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横目流し目 怠け者でいこう!

京都から戻って5日が経ちました。これを書いているのは5月18日です。ひと月以上留守にしたわけですから、やるべきことは山積みになっているのです。でも、ぼうっとするばかりで……。
やる気が湧かないと言ったらいいでしょうか。手帳やノートを開いてペンを取っても、パソコンを立ち上げてファイルを開いても、資料を読もうと取り出しても、何も前に進まないのです。というか、うまく進めない自分がいるのです。
大阪・京都での写真展のこと、出会った人たちのこと、心に残った風景や出来事のこと、書きたいことは山ほどあります。でも前に進めないのです。若い頃なら力に任せて言葉を捻り出し、とりあえず書けばいいのだと原稿用紙を埋めていました。後で直せばいいと。だけどそんな力もどこかに置き去りにしてきたような……。歳をとるとはこういうことなのでしょうか。
図書館司書をやっている旧い友人が京都の写真展を見にきてくれました。彼女が言うには僕のいくつかの本は全国各地の図書館に収められているそうです。そしてこう言ってくれました。
「清水さんは作品でこの世に残るわね」と。
とても嬉しかったのですが、その反面「ああ、何かを残さなければならない歳になったのだなあ」と自分の先行きのことを思ってしまいました。最近心臓の調子が悪くて何度も検査を繰り返しているせいか、僕にはあまり時間が残されていないなどという不安も感じはじめたこの頃です。
だったらぼうっとしてないで前へ進めよ!と自分でも思うのですが、なかなかうまくいきません。どうやら生来の怠け癖は歳をとっても抜けないようです。
ああ、ここ数年来のスローガンを忘れていました。
「Let’s Sloth! 怠け者でいこう!」
でした。
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Prof.TAGAWAの揺れる音楽道
Where the Winds Slow Dance
Here, the winds gather and play.
One after another they arrive, rustling the trees rhythmically,Dancing, and crying out softly.
Hallelujah!
And then, they depart.
The dance of the wind continues infinitely.
This is the garden where the winds slow dance
風の庭
ここに風は集い戯れる。
次から次にやってきては賑やかに木々を揺らし
踊り、小さく叫ぶ。
ハレルヤ!
そして去っていくのだ。
風のダンスは無限に続く。
ここは風の庭だ。
音楽:田川文彦 篠笛:加藤俊彦
写真:清水哲男
制作著作:清水哲男事務所
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揺れて歩く人々の問

これからはじめたいこと、チャレンジしようと思っていることありますか?
幾つになってもチャレンジ精神を忘れるな!
これは清水のある友人の口癖です。チャレンジを忘れたら一気に老け込むぞ!と。チャレンジが老化防止につながるかどうかはわかりませんが、ワクワクドキドキして過ごすにはうってつけかもしれませんね。そんなことを考えること自体がすでに歳をとった証拠かも🤣
趣味でも仕事でもかまいません。何か新しいチャレンジをしていますか? しようと思っていますか。
ちなみに清水はおしゃれな写真にチャレンジしようかと😅
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能勢 厚さん
小説を書こうと思っています。
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古藤只充さん
そもそも「おしゃれな写真」ってどんなん?😅 私の場合、毎年毎年やりたくもないツアー組まれて、ちゃんとしたライブやることが一番の課題。新しいチャレンジなんてする暇ありません😜
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高山 富士子さん
一応新しい仕事に申し込んでみたけど、まだ返事ないからどうかな。取材の。
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Fumihiko Tagawaさん
自分以外の思考に左右させず
自分で考えること…
にチャレンジしているような気がしますしこれからもします。
すぐに影響されてしまうので。
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松園 功さん
かなり難しいけど、手話通訳者目指そうかと、昨年から勉強初めてます。
現状は入門課程が終わり、今月から基礎課程が始まります。更に基本課程、応用課程、実践課程と進み、最後は都道府県認定試験に合格すれば手話通訳者です。かなり高いハードルですが、暇なオッサンに時間だけはタップリなので!
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Masako Fujiiさん
毎年、文博での写真展で自分の英語力の無さに心折れるので、去年、終わったあとデュオリンゴで英会話を習いはじめました。毎日欠かさずやったのですが、まだ写真展には全く関係ない『あなたの弁護士は面白くない』なんて会話しか出てこないので、今年もほぼ日本人の方限定でのトークしか出来ませんでした。
来年の写真展までに写真の説明出来るようになるには無料のではアカンのかもしれません。
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コメントいただいた皆さん。ありがとうございました。コメントは以下のページからもご覧いただけます。
https://www.facebook.com/groups/1651099238372682/permalink/3624729171009669/
https://www.facebook.com/tetsuo432/posts/pfbid0AV6esbaHNvdnUZPHEMhURDnCXi2osTKpcK17UMJGatg21VyLjRSNjsY7uBuV1wwEl
次の問いは次回ライブ配信時にお知らせします。〈揺れて歩く人々の対話テーブル〉でお気軽にコメントくださいね!
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BOOK Review
働く人々の言葉の中から自分の目と頭で答えを探してご覧と
軽く背中を押してくれるような本

