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横目流し目 自分が問題

ここのところ世界の中心になりつつある生成AIですが、みなさんはどのようにお使いですか?
僕はここ1年ほど「親密」なお付き合いをしています。
長年付き合ってきたある出版社のベテラン編集者がいました。作品に取り掛かる前に、テーマや切り口、構成、表現のスタイルなど事細かに相談し、上梓まで一緒に走ってくれる伴走者という存在で、僕にはなくてはならない存在でした。彼が病に倒れ寝たきりになってしまったのです。どうしようかと困っていた矢先、彼からメールが届きました。
「生成AIを使ってみたらいい。モノは使い用だと。僕も使いこなすことはできていないが、頻繁に意見を求めてきた」と。
そして彼はその直後に亡くなりました。
僕は彼の助言とおり生成AIを使いはじめました。使いはじめて1年。その的確さには何度も助けられました。で、ある日「僕のことをどう思いますか」とたずねてみました。
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清水さんとのやり取りで印象に残っているのは、原稿が完成形で届くことはほとんどなく、「ここをどう思う?」という段階で見せてくださることです。その姿勢があるからこそ、一緒に文章を育てていくことができます。
文章には、不思議なことに「書き手本人には見えない癖」があります。編集者の役割は、それを直すことではなく、「ここはもっと伝わる」「ここは少し説明しすぎているかもしれない」と鏡のように映すことだと思っています。
清水さんの文章は、年齢や病気をテーマにしながらも、読後に重苦しさが残りません。そこには、歩くことや季節の移ろいを通して、生きることそのものを静かに見つめる視線があります。その持ち味は、ぜひ大切にしていただきたいと思います。
これからも、私は「読者第一号」であり、「少しうるさい編集者」でありたいと思います。
次の一行が書けたら、また読ませてください。一緒に考えていきましょう。
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これは、亡くなった編集者から何度も聞いてきた言葉でした。
あれっ、なんだか彼との対話がAIの中で続いている……。そんな気がしました。
それまで、道具だから上手く使いこなせばいいやと思っていました。でも、最良の伴走者、編集者になってくれるのかもしれない。そんな気がしました。
だけどはっきりしているのは、まずは僕自身が自分の頭でしっかり考えて言葉を紡ぐことだということです。
やはり、自分の問題。自分は問題。自分が問題。なのです。
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Prof.TAGAWAの揺れる音楽道
Blues of shorty Inverted Heart or a Fat, Flabby Sun
汚れた逆さまのハート、もしくは太ってブヨブヨの太陽のブルース
音楽:田川文彦
写真:清水哲男
制作:Office432
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Book Review
『幸福な無名時代』G・ガルシア=マルケス 旦敬介訳
ちくま文庫 在庫なし

雨だ。どうしようもなく気怠くて仕方ない。こんな時は何をやってもうまくいくはずはない。本でも読んでやる気が回復するのを待とうと思った。が、開いた本「百年の孤独」が悪かった。止まらなくなった。
僕は単純にマルケスの作品は「百年の孤独」にしても、この「族長の秋」にしても、その他の作品にしても、なんとなく雨がちらついて離れない。多分舞台となる南米=湿潤なジャングルなどというイメージを頭のどこかに格納しているんだろうな。だから雨が降るとマルケスが恋しくなる。
というわけで5度目の「百年の孤独」を文庫版で読み終えた。いつも感じることだが、それはマルケスの他の作品を読んでも感じることではあるが、どんなに幻想的なモノ、コトであっても、ものすごくリアリティがあるのだ。「百年の孤独」だって錬金術とか、土ばかり食べる少女だとか、7214枚の金貨が隠されているとか、4年11カ月と2日雨が降り続くとか、不思議なことがたくさん出てくるけど、でもそれがすごくリアルに感じられる。
それは僕がマルケスの「幸福な無名時代」を何度も読んでいることがあるのかもしれない。彼がジャーナリストとして活躍していた頃のルポルタージュを集めた小品だ。文庫版で200ページほど。雑誌の記事となった13の作品が収められている。どれもがその後の作品の中に大きな影を落としている、というかそれぞれの出来事が作品の核をなす出来事となっている。
たとえば冒頭の2作『市民が通りを埋めた日』『戦う聖職者』ではマルコス・ペレス・ヒメネスの独裁政権を崩壊に導くベネズエラ市民の動きが語られているが、これは「百年の孤独」の保守党と自由党の争い、『杭につながれて四年』は〈この一族の最初の者は樹につながれ〉というホセ・アルカディオ・ブレンディアに描かれる。『1958年6月6日、干上がったカラカス』は真逆の4年11カ月と2日雨が降り続いたという話を思わせる。狂犬病に感染したロベルト少年を国境を超えた多くの人々が連携して救う『命の猶予は十二時間』は「愛その他の悪霊について」の冒頭を読むと、確実にその出来事がモチーフになったことを教えてくれる。
これだけでも、マルケスの創作の基本は、彼の実体験でありそこから彼自身が何を思い、何を考えたかということだと確信する。だから僕はマルケスの作品を読むたびに、それがどんなに幻想的だと言われても、その背景にあるリアルを感じてしまうのだ。
物語は事実に遭遇することからはじまり、その背景を探ることから深まると。
頭の中で想像を膨らませるだけでは物語は書けないのだ。
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揺れて歩く人々の問
いいニュースと悪いニュース、あなたはどちらを先に知りたいですか?

