INDEX
===
横目流し目 奥能登の路上から

長い京都出張から戻ってきました。
7月26日~28日は金沢にいて、奥能登の被災地にも行ってきました。1年ぶりに奥能登を訪ねたのです。奥能登地震発災以来3度目になります。発災から2年半たってどうなったか……。そんなことを自分の目で確かめたかったのです。
金沢から羽咋までは道路もほぼ復旧し、屋根にブルーシートをかけた家屋もほとんど見当たりませんでした。ところが国道249号を輪島市北上して、輪島市旧門前町劔地(もんぜんまちつるぎぢ)に入ったとたん、あ、時間が止まってるなと感じました。
「解体はいちばん最後」
そう大書した看板が目に飛び込んできました。道路の復旧や建物の修理が先で、普及の見込みのない家屋の解体はいちばん最後だということです。仮設住宅も、まだたくさんありました。生活再建もなかなか進んでいないなという印象でした。
輪島市街地の国道249号と錦川通りの交差点で横倒しになっていた青いビルは、そのビルに押し潰された居酒屋ともども完全に撤去され、更地になっていました。だけど周辺にはまだまだ手付かずで放置されたかのような倒壊家屋も残っていました。
輪島の市街地を抜けた途端、道路の状況は悪くさらに悪くなります。電柱は傾き山肌は崩落して道路を覆い、至る所で交互通行の迂回路が敷かれ、復旧工事工事が進められています。山肌の崩壊が地震によるものなのか、昨年の奥能登豪雨によるものなのかは僕にはわかりませんでしたが……。
昨年の奥能登豪雨で泥流が流れ込んだ曽々木の千枚田。まだまだ泥に埋もれている部分は目につきましたが、観光客もそろそろ戻ってきているようで、にぎやかな団体さんと一緒になりました。
ポケモンも復旧・復興の手助けをしています。石川県と一般財団法人ポケモン・ウィズ・ユー財団が、令和6年能登半島地震で被災された子どもたちを中心に笑顔を届ける活動へ取り組むことを目的とした連携協定を結びました。被災した子どもたちを元気づける取り組みや、地域に活気を取り戻す観光支援の取り組みの一環として、能登空港を「のと里山ポケモン・ウィズ・ユー空港」として2029年9月末までの期間限定でリニューアルオープンし、奥能登の観光スポットとにポケモンキャラクターのオブジェを設置しています。
禄剛埼灯台を目指してさらに進むと道路の状況はさらに悪くなりました。
「地震、大雨等の状況で通行止めになることがあります」という看板が至る所に立てられています。迂回路のすぐ近くまで崩落している崖が、さらに崩れるということを繰り返しているのかもしれません。緊張しながらの運転です。炎天下では多くの工事関係者が働いています。ありがとうを呟きながら走りました。
国道沿いに瓦礫の山がいくつもできていました。地震で倒壊した家屋を解体したもの、奥能登豪雨で流された家屋と山からの流木……。見分けはつきませんでした。
その中に黒く汚れた、もとは白かったのだろうウサギのぬいぐるみがありっました。目や鼻は取れています。元の姿を想像しました。可愛い女の子の腕に抱かれていたかもしれないな……。その子は、その家族はどうしているだろう。元気にしているだろうか。そんなことを思うと胸が痛くなりました。
そんな状況の中でも自然の営みは続いていています。道の駅すず塩田村の軒にツバメが巣を掛け雛が孵っていました。様々な困難があってもツバメにはここが生きる場所なのです。希望だな、と思いました。
さっきのウサギのぬいぐるみを思い出しました。持ち主の家族、いや地震、豪雨の被害に遭った人たちすべてに、頑張って生きてほしいと思いました。
まだまだ困難な日々が続いているのを目の当たりにして、僕にはいったい何ができるだろうと思いながら京都に戻りました。
で、28日に熊本で大地震が起こったわけです。
ニュースで見る映像は、2年8カ月前の能登、10年前の熊本、中越、東日本、阪神淡路の姿をフラッシュバックしてみているようで……。熊本の皆さんは頑張った10年が振り出しに戻ったんだ……。
心が痛みました。
写真は以下のURLからどうぞ。
https://office432.com/flashback
===
Prof.TAGAWAの揺れる音楽道
Flashback
Flashback
Earthquakes, typhoons, torrential rains—Japan lives under the constant threat of disaster.
Time and again, landscapes of heartbreak spread before us. These are not distant images or memories from elsewhere. They are realities unfolding in our own communities.
And yet, people rise. They reach out to one another, support one another, and give each other strength. No matter how many times disaster strikes, they rise again.
フラッシュバック
地震、台風、大雨、日本列島は常に災害に見舞われていると言っていい。その度に心が折れるような光景がひろがる。
どこかで見たような、ではなくそれは常に私たちの身の回りで起こっていることなのだ。
しかし、人々は何度でも立ち上がる。支え合い、助け合い、励まし合い、何度でも立ち上がる。
音楽:田川文彦
写真:清水哲男
制作/著作:清水哲男事務所
===
清水哲男のサンクチュアリ
これぞ「おでん屋」! 季節を問わず1年中食べられる金沢のソウルフード

