップコーンは量が多いので酒とつまみのバランスを考えるとつもり以上に飲んでしまうことになる。
ポップコーン

CHOTTO WARAKUのキャラクターをあしらった八ッ橋*もある

小さいスペースなので客同士の距離が近い。隣同士の会話がカウンター全体にひろがり一体感に包まれていく。映画の話、本の話、音楽の話、そして恋の話。様々な人が集まるので当然話題は多様になる。声高に自己主張するような客はほぼいない。
京都の街のど真ん中。大型書店の片隅。喧騒の中にあるはずなのに、会話は弾んでいるはずなのに、不思議に静かなのだ。それは多分オーナーの吉崎丈和さんやスタッフが、その人柄と酒の力でうまくコントロールしているに違いない。僕らはただ身を委ねるだけで楽しく幸せに酔えるのだ。

CHOTTO WARAKU
京都府京都市下京区函谷鉾町78 SUINA室町1F大垣書店内
営業時間 13:00〜22:00(L.O21:30)※火曜定休
電話 075-353-9669
営業時間、価格など変動する可能性があります。詳細は直接おたずねください
*八ッ橋は井筒八ッ橋の商標です

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揺れて歩く人々の問い
日々のルーテインの中で「これだけは絶対に譲れない!」というコダワリありますか?

写真は浅田飴。清水は龍角散より浅田飴!

些細なことでもかまいません。例えば「朝食は絶対にご飯だ」とか「一粒万倍の日には宝くじを買う」とか「靴は右足から履く」とか「ビールはキリンだ」とか「お気に入りのシャツは破れても直して着る」とか……。ユニークなこだわり聞かせてください。
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Fumihiko Tagawaさん
「帰宅したら先ず靴底(アウトソール)を拭く」です。
ちなみにこの性質は息子にも遺伝しました。
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Masako Fujiiさん
譲れないではないけど、やらないと決めている事は喫煙です。
たいがいの人は中学生とがでチョットふかしてみたりしますが、私はその頃からやらないと決めています。
人と話すのも苦手だし、お酒はよく呑むので、手持ち無沙汰で吸いだしたらきりがないと思うから一本も吸ったことがありません。
私の座右の銘?『ゼロ以外は無限大』なので一本吸ったら二箱とか吸うだろうから。
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奥本博典さん
うちは、のど飴は『南天のど飴』推しです。
聞く所によると、友部正人さんも『南天のど飴』を常用されておられるようです。
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能勢 厚さん
パンツは、ブリーフです。
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コメントいただいた皆さん。ありがとうございました。コメントは以下のページからもご覧いただけます。
https://www.facebook.com/groups/1651099238372682/posts/3398994846916437
https://www.facebook.com/tetsuo432/posts/pfbid02xUz7GxvQyCabTWqccmCUfK72UuJFmwfYxv9XhXT1az2XhmNJoRKuHC6ABZBj288Ll
次の問いは次回ライブ配信時にお知らせします。〈揺れて歩く人々の対話テーブル〉でお気軽にコメントくださいね!
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しみてつコラム
苦悩の人々


人の笑顔を撮るのが好きだ。
だけど、笑顔の向こうには葛藤や苦悩があることも知っている。
葛藤や苦悩のない人はいないだろう。葛藤や苦悩だけではない。人には言葉にできない様々な想いがある。そういう思いを乗り越えた時人は笑顔になるのだ。乗り越えるべき苦悩や葛藤が大きければ大きいほど、笑顔は明るく力強くなると思った。なぜそんなことを思うようになったか……。
そんな思いは、これまでに見てきた光景を彷彿とさせる。
まず 、父(享年87歳)の最期を見てそう思った。末期の肺がんで死期の迫った父はモルヒネを拒否した。最後までベッドの周りにいる家族、近しい人の顔を見ながら死にたいと。「眠らされたまま、知らんうちに死ぬのは嫌や。ガンかてわろて死ねるんや」と。苦しかったと思うが、父は言葉通りに笑って逝った。「ガンかてわろて死ねるんや」と思った刹那に父は死を乗り越えて笑顔になれたのだと思う。最後の笑顔に至るまでの大きな苦悩と葛藤。だからこその笑顔だったと。
MさんはALS(筋萎縮側索硬化症)と診断され余命2年だと宣告された。科学者だった彼はALSについて詳しく調べた。筋肉を動かすための神経細胞変性・消失する病気で、原因は不明だと知った。有効な治療法も不明だった。多くの場合は、重いものが持てない、歩きにくいなどからはじまり、進行するとものが飲み込めなくなり、言葉を発することもできなくなる。最終的には呼吸筋の麻痺により呼吸困難で死に至るという恐ろしい病だと。余命を延ばすには人工呼吸器の装着が有効だが時間を延ばすことはできても治癒は困難で、最後は身体が動かせなくなり、表情も消え意思の疎通も困難になるという。生きる意味はあるのだろうか。彼は思った。呼吸器をすすめる人もいた。だが彼が出した答えはノーだった。答えを出した日の彼の笑顔は清々しくさえあった。
そんな経験を繰り返し、ふと、「笑う力」はどこから生まれてくるのだろうかという疑問、思いが生まれた。いろんな人にいろんな話を聞いた。そうして、どんな逆境にあっても、どんなに悲しくて辛くても、人は笑うと知った。苦悩、葛藤そして逆境をひとつ乗り越えるたびに笑う力が生まれてくるのだ。それは生きるエネルギーとなり、結末がどんなに悲しいものになろうとそれを受け入れてなおも生きていく力になるのだと思った。
もしそうだとすれば、いや、だからこそ笑顔だけでなく苦悩する姿を撮らなくてはならないと思った。苦悩しない人なんていないのだから。
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頁数:192p
体裁:B5変形横型(182mm×210mm)
ISBN:978-4909819086
2020年4月15日 初版発行
価格:2420円(本体2200円+税)

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最後までおつきあいありがとうございました。
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次号は11月14日(金曜日)配信予定です。
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