INDEX

「しみてつコラム」はお休みします
===

横目流し目 それはスポットライトではない


今年も無事誕生日を迎えることができました。
10年前に大きな病を得てから、1年また1年と自分の歳を数えるように生きてきました。そしてようやく10年です。それはまた、自分の人生を振り返る10年でもありました。それまでの人生を振り返り、同時にこれからの人生を考える。そうしながら仕事をする。そんな日々でした。
そんな中で、仕事に対する見方考え方が少し変化したように感じます。これまで僕は「特別」な人や出来事を取材し続けてきました。難病や障害と向き合う人たち。災害や事件・事故で苦境にある人たち。謂れのない差別や権力と闘う人たち……。そういう人たちの人生を語り伝えることで、人が生きる意味を普遍化できるのではないかと思っていたのです。
それはひとつのあり方ですが、「それだけでいいのだろうか」という思いはずいぶん前から胸の中に燻っていました。それが具体的な形をとって現れはじめたのは10年前の父の死を見届けた時でした。
全く無名の職人として人生を歩んだ父。それに続いて無名の歌人として人生を全うした母。ふたりの生き様、死に様、もっと言えば、ふたりのような無名の人たちの人生にこそ、生きるという意味や真実が隠されているのではないかと思いました。
その思いをさらに強くしたのは、数年前に高校卒業以来50年ぶりに級友と再会したことでした。彼らの50年の来し方、そして現在を聴くにつれ胸が熱くなる思いがしたのです。一見なんの変哲もない平凡な人生のように見えても、彼らには彼らなりの努力と苦労を重ねて今日の暮らしを築いてきたのだと。
「悲しみも苦しみも経験した、あるいは今もその中にあるからこそ、明日は笑えると思うんだ」
その中のひとりの言葉です。彼の人生の話をじっくり聞きたいと思いました。
「俺の人生なんて平凡でなんの面白みもないよ」と彼は笑いました。
でも僕はその時確信しました。
平凡で普通の人生にこそ、人が生きるという意味、真実が隠されているのだと。
僕はこれからそういう人たちの人生に光を当てるような仕事をしようと。
スポットライトではなく、人々の心をあたたかく照らす光として。
===

Station-Homeward Bound

Station–Homeward Bound
For someone far away from home, the station is the gateway that leads back to my roots. The station itself says nothing, yet it stirs a deep sense of nostalgia. It makes me feel one thing: I want to go home right now.
駅 早く家に帰りたい
故郷を遠く離れた身にとっては、駅は故郷に続く入り口なのだ。駅は何も語らないが郷愁を掻き立てる。早く家に帰りたい。そう思わせるのだ。
Music by Fumihiko Tagawa
Photos by Tetsuo Shimizu
©️Fumihiko Tagawa, Tetsuo Shimizu & OFFICE432
===

神戸新開地で見つけた風変わりな立ち飲み
味は本格の日本料理。酒も絶品。しかもカジュアル

かるむしんかいち

誘われて少々風変わりな店を訪れた。
立ち飲みというスタイルは最近多いが、日本酒に特化したというのは珍しい。品揃えは日本全国に及ぶ。
さらに店主が日替わりで、その日の料理や営業時間までもが変わるというのだ。ジャンルも日本料理、創作料理、スパイス料理、イタリアン、鉄板焼き、ごはん屋さんと様々だ。こういうスタイルの酒場は他に知らない。

冷蔵庫にはたくさんの日本酒が。その日の酒は最上段の10本だ

神戸新開地、湊川公園駅近くのかるむしんかいちがその店だ。
その日店主を務めるのは、神戸中央区の有名店玄斎の上野直哉さんだ。玄斎はコース料理(1万3千円)のみという少々お高い店だ。上野さんは3度目のかるむの厨房だそうだ。玄斎の料理がカジュアルに楽しめるというので毎回人気だという。
題して「スタンディング玄斎」。秋の食材ふんだんに使って立飲みに合うように仕立てられている。その話を聞いただけで喉がなって仕方ない。
かるむについたのは午後3時過ぎ。3時開店と聞いていたが、立ち飲みで最大10人は入れるかという店内はすでに満員だった。連れが先に入っていたので、なんとか入ることができた。

その日の「酒の友」

酒は、その日の10本から選ぶ。専用の8勺ぐい呑みで1杯600円だ。注文して1杯に満たない酒は、その客が次に開ける新しいボトルを選び8勺に満たない分を注いでもらえるのだ。僕は2回その幸運に恵まれた。4種類の酒を味わえたのだ。それを加えて8種類4合8勺を飲んだ勘定だ。
「2回もって珍しいですよ」
と隣に立つ常連客に羨まれた。酔客同士の距離が近いので、店内は和気藹々の空気が充満している。酒の下の平等を絵に描いたようなコミュニティと言ってもいいだろう。

干しズイキと割干し大根黒胡麻あん
柿としめじの天ぷら

その日の料理は写真を見ていただきたい。およそ立ち飲みで出てくるような料理ではない。我々はこの中から干しズイキと割干し大根黒胡麻あん、豚足の煮こごり、柿としめじの天ぷら、ウオゼ、カマスのきずしと胡瓜おから和へ、松茸と鱧の小吸物の5品を頼んだ。どれもさすがの味だ。

豚足の煮こごり
ウオゼ、カマスのきずしと胡瓜おから和へ

かるむしんかいちにまた来たいなと思わせてくれるとともに、有名店だという玄斎を訪ねてみたいと強く思った。

松茸と鱧の小吸物

かるむしんかいち
兵庫県神戸市兵庫区新開地1-1-14 1F
月水 14:00〜20:00
火木金 15:00〜21:00
土日 13:00〜21:00
不定休
*店主ごとに営業時間が変わるため、インスタの告知を参考に
*支払方法は現金のみ

===

揺れて歩く人々の問
あなたは芸術の秋と聞いて、いちばんに何を思い浮かべますか?