『仕事!』スタッズ・ターケル著 中山容他訳
河出文庫 上下巻各1700円+税
初版の単行本を持っているので買おうかどうか迷っていた文庫版『仕事!』(河出文庫)だが、翻訳者のひとりである神田稔さんから贈っていただいた。
この本は僕の生き方の指針になった。50年近く前、この先どうやって生きていこうかと思い悩んでいた頃に出会った。生きていくとはまさに、「どう働くか」「何を仕事とするか」ということだった。この本はその答えを教えてくれているように思えた。しかも今もてはやされる啓発本などの上から目線で教えてやるというスタイルとは違い、働く人々の言葉の中から自分の目と頭で答えを探してご覧と、軽く背中を押してくれるような感じだった。
僕は徹底的に読んだ。徹底的に考えた。そして思った。僕はこういう言葉を紡ぎ出す仕事をしたいと。そうなれるように自分なりに動いてきた。その結果が今の僕だ。
さて、文庫本だが、上下巻2分冊になっているが、それでもそれぞれ700ページを大きく超える。単行本がA5判2段組で700ページを超える大部だから、なるほどなというボリュームだ。でも文庫本と単行本での大きな違いは、文庫本は外へ持って出られるということだ。
この本を読んだ方ならお分かりいただけると思うが、『仕事!』はどこからでも読める。だから時間潰しにでも、ちょっと空いた時間にでも、すっと手にとって開くことができる本なのだ。僕はずっと旅に出る時に持って行きたいなと思っていたが、さすがに単行本をバッグやリュックに詰め込むには大きすぎ、重すぎたのだ。何度か試みたが結局は諦めた。
文庫本はそれを可能にしてくれた。僕は贈ってもらったその下巻をリュックに詰め込んで京都に向かった。ひと月あまりの滞在予定だが、その間に何度開くことになるだろうとワクワクしながら。初版出版当時とは時代の状況など大きく変わっているだろうが、仕事のあり方は変わっても仕事に向き合う気持ち、仕事の本質などは普遍だと思う。京都で仕事に躓いた時何らかのヒントを与えてくれるはずだと。
『仕事!』は、70歳を過ぎた今でも仕事に向かう僕の心強い相棒だ。
京都で、組織づくりのことでちょっと考えなければならない夜があった。躊躇なく『仕事!』を取り出して、「組織づくり オルガナイザー」の項を開けた。翻訳は贈っていただいた神田稔さんによるものだった。
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しみてつコラム
ポコポコおじさん

京都。深夜の四条烏丸バス停。宿舎に帰るために10時40分発の最終バスを待つ。写真展の会場を出て近所の酒場で一杯やり、いい気分で長蛇の列の一員になる。そんな夜をひと月あまり過ごした。
おじさんは10時30分頃そのバス停に現れる。列には20人ほどが並ぶ時間だ。おじさんは列の最後尾にはつかずにちょっと外れたところに立つ。春から初夏に移る季節なのに少々厚手のコートを羽織り、雨も降らないのに長靴を履いている。持っている布製の手提げは少々汚れている。列に並ぶほぼすべての人が訝しい目を向ける。
おじさんはバス停に着いてしばらくすると、手提げからドラムのスティックを取り出して上屋を支える柱や時刻表のボードをポコポコ叩き始める。時々うっと声をもらし恍惚の表情を浮かべながら。
訝しい目を向けていた人たちは、おじさんの周囲、つまり列から離れて遠巻きに眺め続ける。おじさんは明らかに異質だと見做されている。普通の人は、自分が普通だと思うにあまり、異質なものには関わろうとしない。僕は自分が普通だとは思っていないから、その場を離れない。周囲がじりじりと後退して避ける中、僕だけがその場に留まった。結果として、僕とおじさんだけがぽつんと取り残され、自然に最前列に立つことになる。乗り込むバスはそのバス停が始発なので、僕たちは必ず座れるのだ。
ある夜おじさんに話しかけた。彼は列の先頭に立つためにポコポコやっていたわけではない。そうすることが好きだったのだ。手提げには折り紙でつくったという花束が入っていた。優しい人なんだなと思った。
自分には知的な障害がある。両親も兄弟もみんな亡くなりひとりぼっちになった。仕事はできないので生活保護をもらって生きている。もらうだけでは申し訳ないので、毎晩ボランティアで木屋町(京都の歓楽街のひとつ)のゴミを拾って歩いている。その帰り道だそうだ。大勢の人が会話の成り行きを関心を持って見ていたようだ。僕は背中で周囲の視線が和らいでいくのを感じた。
「俺みたいなもんに話しかけてくれて、ありがとうな。お兄さん優しい人やね」
彼はそう言ってバスに乗り込むと、先頭の座席に座った。
20分ほど揺られて僕はバスを降りた。彼はまだ先まで行くようだ。降りる間際に声をかけられた。
「お兄さんありがとう。おやすみ」と。
ああ、と答えてバスを降りて振り返ると、窓の向こうで彼が手を振って笑っていた。
ありがとうと感謝されるようなことをしたのだろうか。バスを見送りながらそんなことを思ったが、胸の奥の方が少し暖かくなるような気がした。
翌日、彼は同じ時分にバス停に現れた。僕に笑いかけるとスティックを取り出しポコポコやりだした。しかし、彼から離れていく人は少なかった。
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