INDEX
- 横目流し目 京都人密なつぶやき
- Prof. Tagawa の揺れる音楽道 #102
- 清水哲男のサンクチュアリ 静@裏寺柳小路, 京都市中京区
- 揺れて歩く人々の問い
- しみてつコラム 白秋の木
- 清水哲男新刊書のご案内
- ご購入のご案内
===
横目流し目 京都人密なつぶやき

吉村はんらが「副首都は大阪に決まってるやん」と胸を張ってはるそうどすけど、京都の人はこう言わはります。
「うちから言わせてもろたら、そんなもん京都に決まってますがな」
「千年の都いうもんは、看板やのうて、積もり積もった時間そのものどす」
「天皇さんかて、いまは東京にお住まいやけど、京都を留守にしてはるだけや。ほんまに遷都しはった、いうわけやおへん」
これが京都人の理屈どす。
東京に預けたんは“機能”としての首都だけどすわ。政治や経済の中枢は持っていかれても、歴史も文化も、時間の重みまでは持っていかれまへん。京都は副首都になりたいとも、首都に返り咲きたいとも、実は思うておりません。ただ都であり続けるだけどす。
それに比べて大阪はんは威勢はよろしおすなあ。聞けばカジノもお建てになるとか。賑わうのは結構どすけど、品まで賑やかに落としてしもたら、都どころやおへん。華やかさと品格は、似てるようで別もんどす。
副首都を目指すいうなら、声の大きさやのうて、背筋の伸びる知性を見せておくれやす。任せて安心やと思わせてくれはったら、それでよろし。
まあ、都は京都と東京都のふたつで十分どすがな。知らんけど……。
===
Prof.Tagawaの揺れる音楽道 #102
野良の群像 俺の撮る猫は可愛くない
清水哲男写真展「野良の群像 俺の撮る猫は可愛くない」
Space Mu 2026.4.15~4.19
jarfo京・文博 2026.4.29~5.9
音楽:田川文彦
写真:清水哲男
制作・著作:清水哲男事務所
===
清水哲男のサンクチュアリ
死ぬまで通いたい店
静(しずか)@裏寺柳小路, 京都市中京区

京都に帰ると、必ず裏寺柳小路に足が向く。
「静」は、そんな店の一軒だ。
大学生のころ、もう五十年以上前になるが、僕はこの店で寝起きしていたと言ってもいい。夕方、暖簾がかかると「ただいま」と顔を出す。いや、開く前だったかもしれない。だらだらと飲み、辰巳や三木半、なかぼてやスタンドをふらついて、九時ごろまた静に戻る。そのまま小上がりや二階で眠り込み、朝になると「行ってきます」と学校へ向かった。

最初は「困るなあ」と渋い顔をしていた大将の加藤石根さんも、そのうち「行っといで」と苦笑いで送り出してくれるようになった。

卒業してからも、顔は出し続けた。泊まることはなくなったが、本を出すたびに一冊持っていった。
「あの落ちこぼれみたいな学生がなあ」
そう言って喜んでくれた。ほんの短い時間だったが、僕の人生はこの店なしには語れない。

鹿児島に移って30年。久しぶりに顔を出しても「おかえり」と迎えてくれた石根さんは、もういない。しばらく閉ざされていた店は、娘さんとお母さんの恵子さんが再び灯りをともした。入り浸っていたころは小学生だった娘さんが、いまは店を切り盛りしている。

「舌代(ぜつだい)」も値段以外は昔と変わらない。叩きっぱなしの土間も、落書きだらけの壁も、ほとんど変わらない。路地は洒落た顔になったのに、ここだけ時間が取り残されたようだ。厨房の奥では、いまでも石根さんが忙しく動いている気がする。

だし巻き、みりん干し、ポテサラ。余裕があればとり天かちくわ天。なければおからと白菜漬けで十分だった。瓶ビールだけは大瓶から中瓶になったけれど。
きっと僕は、死ぬまでここに通うのだろう。
そんな店が一軒でもある人生は、悪くない。



居酒屋 静
京都市中京区新京極通四条上ル中之町577-17(裏寺柳小路)
電話:075-221-5148
価格、定休日、営業時間等は直接問い合わせてください
===
揺れて歩く人々の問い
死ぬまでやり続けたいこと、押し通したいことありますか?