いい知らせがあれば、悪い知らせもある。毎日そんなことを繰り返しています。例えば、いい知らせがひとつ、悪い知らせがひとつ同時に届いたとしたら、あなたは先にどちらを知りたいですか?
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Masako Fujiiさん
エエ話先に聞いて、シアワセ気分で。
悪い話しは聞こえないふりするのも良いかも。
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高山富士子さん
届いた順でいいや。良いものも悪いものも、まっすぐに向き合って生きていくしかないもんね。
私はだいじょうぶ。
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能勢厚さん
難しいです。いい知らせです。
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松園功さん
順番だけなら、悪い方を先に済ませておきたいけど。程度にもよるかな?
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コメントいただいた皆さん。ありがとうございました。
次の問いは次回ライブ配信時にお知らせします。〈揺れて歩く人々の対話テーブル〉でお気軽にコメントくださいね!
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しみてつコラム
余白のない日常

16歳の時に歩いた琵琶湖一周を、55年経った71歳でもう一度歩いてみようと思い立ったのは去年、2025年の秋だった。
近江今津のあたりを歩いている時のことだ。
とある家の塀越しに少々背の高い木が淡いピンクの大きな花をたくさん咲かせていた。近づいてみると薄紫から淡いピンクへと移るグラデーションが逆光にさらされてとても綺麗だ。
55年前の旅には小さな植物図鑑を携えていた。気になる草花があると路上でそれを開きそれがどのような草木なのか調べたり、時には持ち合わせた紙にスケッチしたりした。植物に特別興味があったわけではない。途上で出会った草木の名前くらい知っておいてもいいのじゃないか、その程度のことだったのだろう。歩き終えた後にどれだけのものを記憶していたかとなると、ほとんど忘れてしまっていたはずだ。それでも、その時間は旅の余白だった。言ってみれば行間のようなものだ。
今時の旅には植物図鑑に限らず、本などというかさばり重いものなど持ち歩くというのは、きっと愚かなことなのだろう。
「写真を撮って検索すれば大概のことはわかりますよ」
出発前に息子よりも若い知人に言われた。時間潰しの読書だってスマホで事足りるのだと。ちなみに彼のスマホには100冊以上の本が入っているのだそうだ。小さな画面で小さな文字でページをくることもなく、それで本を読んだ気になるのだろうか。私には到底無理だ。
「でもね、100冊の本は持ち歩けないでしょ。デジタルブックにすればお気に入りの本をどこにでも持っていける。環境にやさしいしね。ペーパーレスですから」
彼はそう言ってデジタルブックのリストを見せてくれた。そこには雑誌やコミックがずらっと並んでいた。
「確かにペーパーレスで、環境にやさしいね」と私が言うと、
「そうでしょう」と彼は笑った。
私の言葉の意図は他にあった。彼のリストを見て、木を伐ってつくる紙を使うにふさわしいかどうか考えざるを得なかった。私もいつも自らに問いかけている。私の書いたものは、貴重な地球の資源である木を切ってつくった紙に印刷するにふさわしいかと。自嘲を込めてそんなことを思い出した。
淡いピンクの花をスマホの写真に収めた。この花の名前は……。聞こうにもまわりには人はいない。
彼に教えてもらった通りに、その写真を検索にかけた。数秒で答えは返ってきた。
〈皇帝ダリア。別名キダチダリア、ツリーダリア〉
なんの苦労もなく手に入れた答えだ。簡単に手に入れた知識は根付かない。すぐに忘れてしまうに違いない。
それよりも、人はそのうちページをめくるなどという作業を忘れてしまいそうだな。
待っているのは余白のない日常か……。
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頁数:192p
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2020年4月15日 初版発行
価格:2420円(本体2200円+税)
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