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どうでしょう、文屋の性(さが)

7年間なんとか頑張ってきたのですが、なんだかなという気分になっています。
そいつとはじめて出会ったのは2019年。白いベールに身を包んで現れた得体の知れない影でした。詳しく調べてみるとタチの悪い『ガン』というやつでした。前立腺に巣くっていました。
その2年前、2017年に大腸にステージ4と1の2カ所のガン病巣が見つかり、大きな手術を受け、しんどい抗がん剤治療を経てなんとか復活しようとしていた頃でした。術後2年目の検査で大腸は異常なかったのですが、前立腺に白い影があると。専門医を受診すると間違いなくガンだと言われました。すぐに手術して取っちゃおうと思ったのですが、大腸手術の縫合部と前立腺が癒着していて手術は困難だということで、37回の放射線治療を受けたのです。それから7年です。ほぼ異常なく過ごしてきました。そろそろ無罪放免かなと思い今回の検査に出かけたのです。ところがです。
「はい、再発ということですね」(主治医)って。
PSAが上がる原因は他にもあるでしょ。自転車に乗ったとか、長時間車を運転したとか、風邪をひいたとか、射精した(これはない)とか……。
「今日からでも治療始めたいとこですね」(主治医)
「4以下が正常範囲なんですよね」(私)
「あなたの場合、前回放射線治療を受けて、一旦0.6代に落ちて、そこから2以上上昇してますからねえ。再発を疑うというのが一般的ですねえ」
PSA(前立腺がんのガンマーカー)の数値が跳ね上がっていたのです。0〜4が正常な範囲なのですが、それが2.844だと。正常値内には収まっているのですが、治療後の最低値0.6から2以上上昇すると再発の可能性があるということでした。
「可能性でしょ……」
「ええ、まあ。じゃあ、せっかくなので(?)様子を見ましょう」と3カ月後に再検査することになりました。「でも、ホルモン注射だけは打っときましょうね」と。
その診たては正しいのかAIにたずねたところ、それは主治医の言うとおりだとの返答が。ああ、「がんサバイバー」から「がん患者」へ逆戻りだなと、ちょっと気落ちしてしまいました。
でもね、いろんな困難を抱えるからこそ人生は面白いと誰かが言ってました。なんなら困難を楽しめばいいとも。そうだよね、人にはない経験なんだからすべて「新しいネタ」にしてやればいい。そんなことを思いながら、また一歩、前へ進もうと思いました。
まったく、困難も自虐ネタにしてしまうのだから、文屋の性とは恐ろしい。
いや、悲しいのか……。
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Prof.TAGAWAの揺れる音楽道
Babel Ⅱ
That tower, once so high we had to look up to it, was the very mass of our foolishness.
Amidst the collapsing rubble, we come to know for the first time
the sheer fragility of humans—having lost the words meant to reach the heavens, now capable of nothing but staring into each other’s faces.
All that remained was a voiceless ruin, brushed by the dry sand-laden wind.
バベル Ⅱ
見上げるほどに高かったあの塔は、私たちの愚かさの質量そのものだった。
崩落する瓦礫のなかで、私たちは初めて知る。
天に届くはず清水哲男のサンクチュアリだった言葉を失い、ただ互いの顔を見合わせることしかできない、このあまりにも頼りない人間の姿を。残されたのは、乾いた砂風に吹かれる、声なき廃墟だけだった。
音楽:田川文彦
写真:清水哲男
制作:OFFICE432
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清水哲男のサンクチュアリ
900kmを旅をしたおでん 老舗は偉い! 創業95年の納得の味!

高田屋京店@神戸新開地
星なんて関係ない。ほんとうにうまいと思えるものだけを求めて今日も彷徨う。
神戸新開地で馴染みの店を目指したが、女将の体調不良だろう長期の休業中だった。仕方がない。早く元気になって店が再開できますようにと、入り口の向こうにかけられた暖簾に語りかけその場を離れた。いくあてのない居酒屋難民になった。と、同行者が「創業100年近いおでんやが近くにある」と言い出した。それを知っちゃあのぞかないわけにはいかないだろう。Googleマップに導かれてたどり着いたのが高田屋京店だ。

午後3時前、広い店内に先客は2人だけだった。大きなおでん鍋の前に陣取っている。我々はそのそばに腰を下ろした。長いカウンターが続く広い店内だからそんなに詰めて座らなくてもと思ったが、おでん屋に行って鍋の前に座らない手はないだろう。メニューなどに頼らずネタを指さして注文するのがいい。だいこんだって、「その」だいこんをくれと。

創業は昭和6年。1931年だから今年で95年ということになる。入店した午後3時前、カウンター内は金髪のお兄さんとハスキーボイスのおねえさんだけだった。それが4時を回る頃には、3代目になるというファンキーなお兄さんを中心に、気づけば5人のスタッフが忙しそうに動いている。その中で一人だけ口数の多い女性がいた。聞けば3代目のお母さんだった。あれやこれやと客の世話を焼いている。家庭的な雰囲気はこういうところから醸し出されるのだろうな。
、甘エビ麹漬け(400円)、ちくわの磯辺揚げ(350円)、手羽の塩焼き(350円)を注文。どれも酒が進むいい味だ。ds/2026/07/mm260710_sanc4.jpg)
おでんは特にだいこんは「げんこつサイズのおでん」と親しまれているそうだ。確かにでかい。すじ(380円)、だいこん(140円)、ロールキャベツ(350円)が人気ベスト3だとか。おでんは全20種。一見醤油味を思わせる出汁は、かつおと砂糖、塩等で味を整えているとか。醤油は使っていないと。焼き豆腐、すじ、大根などは白みそダレをのせて甘味とコクを深め、ロールキャベツは特製ケチャップソースで少々ハイカラにと、95年の間に培われてきたオリジナルな食べ方もいい。だいこんがうまくて、2回おかわりをしてしまった。他にあげ(240円)、すじ、たけのこ(200円)、もちあげ(220円)、しゅうまい(300円)、たまご(160円)、ロールキャベツと、もう1軒行こうと思っていたのだがそのうまさに負けてお腹いっぱいにしてしまった。歴史を感じさせる納得の看板メニューの味だ。