天文館に100歳を目前にして飲み歩いていた伝説のおじいさんがいました。毎週映画を観に行って、その帰りに天文館で飲む。とっても渋くて格好よかった。僕もあんなふうに生きられたらいいなあとずっと思っています。自分のライフスタイルをギリギリまで押し通す。素敵だと思いませんか。そこであなたにおたずねです。死ぬまでやり続けたいこと、押し通したいことありますか?
https://www.facebook.com/groups/1651099238372682/permalink/3527329924082928/
写真は清水が死ぬまで通いたいたこ入道と、死ぬまで一緒に飲みたいドラちゃんです。
===
しみてつコラム
白秋の木

庭の隅に立つ名も無い木を、眺める。妙に心惹かれるのだ。
名も無い木は強い。決して美しくはないが、風雨に向かい、暑さに耐え、寒さに凍えながら、それでも立ち続け、生きてきた時間を静かに物語る。若さという勢いの果てに、耐え抜いた者だけに許される沈黙の強さを感じる。
たくましく、強かで、ときに卑怯でさえある。陽の当たる方へと枝を伸ばし、隣の木と競り合い、影をつくる。生きるということは、清廉潔白ではいられない。むしろ円熟とは、自分の濁りを引き受けることなのかもしれない。
だが同時に、枝先にはどこか儚さが宿る。
葉は色づき、やがて落ちる。ふたたび芽吹くと知りながら、散る瞬間にはやはり一抹の寂しさがある。
実りを知りながら、終わりの気配をも知っているのだ。
名も無い木は悲しく、美しい。
やがて土に還ることを知っている。抗わず、誇らず、ただ在る。
私も名も無い木のように生きられるだろうか。
若さを誇らず、老いを嘆かず、無心に根を張る。華やかな花を咲かせなくても、世界の一部としてそこにある。
名も無い木のように、ただ季節を重ねたい。
終わりに向かうのではない。熟しながら、なお生きる。
● ● ●
★Prof.Tagawaの揺れる音楽道#101
『Le pouls invisible sous l’éclat』
前号で掲載できなかった101曲目です。
好評販売中!
『時間の隨』ご購入はこちらから
著者が本著の中で目指したのは流れ行く時間の可視化です。身の回りの何気ない風景、漂う空気、そして人々との出会いを縁に時間を紡いでいきます。
今回は完全私家版としての上梓です。大手書店、Amazonなどでの取り扱いはありません。購入ご希望の方は下記URLからどうぞ。
https://shop.office432.jp/items/103499501
★清水哲男PORTFOLIO
今までの作品、これから目指すところをportfolioにまとめて公開しました。
https://office432.com/
こちらからどうぞ。
★清水哲男YouTubeチャンネルの登録はこちらから!
https://www.youtube.com/@office432
★揺れて歩くニュースバックナンバーはこちらからどうぞ。
https://interearth.jp/archives/category/mail-magazine
★「揺れて歩く」ご購入のご案内
「揺れて歩く ある夫婦の一六六日」は下記のネット通販をご利用ください。
清水哲男事務所のBookShopでは銀行振込、クレジットカード決済となります。
清水哲男事務所のBook Shop
https://shop.office432.jp/
【「揺れて歩く ある夫婦の一六六日」概要】
頁数:192p
体裁:B5変形横型(182mm×210mm)
ISBN:978-4909819086
2020年4月15日 初版発行
価格:2420円(本体2200円+税)
======
最後までおつきあいありがとうございました。
本メールマガジンは原則毎月2回隔週にお届けいたします。
次号は2026年3月13日(金曜日)配信予定です。
発行:揺れて歩くニュース編集室
発行者:清水哲男
Mail:info@office432.jp
揺れて歩く人々の対話テーブル
https://www.facebook.com/groups/1651099238372682/
【揺れて歩く&妄想ラジオ】第2、第4金曜日 20:00〜21:00
https://www.youtube.com/@office432