INDEX

  1. 横目流し目 それは誰の怒りなのか
  2. Prof. Tagawa の揺れる音楽道 #89
  3. 清水哲男のサンクチュアリ 地魚酒場 魚八商店
  4. 揺れて歩く人々の問い あなたの熱中症対策を教えてください
  5. しみてつコラム His Master’s Voice
  6. 清水哲男新刊書のご案内
  7. ご購入のご案内

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写真は本文とは関係ありません

「犬の怒りは犬のものではない。トレーナーに植え付けられたものだ」
という言葉があります。アメリカの小説家W.バロウズの言葉だそうです。
この言葉は私たちの奥底に燻る感情の根源へ鋭く切り込みます。もし「犬」を「人」とするならば、私たちの胸を焼く「怒り」もまた、誰かの影なのではないかと。
私たちは、生まれながらにして感情の羅針盤を持っているわけではありません。幼い頃から、親や教師、社会という名の「トレーナー」たちに囲まれて育ちます。彼らは時に温かい眼差しで、時に厳しい手で、私たちに「あるべき姿」を植え付けていきます。「競争に勝て」「弱音を吐くな」「空気を読め」。こうした「教え」は、私たちの中に深く根を下ろし、やがて感情の羅針盤を形作っていきます。
しかし、その羅針盤が指し示す「怒り」は、本当に私たち自身の内から湧き出るものなのでしょうか?
たとえば、挫折した時に沸き立つ苛立ちは、敗北を許さぬ社会の教えが形を変えたものかもしれません。不条理に直面した時の憤りは、抑圧された自由への渇望が爆発した姿かもしれません。私たちの「怒り」は、時に、誰かの期待という名の鎖に繋がれ、不本意な方向へ引きずられているのではないでしょうか。
真の感情は、もっと奥深い場所にあると思います。悲しみや不安、無力感といった繊細な感情が、社会の眼差しを恐れ「怒り」という鎧をまとって現れることもあります。まるで、弱い自分を見せまいと、他者に植え付けられた武器を振り回しているかのようです。
現代社会はさまざまな「怒り」に満ちています。「日本人ファースト」などと叫び、外国人に対する「怒り」を煽り植え付けようとする声が聞こえてくるようになりました。そうした言葉に引きずられ「怒り」を植え付けられた多くの人々が「怒り」の共感をひろげようとしている現状には恐怖を感じます。
だからこそ、私たちは今、自分自身に問い直すべきなのではないでしょうか。この胸に燃える「怒り」は私のものか、それとも誰かの影なのか?  その問いの先にこそ、私たちは「植え付けられた感情」という名の檻から解き放たれ、本当の自分を取り戻す鍵があるのではないでしょうか。そして、その解放こそが、互いの「怒り」を理解し、手を取り合う第一歩となるのではないかと思います。
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Prof.Tagawaの揺れる音楽道 #89


The shell of summer
The once vibrant festival grounds were now just the shell of summer, awaiting the next season.
The night after the Gion Festival in Kyoto.
夏の抜け殻
かつて活気に満ちていた祭りの会場は、今はただ夏の抜け殻となり、次の季節を待っていた。京都、祇園祭の終わった夜。
音楽 田川文彦
映像 清水哲男
制作 office432
©️F.Tagawa, T.Shimizu & office432 2025
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清水哲男のサンクチュアリ
地魚酒場 魚八商店@京橋,大阪市都島区

賑やかを通り越してもはや雑然たる店構え

7月半ばの大阪は暑い。夏だから仕方がないなどという話ではない。繁華街に出てみればわかる。平日の日中にだ。京橋あたりがいいだろう。立ち飲み屋や立ち食いうどん屋は間口を開け放しで、客は汗をかきかき酒を飲み、うどんをすする。迷路のような路地にまで酔客が行き来し、一人ひとりが相当な代謝熱を放っている。人間ヒートアイランド現象だな。そんな暑さの最中、我々は昼飯、いや昼酒の店を探して彷徨った。馴染みの店は満席だったのだ。
一際目立つ看板があった。大きさもさることながら『24時間営業』という文字が目についたのだ。コンビニでもあるまいし、営業時間で勝負か。しかも店内は空いている。たいしたことなさそうだな……。
壁とにらめっこ

