こんにちは、揺れて歩くニュースです。
全国に発出されていた新型コロナウィルス感染拡大に伴う緊急事態宣言、すべて解除されましたね。でも、これは、はい、もう大丈夫ってことではなく、感染防止策を励行して新しい日常にステップを進めましょうってことですね。僕らがまだまだ困難な状況に直面していることには間違いありません。もうちょっと頑張りましょうか。必ず平穏な日常が戻ると信じて、頑張りましょう! それでは今回も、最後までお付き合い下さい。

INDEX

  1. 書店の店頭にて エディション・エフからレポート
  2. みんなの仕事、生きがい 〈問いかけラジオ〉から
  3. 揺れる父、揺れない家族 ユレテアルキスト・リレーコラム#04
  4. 美しき役割分担 Happy News①
  5. しみてつコラム ボタンのかけ違い
  6. 「揺れて歩く」ご購入はこちらから
清水千鶴書

 

書店の店頭にて
岡本千津(エディション・エフ代表)

京都新聞紹介記事(5月17日掲載)

『揺れて歩く ある夫婦の一六六日』を刊行してひと月余りが経過しました。スタートはまずまずというところです。刊行に先立ち書店向け新刊案内レターを郵送したり、見本出来後はそれを持参で訪問したり、地道な告知活動をしました。京都市内の店頭に並んだのはやっと大型連休後でしたが、芸術・写真集の棚に面陳されるなど、いい感じで扱ってもらえています。

各種各界のメディアにも献本し、書評欄等への掲載を依頼しましたが、わずかとはいえ反応が見られ、現在までにいくつかの新聞や雑誌の読書欄で紹介されています。

本書はご存じのとおり、出版を実現するためのクラウドファンディングの成立によって刊行が叶いました。本書の最初の読者は、支援のリターンとして4月半ばに本書を手にしてくださったみなさんです。そして、この最初の読者たちのほとんどは、清水哲男という著述家を知り、彼が写真を撮り果敢に発表していることも知ったうえで、刊行を心待ちにしてくださっていた方々だといえます。おのずと、本書をあらかじめ肯定的にとらえ、より親和的に内容に踏み込み、深く読み込んでくださっていると想像します。現在までに、すでに読了された読者の感想やメッセージが届いており、さらには、ご自身のブログに思いを書き綴ったり、SNSで端的に感想を発信したり、というケースもあります。

出版社としてこれほどありがたいことはなく、二重の意味で感謝しています。

ひとつは本書に対して「読んでよかった」と褒めてくださることへの感謝。もうひとつは、大勢の読者が肯定的な感想を発信くださることによって本書への好感がひとり歩きし、ナチュラルな宣伝につながっていくことへの感謝です。弊社には広告宣伝を打つ予算はまったくありませんから、こうした読者の声が唯一の、そして何にも勝る宣伝となります。読者のみなさま、ほんとうにありがとうございます。引き続き、『揺れて歩く』をよろしくお願いいたします。

〈揺れて歩くラジオ〉
あなたへの問いかけから
「あなたの仕事、生きがいとは?」

〈揺れて歩くラジオ〉では毎回配信の中でみなさんへの問いかけを発しています。5月8日放送回では、

・あなたにとって、生きがいって、何ですか?

・あなたはどんな時に、生きがい、を感じますか?

と問いかけました。そうしていろんな答えをいただきました。ここではその一部をご紹介します。

いきなり申し訳ないんだけど、生きがいってなきゃいけないものなのでしょうか? ただ生きる。その意味は、自分が考えるものではなく、見た人にゆだねるのではいけないでしょうか?(K・Tさん)

なんか、振り返ってみたときに、「ああ、あの頃はあれが生きがいだったんだな」みたいにおもうことはある気がしますね。現在進行形で、それに自覚的である必要はない気もする。(Y・Nさん)

俺は単純なせいか、普段から〇〇甲斐を小まめに感じてます。仕事はよく「やり甲斐」を感じてるし、苦労の後の一杯には頑張り甲斐を感じます。(M・Yさん)