今回もおでんだ。
訪ねたのは金沢の真ん中、片町の赤玉本店だ。前に金劇店を紹介したことを覚えている読者も少なくないだろう。金沢にきたら金沢おでんなのだ。金沢おでんを看板に掲げる店は多い。
金沢おでんは、昆布や鰹節をベースにした薄口で優しい味わいの出汁と、車麩やバイ貝、赤巻き(かまぼこ)、ふかし(はんぺんと真蒸の間くらい)といったご当地ならではの豊富な具材が特徴だ。季節を問わず1年中食べられていて金沢のソウルフードだと地元の人は言う。
出汁は昆布や鰹節、煮干しなどを使った、あっさりしながらもコクがある黄金色。大野醤油などの地元の醤油を使い、店ごとに独自の味が受け継がれている。どこで食ってもまあまあ美味いということだ。
とりわけ今回同行者が僕に食べさせたがったのは赤玉本店の夏おでんだ。夏もやってるおでんではない。夏仕様のおでんなのだ。

開店と同時に入店した。時間帯によって変わるが1時間の時間制限があった。さっと食べてさっさと席を空ける。長っ尻は厳禁ということだな。本店はこれぞ居酒屋という金劇店とは違い静かで落ち着いた雰囲気だが、余計な飾り気や気取った感じはない。1階は厨房を「コ」の字に囲むカウンターとテーブル席が少々。2階は半個室になっているそうだ(残念ならが2階には上がらなかった)。

カウンターのおでん鍋の前に陣取った。おでんは、おでん鍋の中を指さしながら「それとこれ」などと注文するのがいい。鍋の中はよく見えるし、中のスタッフも気軽に喋ってくれる。撮影もOKだった。しかし、注文はタブレットで……。ちょっとさみしいな。
夏おでんの具は加賀野菜の加賀太胡瓜、金時草湯葉まき、オクラ、トマト、カボチャの白玉の5種盛り(1500円)。それにジュレになった出汁を絡める冷製おでんだ。ねり辛子ではなく柚子胡椒を添えられている。見た目も味も涼しい。これを「おでん」と言っていいのかどうか……。しかし間違いなくうまい。

うまいのはそれだけではない。もちろんおでんは130円から420円まで35種が味わえる。ただしこの時期バイ貝は時価となっていた。我々は大根(290円)車麩(280円)厚揚げ(230円)ふくろもち(もちきんちゃく320円)牛すじ(串ではなく煮込み風740円)を注文。刺身はなんといっても海の側だからな。この日は5種盛り(1850円)を頼んだ。制限時間内ではこれがいっぱいいっぱいだ。