そう思いながらも暑さに耐えかねて飛び込んだ。壁際の席に通された。壁と向き合って座る。妙な感じだ。オススメの酒や肴の品書きとにらめっこだ。ますます期待できないなと思いながらビールと鰹のタタキ(748円)、水茄子浅漬け(418円)、ポテトサラダ(418円)、彩ぬた和え(468円)、シャケのハラス(638円)と一気に頼んだ。しばし涼んでとっとと飲んで食べて、次の店を目指そうとしたのだ。ビールを飲み、最初に出てきた鰹のタタキを一切れ口に運んだ。

「おやっ!?」思わず動きが止まった。これがなかなかイケるのだ。さらに彩ぬた和えは彩をうたうだけあって、タイ、マグロ、タコ、イカといった海鮮に薄揚げ、ミョウガ、ワケギ、ダイコンが酢味噌で和えられていた。彩も鮮やかだが、思わず笑みのこぼれる優しい味だった。営業時間の長さを売りにしているだけじゃないな。料理も大したものだ。カウンターの向こうでは数人の料理人が忙しそうにしている。
本日のカマ焼きはシャケのハラスだ

そうこうしていると2階から客が降りてきた。どうやら4人以上のグループは2階へ上げられるようだ。おねえさんが言うにはほぼ満席だそうだ。我々のいた1階もその後4人、3人と客が入りほぼ満席になった。なかなかの人気店、繁盛店だったようだ。
スイスイ飲めるまさに夏向けのお酒 白麹純米酒 瀧自慢

ビールから日本酒に。目の前に張り出されたオススメに負けたのだ。『白麹純米酒 瀧自慢』(770円)三重の酒だ。「スイスイ飲めるまさに夏向けのお酒です」と。一気に暑気払いができそうな……。その惹句に負けて杯を重ねる。何か酒に合う肴をと、エイヒレ(418円)ともずく酢(418円)と思ったがざるもずく(528円)が目についた。ざるにあげたもずくをそうめんかそばのように付け出汁で食べるそうだ。ではそれを。このざるもずく、量も多くて麺類やごはんものの代わりに〆の一品として注文する客も多いとか。
エイヒレ炙り

さらに杯を重ねながらメニューを見る。海鮮丼やお茶漬けはもちろん、にぎり寿司もあるではないか。「酒も料理も充実しているな」と独言ると同行者が「24時間営業ということは、近辺で営業っているお店の人が店が終わった後に寄るってことだから玄人相手でしょう。まずいはずはないよねえ」と言って返した。ここは再訪に値するなと。
ざるもずく。夏酒の〆にはよく合う

たしかにな。これまで良い酒場を嗅ぎ分ける嗅覚を売りにして酒場探訪の本を何冊か書いてきたし、テレビやラジオの番組も担当してきた。だけど、俺の嗅覚なんて、印象なんて、大概いい加減なもんだなと酔いが回るにつれて恥ずかしさの募る昼酒だった。

大阪市都島区東野田町3丁目11−19
地魚酒場 魚八商店 京橋店
https://uohachishoten.owst.jp/

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揺れて歩く人々の問い vol.100
「あなたの熱中症対策を教えてください」

ついついこういうものに手がのびる

新しい問いかけは「あなたの熱中症対策を教えてください」です。こう暑いと外に出る気も起こらない、何にもする気にならないとは言うものの、どんなに暑くったって暮らしをストップすることはできません。だからこそ暑さを乗り切るこんなアイデアがある。上手な熱中症対策を知っている。そんなこんなを聞かせてください。
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後野 典子さん
とにかく水💦ですねー♪ あと冷たい首輪も使ってまーす。
けど、手ぬぐい濡らして首巻くのが一番簡単で、効くような〜
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Masako Fujiiさん
正しい熱中症対策が出来ていたら、先日の39・4度の熱と頭痛と吐気と足の攣りっていう酷い熱中症にはならなかったでしょうが、そこで学んだのは水分不足を補うために大量に水やお茶を飲んでも、それだけでは駄目だという事。
漢方系の薬局で梅干しをお茶にちぎって溶いて飲むのが良いと教えて貰いました。
あとはFB友達富士子さん直伝の小梅を薄口醤油に漬け込んだ梅醤油。麺つゆのちょっと薄まった時の味変にバッチリで、その梅を1日2個くらい食べると調子が良いです。
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松園 功さん
一般的ですが、冷房の効いた屋内で過ごします。外出は日が高くなる前にか、日が傾いてからに、日中は外出しない。それでもやむを得ず出かける時は、帽子や日傘は勿論、長袖や日焼け止めに水筒持参です。
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山田 信之さん
Tシャツ、短パン、サンダル。持ってないけど大ぶりの麦わら帽子😆
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コメントいただいた皆さん。ありがとうございました。コメントは以下のページからもご覧いただけます。
https://www.facebook.com/groups/1651099238372682/posts/32988496
次の問いは次回ライブ配信時にお知らせします。〈揺れて歩く人々の対話テーブル〉でお気軽にコメントくださいね!
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しみてつコラム
His Master’s Voice


