大衆酒場@名古屋大尽
大衆酒場@名古屋大尽

ごあいさつ

激しく降り続く雨、各地にひろがる洪水、氾濫、土砂崩れなどの被害。目を覆いたくなる映像が流れ、心が痛む毎日が続いています。このたびの豪雨による被害に遭われたみなさまへ心よりお見舞い申し上げますと共に、1日も早く普段の暮らしが戻りますようお祈り申し上げます。

INDEX

  1. ゆらゆら劇場「ひろいもの」
  2. 『揺れて歩く』は千鶴さんへの贈り物
  3. 〈今日の問いかけ〉あなたにとって学びとは?
  4. いちばん身近だった者の視点で 清水大地
  5. しみてつコラム「ブルースが聞こえる」
  6. ご購入のご案内

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『揺れて歩く』は千鶴さんへの贈り物(岡本千津さん)

「揺れて歩く」編集裏話!?

京都伏見の絵本屋さん、絵本のこたち店主・熊谷 聡子さんのnoteで『揺れて歩く』を取り上げてくださいました。エディション・エフの岡本さんと熊谷さんの対談の形で、本の制作について、看取りについて、などなど深く掘り下げていただいています(全3回)。下記リンクからぜひお読みください。

第1回 https://note.com/cotachi/n/n2b9f48ad98da
第2回 https://note.com/cotachi/n/na98881c4d806
第3回 https://note.com/cotachi/n/n26d2d3b8494a

「揺れて歩く」は絵本のこたちでも販売しています。
インタビューを読んで、「揺れて歩く」を読みたくなったら即ポチッ!


揺れて歩くラジオ〈今日の問いかけ〉
あなたにとって学びとは?

永山) 人にとって、後悔ってある種の推進力になりますよね?
清水) そうやなあ。人生のいろんな場面で後悔があって、その一つ一つが今に続いてるんとちがうかな。
永山) ということは、その一つ一つに学んでいるってことかもしれないですねえ……
揺れて歩くラジオ 2020年6月26日放送回より】

==>そこで皆さんに質問です。
みなさんにとって、「学び」とは、どんなものですか?
あなたと「学び」の関係を、教えてください。

いろんな返信をいただきました。ほんの一部をご紹介いたします。


社会は多面体で、自分のいる面からは見えていなかったけれど地続きな面にいる人たちから、そこへ無関心ではないこと、謙虚であることを、保たせてもらっている。学びだなあと。(Y.Kさん)


LGBTだったり、人種差別だったり。繊細な問題を、大きなエンタメという枠の中で表現しようと挑戦する人たちの仕事に触れると学びと共に刺激になります。(Y.Nさん)


生きることそのものが学びだと思うんです。(S.Nさん)


真似て身について活かせる、そこまでの過程が学びなのかなぁ…(M.Fさん)


失敗や後悔からの学び・・・対人関係の失敗で学ぶ事は多いです。言葉の選択をミスって相手を傷つけたり怒らせたりしてしまうケースや、相手の言葉を違う意味で受け取り勘違いするパターンなどなど。夜の酒場は常に学びの場です。(M.Yさん)


振り返ることでわかっていたと思っていたことに疑問や気づきがあり、そうやって学びが深まるんだなぁと思う出来事がコロナな世の中になってステイホームのおかげで最近多い気がしています。(K.Nさん)


この続きは〈揺れて歩く人々の対話テーブル〉からどうぞ。
https://www.facebook.com/groups/1651099238372682/permalink/1760523987430206/