秋です。芸術の秋です。しかし、ザ・庶民にとっては芸術といえば美術館やギャラリーを訪ね歩いたり、映画を観に行ったりがせいぜいですね。特に鹿児島は美術館の数も少ないし、フリーで入れるギャラリーもそんなに多くないのです。そこで皆さんにおたずねです。
「あなたは芸術の秋と聞いて、いちばんに何を思い浮かべますか?」
僕の友人である映画評論家は「映画における芸術と猥褻の際を考察することだ!」と即答してくれました。
写真は鹿児島で最後までピンク映画専門館として頑張っていた中央駅前の映画館入り口です。
ーー
宮園 寛さん
中学3年の時に悪友4人で天文館の日活に深夜行き「学割で」と言ったら学生証見せろと言われ渋々大人料金で入場しました。多岐川裕美デビュー作品のリバイバル上映だったのです、あれは芸術だったのかなぁ?
ーー
花田睦子さん
芸術の秋…と聞くと、昔から名画を描く巨匠になった姿が思い浮かびます(笑)
なれるような気になる、言葉です。
因みに、この機会にチャピーにイメージ絵を作ってもらってみました。
自分が思っているイメージとはちょっと違うけど、まあこれはこれで良しとしよう(笑)

ーー
後野典子さん
芸術の秋と聞けば、呼応する食欲の秋。
ーー
高山富士子さん
なんで秋なんだろうね。春も夏も冬も、なのにね。ゲージツの朝昼晩。ご飯と一緒になっちゃうかあ。
ーー
山田正博さん
旭シネマ!懐かしいです。季節を問わない色んな芸術的な思い出が沢山あります(w
あの頃は様々な芸術と猥褻の際が若者の妄想力を刺激してくれました。今の若者達はドキドキする暇も妄想する暇も無くクリックするのでしょうね・・・残念。
ーー
奥本 博典さん
何故「芸術の秋」なのか?と言う事です。
秋にこだわる意味が理解しかねるというのが頭に浮かびます。芸術に季節は関係ないのに✌☺
ーー
松園 功さん
単純ですが文化祭かな、小学生から大学生、市県民など芸術には程遠いモノまであるけど秋の定番。
ーー
コメントいただいた皆さん。ありがとうございました。コメントは以下のページからもご覧いただけます。
https://www.facebook.com/groups/1651099238372682/posts/3780688888747029
次の問いは次回ライブ配信時にお知らせします。〈揺れて歩く人々の対話テーブル〉でお気軽にコメントくださいね!
===

清水哲男のSNS、お友達申請、フォロー、チャンネル登録、よろしくお願いいたします。

FaceBook https://www.facebook.com/tetsuo432
Instagram https://www.instagram.com/sekigaisen/
Threads https://www.threads.com/@sekigaisen
YouTube https://www.youtube.com/@office432
● ● ●
★『時間の隨』ご購入はこちらから
著者が本著の中で目指したのは流れ行く時間の可視化です。身の回りの何気ない風景、漂う空気、そして人々との出会いを縁に時間を紡いでいきます。
今回は完全私家版としての上梓です。大手書店、Amazonなどでの取り扱いはありません。購入ご希望の方は下記URLからどうぞ。
https://shop.office432.jp/items/103499501
★揺れて歩くニュースバックナンバーはこちらからどうぞ。
https://interearth.jp/archives/category/mail-magazine
★「揺れて歩く」ご購入のご案内
「揺れて歩く ある夫婦の一六六日」は下記のネット通販をご利用ください。
清水哲男事務所のBookShopでは銀行振込、クレジットカード決済となります。
清水哲男事務所のBook Shop揺れて歩く人々の問
あなたの好きな音楽について聞かせてください
https://shop.office432.jp/
【「揺れて歩く ある夫婦の一六六日」概要】
頁数:192p
体裁:B5変形横型(182mm×210mm)
ISBN:978-4909819086
2020年4月15日 初版発行
価格:2420円(本体2200円+税)
======
最後までおつきあいありがとうございました。
本メールマガジンは原則毎月2回隔週にお届けいたします。
次号は2026年10月23日(金曜日)配信予定です。
発行:揺れて歩くニュース編集室
発行者:清水哲男
Mail:info@office432.jp
揺れて歩く人々の対話テーブル
https://www.facebook.com/groups/1651099238372682/
【揺れて歩く&妄想ラジオ】第2、第4金曜日 20:00〜21:00
https://www.youtube.com/@office432