本当に大事なのは「生きること」であって、「生き甲斐を持つこと」ではないと思うのです。生き甲斐はあってもなくてもいいのかも。でもあったらきっと楽しいと思うんですよ。(S・Nさん)

「〇〇のために生きていたんだなあ」「生きてて〇〇に出会ってよかったなあ」みたいに、結果・ご褒美的なとらえ方くらいがいいのかなと。そしたら、とりあえず、ただただ生きていけそうです。(Y・Kさん)

揺れ動きながらも「らしさ」や「こだわり」を持って実行し、社会に役立っている実感をもつ瞬間を大切に生きることが私にとっての『ikigai 生きがい』だと思った(K・Nさん)

表記は原文のままです。詳しくは「揺れて歩く人々の対話テーブル」をご覧ください。

https://www.facebook.com/groups/1651099238372682/permalink/1714855531997052/

【ユレテアルキスト・リレーコラム】#04
「揺れる父、揺れない家族」藤井雅子

気管切開手術直後のマイクさん(撮影/藤井雅子)

去年2月初旬、ALSを告知された父。

当初は自宅での療養生活を望みましたが、居宅の構造上の問題や老々介護で母に大きな負担を強いることになることから、断念せざるを得ませんでした。落胆した父は、思い通りにならないなら以前から研究していた自死、尊厳死を実現すべく、それに向けての行動で周りを翻弄する日々がしばらく続きました。

それを見かねたダンス仲間、長年携わったボランティア仲間の助けで実現した『エンジョイデス』(生前葬)と、清水哲男さんとの日々感じた事を綴るブログ『往復書簡』、この2つに支えられ、ここまでは自死、尊厳死を目指していた頃には考えられないほど前向きで、とても充実した時を過ごせてきたと思います。

その間は自分の事だけでなく、他の弱者のために出来ることを深く考え生きようとしてきましたが、今年に入り嚥下能力の低下、手足の筋力低下と症状が進行・悪化し、さらには新型コロナウィルスの感染拡大で家に帰ることも家族との面会もできなくなり、精神的に落ち込むことも多くなりました。そうしてまた最初の『自死、尊厳死を!』と後ろ向きの主張を繰り返す状態に舞い戻ってしまったのです。

いずれにしても家族としては、父の「死にたい」「生きたい」という両極の思い、考えをしっかり聞いてきました。父の求めに納得しているわけではありませんが、少なくとも十分理解はしていますし、今回の揺れ戻しについても父の思いを受け止めようとは思いますが、私たち家族にも「できること・できないこと」はあります。事実として『自死、尊厳死を!』という希望に沿うことなどできないのです。

胃ろう造設に続いて、誤嚥防止のための気管切開も父の決断を見守ってきました。この上は思うように生き、思うような死に方を求めるのも父の思いに委ねることしかできません。しかし、まだまだ社会の中で発信したいこと、出来ることは少なくないとも思います。そう確信することで前向きに生きてこれたのだとも思います。できるなら今の揺れを乗り越えて、ALSになったからこその父らしさを発揮してもらいたいと願っています。そういう思いで、父に寄り添い支え続ける。私たち家族にはわずかの揺れもありません。

*「ENJOY DEATH 死を楽しむ毎日。ALS 患者とがん患者の難病を生きる往復書簡」の一方の当事者、マイクさんこと藤井幹明さんの長女

Happy News①
美しき役割分担 門間ゆきの

大好きな居酒屋で大好きなおかあさんと

大好きな居酒屋がある。私がこの町に住むきっかけになった店。「お腹空かしていらっしゃい」が口癖の80歳女将は私にとって 〈鹿児島のおばあちゃん〉。仕事終わりにへろへろとなだれ込む私にごはんをいっぱい出してくれる。

新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言発令中は店に行くのを自粛していた。時々電話はするものの、会っていないと様子がわからない。店を閉めて、お客さんとのおしゃべりがなくなったら、女将はよぼよぼの寝たきりになってしまうんじゃないか、と心配だった。