入れ替わり立ち替わり客がやってくる。飲むというよりは食事をするという感覚で、皆制限時間内に席を立つ。なんだか店と客が長い時間をかけてつくり上げてきた在り方というか、当たり前のルールというか、さすがに人気店だと言われるだけのことはあると思った。
ところで、京都、大阪、名古屋などには、おでんやなのにまるで割烹や料亭かと思わせるような構えや値段の店もある。しかし、おでんは気軽で、手軽で、安くて、上手くなければならない。もちろん供する側の手間が大変なことはわかっているが、だ。そういう意味ではこの赤玉本店、前に紹介した赤玉金劇店、それに高田屋京店(神戸新開地)はいい意味で、これぞ「おでん屋」と言っていい店だ。

赤玉本店
金沢市片町2丁目21番地2号
TEL:076-223-3330
定休日 月曜日
営業時間・予約・価格については直接問い合わせてください
===
揺れて歩く人々の問
あなたはAIを使っていますか? 使っているとしたらどんな使い方をしていますか?

最近何かと話題のAIですが、なんだか自立型ロボットと合体させるとちょっと怖い存在になるなと、僕などは思ってしまいます。そんなのが、いやすでにAI自体は軍事、戦争で大きな力を発揮しているそうです。なんだかややこしいなと思うのですが、AIは私たちの暮らしのいろんな場面に入り込んでいるとも。そこであなたにおたずねです。
あなたはAIをどのように受け止めていますか? あなたはAIを使っていますか? 使っているとしたらどんな使い方をしていますか?
--
松園 功さん
旅程を問い合わせします。
例えば何処から何処まて、一番安価な方法は何?などときけば、代表的なコースが提示されますから、更に詳しく調べる質問を入力して行きます。
--
高山 富士子さん
データセンターがとんでもない電力と水を使うらしいので、できる限り使いません。検索とかすると、トップに「AIによる〜」というのが出てきてしまいますが。AIは専門研究のみに限定してほしいです。データセンター増やしたくないし。
--
古藤只充さん
1日に1度は使います。かなり以前から使っているので、我々庶民が使うAIの全体像はかなり理解しました。恐ろしく詳しい分野と小学生レベルの分野が混在していて全面的には信頼できないけど、いくつかのAIに同じ質問をするとか、誤りを正すとかAIに気を使わず少々傲慢に付き合うのがいいと思います。厄介なのは大方のAIはわからないことをわからないと言わないところで、無理やり回答を出そうとするので、見方によってはAIは嘘をつくと言えないこともないです。AIに反感持ってる人はだいたいが使ったこともなくただ怯えているだけのように私は感じます。昔カメラを見た未開の原住民が魂が抜かれると怯えた話のようにも見えます。どんなに危険なものでもこの流れを人類に止める力はないと思うので、死ぬまでは上手く付き合っていくつもりです。
--
Masako Fujiiさん
ほぼ使ったことありません。どんなもんかな〜とお試しでちょこちょこ尋ねてみたりしましたが、そのあとは困り事がおこった時に聞いてみるくらいです。
多分スマホの機能30%くらいしか使えていません。
ーー
コメントいただいた皆さん。ありがとうございました。
次の問いは次回ライブ配信時にお知らせします。〈揺れて歩く人々の対話テーブル〉でお気軽にコメントくださいね!
===
しみてつコラム
懐かしさの正体