あなたは蓄音機に耳を傾ける犬の名前をご存じだろうか。ビクターやHMV、RCAといった企業のロゴマークとして世界中で親しまれ、おそらく世界で一番有名な犬ではないだろうか。僕は最近金沢市の蓄音機博物館を訪れた際、初めて彼の名を知った。彼の名はニッパーだ。
ニッパーは単なるデザインされたシンボルではない。彼が描かれた絵画「His Master’s Voice」に込められた物語こそが、ニッパーを時代を超えて愛される存在にしているのだ。
ニッパーは、19世紀末のイギリスに実在した犬だ。最初の飼い主である画家マーク・ヘンリー・バロウドが亡くなった後、弟のフランシス・バロウドが彼を引き取った。フランシスは、マークの声を再生する蓄音機を不思議そうに覗き込み、その声に耳を傾けるニッパーの姿を目にする。亡き主人を慕うニッパーの姿に感動し、フランシスは「His Master’s Voice」という作品を描き上げた。蓄音機から聞こえる微かな音に、かつての温かい声を探すかのようなニッパーの瞳。その姿には、言葉では表現しきれないほどの深い愛情と、永遠の絆が描かれていると思った。
この絵画は、単なる一枚の絵にとどまらなかった。蓄音器の発明者であるエミール・ベルリナーによって商標として採用されたことで、ニッパーは世界中の人々の目に触れることになる。そして、彼は企業の顔となるだけでなく、忠実な伴侶としての犬の姿、そして失われたものを慕う普遍的な感情を象徴する存在となった。それは愛だ。
怒りを植え付けられた犬は怒れる犬となり、愛を注がれた犬は他者を愛する犬になる。当たり前のことだが、前者は不幸な犬になり後者は幸せな犬になる。
僕もニッパーのように生きたいと強く思った。
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著者が本著の中で目指したのは流れ行く時間の可視化です。身の回りの何気ない風景、漂う空気、そして人々との出会いを縁に時間を紡いでいきます。
今回は完全私家版としての上梓です。大手書店、Amazonなどでの取り扱いはありません。購入ご希望の方は下記URLからどうぞ。
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★清水哲男YouTubeチャンネル
The Dancer of Passion
荒木菫(あらきすみれ)
命の時間と向き合い、決して諦めることなく踊り続ける。
Another Moonlight@SPACE Mu, 2025.06.22

それでも人生は続く。
生きることが前衛。
踊ることがレジスタンス。
人生に完結はあるのか?
僕らはそれぞれの到達点をざまざまな想いを込めて踏みしめているだけかもしれない。
でも、何かに挑み続けるというのはそういうことなんだと思う。そうして、完結するよりも挑み続けていられることに満足するのだ。
そこに生きる意味があるのではないか。
僕はそう思う。
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「揺れて歩く ある夫婦の一六六日」は下記のネット通販をご利用ください。
清水哲男事務所のBookShopでは銀行振込、クレジットカード決済となります。
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【「揺れて歩く ある夫婦の一六六日」概要】
頁数:192p
体裁:B5変形横型(182mm×210mm)
ISBN:978-4909819086
2020年4月15日 初版発行
価格:2420円(本体2200円+税)

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最後までおつきあいありがとうございました。
本メールマガジンは原則毎月2回隔週にお届けいたします。
次号は8月8日(金曜日)配信予定です。
発行:揺れて歩くニュース編集室
発行者:清水哲男
Mail:info@office432.jp
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