おでん以外のアテもいい。我々はごぼうの唐揚げ(450円)、甘エビ麹漬け(400円)、ちくわの磯辺揚げ(350円)、手羽の塩焼き(350円)を注文。どれも酒が進むいい味だ。

私の暮らす鹿児島ではみそおでんが中心で、少々味が濃い。こういうあっさりした、でもしっかりした出汁のおでんにはなかなか巡り会えないとぼやいたら、お母さんがテイクアウトもできますよと。そしてタッパーいっぱいのおでんは私と一緒に900kmの新幹線の旅をすることになった。白みそダレも容器入りで添えられて。

鹿児島に戻って深夜に温め直した。添えられた白みそダレをかけて創業95年の味を再現する。900kmの旅を経てなお、味はもちろんだが3代目やお母さんの姿、神戸新開地の風景がよみがえった。
老舗は偉い! 人を惹きつけてやまない味の深さに脱帽した。
神戸に行くと必ず寄りたい店が1軒増えた。

高田屋京店
兵庫県神戸市兵庫区湊町4-2-13
TEL:078-575-6654
営業時間:11:00~21:30 (LO 21:00)
定休日:日曜日・祝日
価格・予約等については直接お問い合わせください
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揺れて歩く人々の問
あなたにとって『カッコいい』とは?

先だってとある居酒屋で一緒になったお兄さん二人組。別れ際に写真を撮らせてと頼むと、「ではカッコよくポーズを決めて」と。それがこの写真です。彼らは精一杯カッコよく決めてくれたんでしょうねえ、きっと。そこであなたにおたずねです。あなたにとって『カッコいい』とはどんなことでしょう。あなたが『カッコいい』と思うことを教えてください。
今回の問いかけは鹿児島市の能勢厚さんからのおたずねです。
あなたも皆さんにお聞きになりたいことがあればお気軽に!
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Chi-b Hasegawaさん
私が思うかっこいい人の最低条件は、「絶対に人を裏切らない」「自分と他人を比べない」「嘘をつかない」「妬まない」です。
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Fumihiko Tagawaさん
「カッコいい」とはどんなことかについて語りだすと、話が長くなってカッコよくないのでやめておきます。「カッコいい」と思うことは「武士は食わねど高楊枝」です。
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能勢 厚さん
かっこいいって難しいですね。「カッコいい」を考えることは、いかに生きるべきかを考えることだそうです。地域の盆祭りで「3年目の浮気」を一緒に歌った、いとこの、玲奈さん。かっこいい。
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Masako Fujiiさん
カッコいいにもクールとスマートみたいなのがある気がしますが、お食事した時の注文の仕方や支払いのタイミングがスマートだとか、無駄な急加速や急ブレーキのない運転だとか、そう言うカッコいいが良いなぁ。
男前は3日で飽きると言うし、目鼻口ほぼ同じ位置にあるはずやのに、ちょっとズレ加減な顔が好きです。
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コメントいただいた皆さん。ありがとうございました。
次の問いは次回ライブ配信時にお知らせします。〈揺れて歩く人々の対話テーブル〉でお気軽にコメントくださいね!
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しみてつコラム
笑顔のために

京都から鹿児島に戻る新幹線の中で、JR九州とスーパーマリオがタイアップしたキャンペーンのポスターが目についた。JR管内の路線をマリオたちキャラクターを彩ったラッピング列車が走ったり、駅前でいろんなイベントが開催されたり、駅が飾られたり、けっこう長期間盛りだくさんにやられているようだ。
そういえば、鹿児島中央駅の新幹線コンコースにもドンキーコングの大きなフォトパネルが設置されていた。子ども達だけじゃなく、けっこう年配の大人たちも楽しそうに写真を撮っている風景を目にしたことがある。
なんでこの時期にと思ったら、スーパーマリオブラザースは1985年の発売から40年が経つ周年事業としていろんなことが各地で行われているようだ。40年か……。長い歴史の最初の方、僕も熱中したことがあった。いや、息子が熱中していたのでどんなものかと試しにやってみたらはまってしまったのだ。長女が1984年生まれ、次女が85年、長男が87年。僕の子どもたちはマリオと一緒に育ってきたようなものだ。中でも長男は物心ついた頃からゲームに熱中し、「大人になったらゲームをつくる人になる」と言っていた。今、その言葉通りゲームの業界に身を置き忙しい日々を過ごしている。
「夢が叶って良かったじゃないか」
先日一緒に酒を飲んだ時そんな話になった。
「けっこう大変なんだよ。ゲームやってるのとはえらい違いだ。ブラックな業界だしな」
少々翳りのある笑いを浮かべながら言った。
「やりたかった仕事で苦労してるんだからマシかもな」とも。
その言葉を聞いた時、ああ、彼はしんどいことも含めてけっこう楽しんでいるんだなと思った。いつの間にか大人になったのだなとも。
仕事の内容は一切口にしない。守秘義務というやつだ。競争の激しい世界だから当たり前のことだ。そんなことも含めて楽しいのだろうな。自分が手がけたゲームの向こうにそれを楽しむ人たちの笑顔がある。ああ、いい仕事だなと思った。
久しぶりにスーパーマリオやってみようかな。そんなことを思いながら列車に揺られていた。
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