熊本の地震で交通網が破壊され、出張先の京都から鹿児島に戻れなくなった。
持ってきていた常用薬が底をついた。ならば、京都にもかかりつけ医をということで、実家近くのK病院に行った。何かの事情で足止めを喰らい薬の手持ちがなくなることは今までにもあったし、体調が悪くなることだって考えられる。それに歳だからな。用心にこしたことはない。
それにしても京都を出てから30年が経つ。他に心当たりの病院などなく、子どもの頃にかかっていた実家近くのK病院を思いついたのだ。しかし、予約がなければかなり待つという。しかも当日の予約は取れないと。長時間待つのは苦手だ。そういえば近くにO病院があったことを思い出した。
調べると、昔は入院も手術もできる総合病院だったが、今は診療科目も内科と耳鼻咽喉科だけのOクリニックとなって同じ場所にあった。だが、病院であろうがクリニックであろうが、そんなことは問題ではない。今回は薬の処方箋を手に入れればそれでいいのだ。電話を入れて事情を話すと「お薬手帳か、薬の飲み殻か、服用されている薬がわかるものを持参いただければ、簡単な診察だけでいいですよ」と。予約もいらないし、待ち時間もそんなに長くないという。電話を切ってすぐにそのクリニックに向かった。
窓口では「一応手続きですから」と問診票を記入して診察券をつくってもらい、待合に腰を下ろした。待っているのは僕を含めて3人だった。
このクリニック、昔は堂々とした病院だったが、今はずいぶんこぢんまりしたクリニックになったな……。
そんなことをぼんやり思っていたときだった。
「ああ、ここは……」
不意に遠い記憶の中の母の言葉がよみがえった。
「あんたの生まれたんはO病院や。いつものK病院には産科がなかったしな。お父ちゃんは待合でオロオロしながら待ったはった。明け方に生まれたんやで」
そうか、ここは僕が生まれた病院だったのだ。それ以来ここを訪れたことなど記憶の中にはない。当たり前だが懐かしさも湧かない。でも、なんだか説明のつかない妙な気分になった。
生まれて72年、ようやくここへ戻ってきた。建物は変わっていても、場所はあのころと同じだ。ここで若い父と母は、生まれてくる僕を待っていた。ふたりは生まれてくる僕をどんな思いで待っていたのだろう。そして、この場所で僕は産声を上げた。そのことを思うと、しばらく両親との思い出に耽ってしまった。
診察までそんなに時間はかからなかった。
年配の医師は「帰れなくなっちゃって大変でしたねえ。一応診ときましょうね」と聴診器をあてて「はい、異常なしです」とポンと肩を叩いた。看護師は「何もしないのはなんですから」とパルスオキシメータを指につけた。こちらも「はい、異常なしです」と笑って続けた。窓口で会計を済ませ処方箋を受け取ると、窓口の女性は「何もないと思うけど、もし何かあったらいつでもどうぞ。予約はいりませんから」と見送ってくれた。
この病院を選んでよかったと思った。
なんだか来るべきところに来たというか。
「そうか……」
記憶はない。それでも、自分はたしかにここから始まった。その時間への親しみが、懐かしさなのかもしれない。
そう思った。
● ● ●
★清水哲男YouTubeチャンネルの登録はこちらから!
https://www.youtube.com/@office432
★『時間の隨』ご購入はこちらから
著者が本著の中で目指したのは流れ行く時間の可視化です。身の回りの何気ない風景、漂う空気、そして人々との出会いを縁に時間を紡いでいきます。
今回は完全私家版としての上梓です。大手書店、Amazonなどでの取り扱いはありません。購入ご希望の方は下記URLからどうぞ。
https://shop.office432.jp/items/103499501
★揺れて歩くニュースバックナンバーはこちらからどうぞ。
https://interearth.jp/archives/category/mail-magazine
★「揺れて歩く」ご購入のご案内
「揺れて歩く ある夫婦の一六六日」は下記のネット通販をご利用ください。
清水哲男事務所のBookShopでは銀行振込、クレジットカード決済となります。
清水哲男事務所のBook Shop
https://shop.office432.jp/
【「揺れて歩く ある夫婦の一六六日」概要】
頁数:192p
体裁:B5変形横型(182mm×210mm)
ISBN:978-4909819086
2020年4月15日 初版発行
価格:2420円(本体2200円+税)
======
最後までおつきあいありがとうございました。
本メールマガジンは原則毎月2回隔週にお届けいたします。
次号は2026年9月11日(金曜日)配信予定です。
発行:揺れて歩くニュース編集室
発行者:清水哲男
Mail:info@office432.jp
揺れて歩く人々の対話テーブル
https://www.facebook.com/groups/1651099238372682/
【揺れて歩く&妄想ラジオ】第2、第4金曜日 20:00〜21:00
https://www.youtube.com/@office432