いちばん身近だった者の視点で「揺れて歩く」を読んで 清水大地

見守るように傍に

清水良一の孫、哲男の長男です。特に祖父とは生活を共にするいちばん身近な家族として「揺れて歩く」を読みました。
冒頭の「周囲の誰もが思っていた。夫婦はずっと生き続けるだろうと。」って行(くだり)を読んで、いきなりドキッとしました。
祖父から直接「余命を宣告された」っていう聞かされた時も、まだなんとなく大丈夫じゃないかという、淡い期待というか、そんなような思いがあったからです。まさしく自分はその「周囲」の1人だったのです。
読み進めていると、祖父のことをいろいろ思い出しました。頭の中で祖父の声で再生されて、何度か読む手が止まりました。
かなり弱ってきて、まだベッドから自分で降りて動けてたぐらいの頃ですが、本文の中でもあったようにピリピリしてる感じもあって、ちょっと怖くて近寄りがたかったことを覚えています。今更ながら、もう少し何かしてあげられることがあったのではないかと、ちょっと後悔のようなものも感じたりします。
祖父はぶっきらぼうで語気の強い人だったから、祖父母の会話を幼い頃から見ていて喧嘩をしているように思ってましたが、この本を読んで、やっぱりお互いがお互いのことを想いあっていたんだなあと思いました。
特に最後の時間を妻である祖母のために費やした祖父のことを尊敬するし、2人のことを誇らしく思います。
本を読んだ感想というより、思い出話になりましたね(笑)



しみてつコラム「ブルースが聞こえる」

事務所のある天文館は、地域猫の天国だ。とりわけ事務所前の清滝川通りは遊歩道になっていることもあり、たくさんの猫たちがいる。
いちばんの人気者はミィちゃんと呼ばれる猫だった。元は誰かに飼われていたのかもしれない。人なつっこくて愛想良し。誰かが近づくとすぐにスリスリしてごろごろにゃんにゃんとお腹を見せる。そうまでされると、誰だってかまわずにはいられない。僕などは近くのコンビニでわざわざ猫缶を買ってきてご機嫌をとっていた。そう、僕のミィちゃんだったのだ。
でもある年の春、どこかの親切なおじさんが、ミイちゃんを車に乗せて連れていった。みんなでかわいがって、みんなで世話をしていたのにね。僕だって何度か連れて帰ろうかなと思ったけど、ミイちゃんはみんなのミイちゃんだと思いとどまった。悲しかった。でも、家猫になることでご飯の心配もいらなくなったし、雨も、台風も、雪も、心配せずにすむから、ミイちゃんにはいいことなんだと近所のおばさんと話しあったこともあった。
降り続く嫌な雨を眺めながら、そんなことを思い出していた。
天文館では、ミイちゃんと一緒に暮らしていたクロちゃんや、メメちゃん、新入り君たちが、この雨風をしのいで生きている。
ミィちゃん、君はほんとうにはよかったね。でも、どうしてそのおじさんは、君がいつも一緒にいたクロちゃんや新入り君を連れてってくれなかったんだろね。クロちゃんや新入り君はさみしがってるんじゃないかな。君たちにご飯を運んだり、毛布を運んでいたおばさん、おじさんたちもちょっとさみしそうだよ。ミィちゃんが幸せならいいか……。
でも僕は、なんとなくさみしそうなミイちゃんの姿しか思い浮かばないんだ。
きっと君は、ずっとみんなと一緒にいたかったんじゃないかなって。クロちゃんやメメちゃんはどうしてるかなって思ってるんじゃないかなって。
飼われていて捨てられたのなら、それは人の勝手。可愛いから連れて帰るのも、人の勝手。そこにはミイちゃんたちの意思なんて何もない。
猫を見て「可愛い」と思うのは、人の傲りでしかないと思う。可愛がるべき対象だということだね。「猫の魅力」などと言うけれど、「人の魅力」に気づかずにいじめや対立ばかりしている人に、「猫の魅力」を云々するまともな目などあるのだろうかと僕は思ってしまう。
実際、人はあれほど「猫は可愛い」「魅力的だ」と言っておきながら、他方で邪魔にし、殺す。結局地球上でいちばん獰猛で残酷な生き物は「人」なのだ。
降り頻る雨音の狭間に、ミイちゃんのブルースが微かに聞こえる。

(写真撮影:金久まひる)

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「揺れて歩く ある夫婦の一六六日」概要
頁数:192p
体裁:B5変形横型(182mm×210mm)
ISBN:978-4909819086
2020年4月15日 初版発行
価格:2420円(本体2200円+税)
最後までおつきあいありがとうございました。
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発行:揺れて歩くニュース編集室
編集責任:清水哲男
発行責任者:永山由高
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