緊急事態宣言、県内飲食店の休業要請が解除されてから、どうしても女将の顔を見たくて、仕事帰りに立ち寄った。

女将は、拍子抜けするほど健在だった。

サラダ、そらまめ、おでん、ナポリタンスパゲティ…。

いつも通り次々と出される料理に涙が出た。

休業要請期間中、客足はぴたりと途絶えたという。でも、女将は「誰か1人でも来た時に開いてなかったらかわいそうでしょう?」と毎晩店にいた。

そんな女将を思ってか、店には毎晩2人の常連が交替で様子を見に来ていたという。

行きくてしかたなかったけれど、店を守るために自粛した多くの常連客。

店を守るために、密を避けて毎晩交替で来た2人。

相談して決めたわけではない。無言の役割分担が、店や女将を守った。

美しい、と思った。

この日は、今シーズン初のスイカもいただいた。キャベツとハムを挟んだボリュームたっぷりのサンドイッチは食べきれずにお持ち帰りした。

大切な人を守りたい。離れていても、その思いは繋がっている。

Happy Newsは心がホッと暖まる話題をお届けします

【しみてつコラム】清水哲男
ボタンのかけ違い

「子どもさんは?」とよく聞かれる。何を聞かれているのかよくわからないが、こう答えることにしている。

「わかっているだけで3人います」と。

すると聞き手はうれしそうに話をつなぐ。

「こんなお父さんなら楽しくていいですね」と。

何が「こんな」で、何が「楽しい」のだろう。

僕は自分の経験から、父親などというものは厄介でつまらない存在だと思っている。実際僕の場合そうだった。僕にとって父親は暴君以外の何ものでもなかった。僕が思い通りにならないと殴り、罵り、従わせようとした。だから父と一緒にいると楽しいどころか、嫌で嫌でしかたなかった。

「揺れて歩く」を出版した後、いろんな人から「優しい息子さんだ」「親孝行だ」などと言われたが、嫌いでしかたなかった父のことをなぜ本にまとめたのか、自分でもよくわからないのが正直なところだ。

そんな話を母にするとこんなことを言った。

「小さい頃、あんたはお父ちゃんの後ろをずっと追いかけてたわ。大好きやったんやわ。けどな、だんだんお父ちゃんはあんたに厳しなった。もちろん自分にも厳しい人やったけど。ちゃんと育てという思いの裏返しやったんやね。うまいこと伝わらへんかったんやな」と。

母からすれば父と僕はボタンをかけ違えたままだったのだ。

そんな僕だからか、自分の子どもたちには手を上げたことはもちろん、暴言を吐いたこともない。何かにつけて否定してり、ダメを出すなどということは一切なかった。いくつかの人生の岐路に立った時も、口出しせずただただ見守り続けてきた。それで良かったのかどうか、その答えはいつか彼らの僕への評価として用意されるに違いない。

正直な話をしよう……。

持ち歩いている写真、いやポジフィルムがある。長女が6歳、次女が5歳、長男が3歳。近くの工場の駐車場で遊ぶ彼らにカメラを向けた。30年前の写真だ。この写真を撮った直後、僕は家を出た。やりたいことをやり通したい。夢を追い続けたい。そんな思いに駆られてのことだ。そうして今がある。

最近になって長男に言われた。

「あんたの人生に口出ししようとは思わへん。今ふり返ったらそれでよかったんちゃうかな。一緒にいたい時にいられへんかったのは、ボタンのかけ違えみたいなもんやな」と。

自嘲しかなかったが、どうやら僕は両親のことだけではなく、子どもたちのことでも大きく揺れて歩いていたようだ。

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「揺れて歩く ある夫婦の一六六日」概要
頁数:192p
体裁:B5変形横型(182mm×210mm)
ISBN:978-4909819086
2020年4月15日 初版発行
価格:2420円(本体2200円+税)

最後までおつきあいありがとうございました。

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発行:揺れて歩くニュース編集室
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